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インプラントの即時挿入とは?すぐ歯が入るのか、必要な条件は何かを解説

抜歯した部分にインプラントを即時挿入する方法があると知った方は、もしインプラント検討中であれば自分にも可能なのか気になるのではないでしょうか。とはいえそもそも具体的な内容など理解できているか自信がない方がいらっしゃるかもしれません。

この記事では、インプラントを即時挿入する抜歯即時埋入について解説します。即時埋入についてくわしく知りたい方は参考にしてみてください。

▼この記事で分かること
  • 抜歯即時埋入は、抜いた歯の穴にそのままインプラント体を埋め込む方法である。治癒を待ってから埋入する待時埋入との違いに加え、混同されやすい「即時荷重」との違いも整理して解説する。
  • 治療期間の短縮、外科処置をまとめられること、抜歯後の骨や歯肉の形態を維持しやすいことがメリットとして挙げられる。一方で感染への配慮が必要な点など、事前に知っておきたい注意点もあわせて確認できる。
  • すべての症例に適用できる方法ではない。インプラントを支えられる骨が残っているか、抜歯部位に急性の炎症がないかなど、歯科医師が可否を判断する際に確認する条件を具体的に示す。
  • 「即時」という言葉から当日に噛めるようになると考える方も少なくないが、必ずしもそうとは限らない。仮歯を装着できるかどうかがどのように判断され、最終的な人工歯が入るまでにどのような流れをたどるのかを解説する。
  • 検査から最終的な人工歯の装着までの手順と、目安となる治療期間を紹介する。あわせて、自由診療としての費用や、抜歯即時埋入に伴うリスク・治療後のメインテナンスについてもよくある質問で回答する。

抜歯即時埋入とは

抜歯即時埋入は、保存が難しい歯を抜いた直後に、抜いてできたスペースにインプラント体を埋め込む方法です。抜歯のあと治癒するのを数か月待ってから埋入する方法とは、インプラントを入れるタイミングが異なります。

抜歯とインプラント埋入を同じタイミングで行うため、抜歯後の治癒を待つ期間が不要となり治療全体の期間短縮につながる場合があります。

ただし詳細は後ほど解説しますが、一定の条件を満たす必要がありすべての症例に選択できるわけではありません。

関連記事:即時荷重インプラントが可能な条件は?メリット・デメリットや費用も解説

抜歯待時埋入との違い

上記「即時」の抜歯即時埋入ではなく「待時」の抜歯待時埋入は、抜歯後すぐにインプラントを入れずに抜歯した部分が治癒してからインプラント体を埋入する方法です。厚生労働省の「歯科インプラント治療指針」(平成25年 日本歯科医学会編)では、抜歯後6か月程度が一つの目安として示されています。

抜歯即時埋入では抜歯と埋入を同時に行うのに対し、待時埋入では「抜歯→治癒期間→インプラント埋入」と段階を踏んで治療を進めます。そのため、即時埋入より期間が長くなるのが一般的です。

歯根の先周囲の病変や歯周疾患があるケースなどでは、治癒を確認してから埋入する待時埋入が選択肢となります。このように、どちらが適しているかは口腔内の状態などによって異なります。

即時荷重との違い

また、インプラント関連の用語に「即時荷重」がありますが、「即時」という言葉が共通しているものの意味は異なります。

抜歯即時埋入と即時荷重とでは、取り付けるパーツが異なります。即時荷重は、インプラント体を埋入した直後に仮歯や人工歯を装着する方法のことを指します(通常は仮歯を装着)。つまり抜歯即時埋入が「いつインプラント体(人工歯根)を埋入するか」を示す言葉なのに対して、即時荷重は「いつ仮歯(あるいは人工歯)を装着するか」を示す用語です。

ここからもわかるように、抜歯即時埋入をしたからといって、必ずその日のうちに仮歯を装着できるわけではありません。即時荷重の可否は、骨の状態など個々の症例を踏まえて判断されます。

