インプラントの二次手術後の食事はどうする?注意すべき点や期間を解説

インプラントの二次手術を受けた場合、食事に注意すべき点がないのか疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
この記事では、インプラントの二次手術後の食事について解説します。注意すべき点のほか、一般的に傷の回復に良いとされる食材や手術後でも食べやすい調理法なども紹介します。インプラントの二次手術を受ける予定の方、インプラント治療をご検討中の方は参考にしてみてください。
- 二次手術後の食事は、麻酔が切れる約2〜3時間後から可能である。 感覚が戻るまでは水分補給程度にとどめ、その後はとろみのある流動食や半流動食から始める。手術部位を避け、反対側で噛むことが基本となる。
- 食事に注意が必要な期間は、手術からおよそ10日〜2週間である。 抜糸は術後7〜10日後が一般的で、その後は傷口の状態に問題がなければ徐々に通常の食事へ戻せる。ただし治癒には個人差がある。
- 二次手術は一次手術より切開範囲が狭く、食事制限も軽い傾向にある。 痛みや腫れは軽度に収まり、翌日から日常生活に戻れることが多い。ただし歯ぐきを切開しているため、感染予防のための食事管理は必要である。
- 避けるべきは、熱すぎるもの、硬すぎるもの、刺激の強いもの、粘着性の強いものである。 アルコールやカフェイン、炭酸飲料も控える。一方で甘いものは食べた後のケアを行えば、エネルギー源として活用できる。
- 傷の回復には、たんぱく質やエネルギーに加え、亜鉛・ビタミンC・ビタミンAなどが関わるとされる。 やわらかい食事でも摂りやすい食材と調理法があり、食べられない期間の栄養不足を防ぐことができる。
インプラント二次手術とは
インプラントの二次手術とは、2回に分けて手術を行う「2回法」における2回目の手術です。歯ぐきを小さく切開してインプラント体の頭部を露出させ、治癒アバットメント(治療用の部品)またはアバットメント(連結部品)を取り付けます。
局所麻酔のみで行い、粘膜貫通手術とも呼ばれています。処置時間は短く、数十分程度で終わることが多い点が特徴です。
一次手術と二次手術の違い
二次手術という工程が生じるのは、上で軽く述べた2回法のみです。一次手術は歯ぐきを大きく切開して埋入部を確保するため、創部が広くなります。上あごで4〜6か月、下あごで3か月程度の治癒期間を経て二次手術に進み、その後1か月程度の上部構造(人工歯)製作期間を設けるという流れで進みます。
二次手術は上述した通りアバットメントを取り付ける手術で、一次手術に比べ切開範囲が狭いという違いがあります。
なおインプラントの手術には、上で述べた「2回法」のほか「1回法」もあります。1回法は名前の通り手術1回で完結する術式です。
二次手術は一次手術より食事制限が軽い理由
二次手術は一次手術と比べ切開する部分が小さいため、そのぶん食事制限も軽くなります。
二次手術では主に歯ぐきの切開とインプラントヘッドの露出が行われます。通常は一次手術に比べて痛みや腫れは軽度に収まります。多くの場合は二次手術後に腫れたとしても正常な治癒過程の一部で、適切な対処により1週間程度で治まるのが一般的な目安です。ただし個人差があるため、必ず上記の範囲に収まるものではありません。
こうして、二次手術後は基本的に翌日から日常生活や仕事に戻りやすい傾向があります。一方で二次手術後の食事管理は、感染予防と治癒しやすい環境づくりのために重要な役割を果たします。油断せず適切にケアすることが重要です。
関連記事:インプラント術後の食事総まとめ!おすすめ食品と栄養、NG食品
インプラント二次手術後の口腔内の状態は?
インプラント二次手術後の口腔内は、感染予防と良好な治癒環境の維持が重要な状態となっています。
歯ぐきの上に「治癒アバットメント」という歯ぐきを整えるパーツが露出した状態となっています。装着期間は一般に2〜6週間程度が目安です。また場合によっては、さらに仮歯を装着することもあります。
切開部は縫合する場合があり、その場合は抜糸までケアすることが必要です。縫合するかどうか、あるいはいつ抜糸するかはケースバイケースです。担当医に確認しましょう。
歯ぐきの状態が整うのを待ち、治癒アバットメントを外して最終的な上部構造(人工歯)を取り付けます。
二次手術後の食事制限はいつまで?期間の目安
抜糸後は傷口の状態に問題がなければ、徐々に通常の食事へ戻せる場合が少なくありません。抜糸は手術からおよそ7〜10日後が一般的です。つまり少なくとも手術から10日~2週間程度は、食事に注意する