抜歯即時埋入のメリット

続いて、抜歯即時埋入のメリットについて見ていきましょう。以下の点が挙げられます。

  • 治療期間を短縮できる
  • 身体への負担を抑えやすい
  • 抜歯後の骨や歯肉の形態を維持しやすい

1つずつ解説します。

関連記事:インプラントの「抜歯即時埋入」とは?メリット・デメリットや他治療との違いを解説

治療期間を短縮できる

まず、治療期間を短縮できる点です。

一般的な待時埋入では、抜歯した部分の骨や歯肉が治癒するのを待ってからインプラント体を埋入します。そのため、抜歯から埋入までに待機期間が発生します。一方、抜歯即時埋入では抜歯とインプラント体の埋入を同時に行うことが可能です。待機期間を省略でき、治療全体を短縮できる可能性があります。

ただし、インプラント体と骨が結合するまでの期間などは抜歯即時埋入でも必要です。具体的な治療期間は骨の状態や追加処置の有無などによって異なります。

身体への負担を抑えやすい

さらに、抜歯即時埋入は身体への負担を抑えやすいというメリットがあります。

待時埋入では抜歯とインプラント埋入を別のタイミングで行うのに対し、抜歯即時埋入では2つの処置を同時に進めることが可能です。抜歯した部分を利用してインプラント体を埋入するため、症例によっては歯肉を大きく切開・剥離せずに処置できることもあります。

外科処置をまとめられることから、手術回数の減少につながり、複数回に分けて処置する場合と比べて患者の身体的・心理的な負担を抑えられる可能性があります。

抜歯後の骨や歯肉の形態を維持しやすい

抜歯後の骨や歯肉の形態を維持しやすい点もメリットです。噛みくだいて説明します。

歯を抜くと、その周囲の歯槽骨(歯根を支えている骨)は時間の経過とともに吸収・変形してしまいます。しかし抜歯即時埋入では、抜歯直後の穴になっている部分を利用してインプラントを埋入します。そのため、骨や歯肉の形を保ちやすくなるのです。

適切な症例では骨や歯肉の形を維持しやすくなりますが、抜歯後の骨吸収を完全に防げるわけではない点には注意が必要です。

抜歯即時埋入のデメリット

このように抜歯即時埋入にはメリットもありますが、デメリットも存在します。ここで確認しておきましょう。

  • 対応できる歯科医院が限られる
  • 感染に注意する必要がある
  • 適用できないケースがある

それぞれについて解説します。

関連記事:インプラント治療で抜歯は必要?不要なケースと抜歯後の処置を解説

対応できる歯科医院が限られる

まず、対応できる歯科医院が限られる点が挙げられます。

抜歯即時埋入では、抜歯後の骨の状態を確認すること、適切な位置にインプラント体を埋入すること、じゅうぶんに初期固定を行うことが求められます。

また即時埋入の可否を判断するには、骨量・骨欠損・炎症などを術前に評価し、症例ごとに治療方法を選択することが重要です。

上記の理由により、すべての歯科医院で対応できる治療法ではありません。即時埋入を希望している場合は、歯科医院に対応しているかどうか事前に確認することが必要です。

感染に注意する必要がある

またとくに感染に注意しなくてはなりません。

抜歯直後の部位にインプラント体を埋入するため、抜歯部位に炎症や感染がないかをじゅうぶんに確認する必要があります。厚生労働省の「歯科インプラント治療指針」(平成25年 日本歯科医学会編)では、即時埋入の適用として「対象歯の炎症が無い」ことが挙げられており、炎症に関する注意点も示されています。

強い炎症などが認められる場合には、抜歯直後の埋入ではなく一定の期間置いて治癒してからインプラントを埋入する方法が好ましいと言えるでしょう。

適用できないケースがある

さらに適用には一定の条件があり、場合によっては適用できないこともあります。

大きな骨欠損がある場合や対象部位に炎症が認められる場合などは、即時埋入が適さないことがあります。抜歯即時埋入では、インプラント体を支えられるだけの骨が残っており、埋入直後にじゅうぶんな安定性(初期固定)を確保できることが重要なためです。

口腔内だけでなく全身状態なども含めてインプラント治療そのものが可能か確認する必要があるため、希望すれば必ず即時埋入を選べるわけではありません。

抜歯即時埋入と通常のインプラント治療の違い

続いて、抜歯即時埋入と通常のインプラント治療の違いを確認しましょう。以下の2点から解説します。

  • インプラントを埋入するタイミング
  • 手術回数や治療期間

なお、抜歯即時埋入もインプラント治療の一つであり自由診療(保険適用外)となります。では、それぞれについて見ていきます。

関連記事:インプラント治療を受けるベストな時期は?抜歯後の埋入時期も解説

インプラントを埋入するタイミング

最大の違いは、抜歯してからインプラント体を埋め込むまでのタイミングです。即時埋入は抜歯直後であるのに対し、待時埋入は抜歯窩の治癒を待ってから行います。

なお厚生労働省によるインプラントの治療指針では、インプラントの埋入時期は以下の3つに区分されています。

  • 待時埋入:抜歯後6か月程度が目安
  • 早期埋入:状態によるが、1〜4週または12〜16週
  • 抜歯即時埋入:抜歯直後

このように、必ずしも「即時か、数か月後か」の二択ではありません。どの時期に埋入するかは、抜歯部位の炎症、骨の状態、治癒状況などを踏まえて判断されます。早く埋入すること自体が治療の目的ではありません。

手術回数や治療期間

待時埋入では、抜歯を行った後に治癒を待って別の日にインプラント埋入手術を行います。つまり最低2回手術を行います。しかし即時埋入なら抜歯と埋入を同日に行えるため、外科処置を1回にまとめることが可能です。

治療期間についても、即時埋入では抜歯後からインプラント埋入までの治癒待ち期間が不要になり治療全体の期間が短くなる可能性があります。

ただし、インプラントと骨が結合するための期間は必要であり、骨造成などを併用する場合もあります。したがって、実際の治療期間・手術回数には個人差があります。

抜歯即時埋入ができる条件

抜歯即時埋入ができる条件としては、初期固定が可能な骨が残っているか、炎症がないかが挙げられます。

初期固定については、抜歯する歯の周囲や根の先に、インプラントを支えられるだけの骨が残っているかを確認します。抜歯する部位に急性の炎症がないことも不可欠です。炎症がある場合や骨の欠損が大きい場合などは、即時埋入が適さないことがあります。

また口腔内の状態だけでなく、全身状態や噛み合わせなども含めて総合的に判断することが必要です。診察に加えてレントゲン撮影や歯科用CT検査などにより、骨の量・形態などを確認したうえで歯科医師が可否を判断します。

抜歯即時埋入ではすぐに歯が入る?

「抜歯即時埋入」と言っても、必ずしもその日のうちに人工歯を装着して噛めるようになるわけではありません。すでに解説したように、「抜歯即時埋入」は抜歯した直後に人工歯根(インプラント体)を埋入することです。人工歯のことではありません。

埋入直後に仮歯などを装着する方法は「即時荷重」と呼ばれ、抜歯即時埋入とは区別されるのもすでに解説した通りです。

抜歯即時埋入と同時に仮歯を装着できる場合もありますが、インプラントの初期固定や骨の状態などによって判断されます。埋入当日に仮歯を装着しない場合もあります。

また当日に仮歯を装着できた場合でも、それが最終的な人工歯とは限りません。インプラント体とあごの骨が結合するまで一定期間待ち、状態を確認してから最終的な人工歯を作製・装着するのが基本的な流れとなります。

抜歯即時埋入の流れと期間

抜歯即時埋入の流れは次の通りです。

1. 検査・治療計画の作成: 問診や各種検査を行い、その結果をもとに抜歯即時埋入が可能かを判断し、インプラントを埋入する位置などを計画します。

2. 抜歯・インプラント埋入: 局所麻酔後に対象の歯を抜いてインプラント体を埋入します。症例によっては骨補填材を使用することがあります。また、初期固定などの条件が整えば同時に仮歯を装着することも可能です。

3. 治癒期間・最終的な人工歯の装着: 埋入後はインプラント体とあごの骨が結合するまで一定期間を置き、安定してから最終的な人工歯を作製・装着します。

抜歯即時埋入の治療期間は、一般的に3〜6か月程度が目安です。しかし骨との結合に必要な期間は埋入部の骨の状態や使用するインプラントなどによって異なり、個人差があります。そのほか骨造成が必要な場合にはさらに治療期間が延びることもあります。

関連記事:インプラント治療の流れが丸わかり!1回法や2回法、治療期間や費用もご紹介

抜歯即時埋入についてよくある質問

抜歯即時埋入についてよくある質問と回答をまとめました。

抜歯即時埋入は保険が使えますか?費用はどのくらいですか?

抜歯即時埋入を含むインプラント治療は自由診療(保険適用外)です。当院では1本あたり33万円〜44万円(税込)を目安としており、検査料・手術料・上部構造(人工歯)の費用を含みます。ただし骨補填材の使用や骨造成が必要な場合、別途費用がかかることがあります。詳細は〈料金ページ〉をご確認ください。

抜歯即時埋入にはどのようなリスクがありますか?

抜歯即時埋入では、抜歯した部位をそのまま利用するため、次のような点に注意が必要です。

  • 抜歯窩に残存する細菌により感染が起こり、インプラント体が骨と結合せず早期に脱落する可能性がある
  • 抜歯窩の形態によっては、計画した位置に正確に埋入することが難しい場合がある
  • インプラント体と抜歯窩の間に隙間が生じ、骨補填材の使用が必要となることがある(費用・治療期間が追加される)
  • 抜歯後の骨吸収を完全に防げるわけではないため、とくに前歯部では歯肉が下がるなど、見た目の変化が生じることがある

このほか、腫れ・痛み・出血、下あごの神経や上顎洞への影響、インプラント周囲炎など、インプラント治療全般に共通するリスクもあります。また喫煙や糖尿病などの全身状態によってリスクが高まる場合があります。詳しくは〈インプラント治療のリスク・副作用〉をご覧ください。

手術当日に、抜歯即時埋入ができないと判断されることはありますか?

あります。術前の検査で可能と判断した場合でも、実際に抜歯してみると骨の欠損が想定より大きく、じゅうぶんな初期固定が得られないことがあります。その場合は無理に埋入せず、治癒を待ってから改めて埋入する(待時埋入)方法に変更します。安全性を優先した判断ですので、治療計画が変わる可能性についてはあらかじめご了承ください。

治療後のメインテナンスは必要ですか?

必要です。インプラントは天然歯と異なり、周囲の組織が細菌に対して抵抗力が弱く、インプラント周囲炎を起こすと骨が吸収され、最終的に撤去が必要になることもあります。ご自宅での毎日のケアに加え、定期的な受診と専門的なクリーニングを継続していただく必要があります。

術後に強い痛みや腫れが出た場合はどうすればよいですか?

手術後数日は腫れや痛みが生じることがありますが、通常は徐々に軽快します。強い痛みや腫れ、出血が続く場合や、普段と異なる症状がみられる場合は、自己判断せず当院までご連絡ください。また治癒の途中で治療部位に強い力が加わると骨との結合を妨げる可能性があるため、食事や噛み方については歯科医師の指示に従ってください。

まとめ

抜歯即時埋入は必ず適用できる方法ではありませんが、可能な場合は治療期間の短縮などのメリットも期待できる方法です。

もし抜歯即時埋入をはじめインプラント治療で疑問や不安な点がおありでしたら、私ども高田歯科クリニック(東京都杉並区)にご相談ください。年間症例数850本以上の実績にもとづき、患者様に応じた治療法の提案やアドバイスを提供いたします。まずはお気軽にご相談ください。

※高田歯科では、コラム内容で触れてはおりますがあえて対応していない内容もございます。ご来院いただく患者様に合わせて最適なインプラント提案をさせていただいておりますので、まずはご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2026年8月26日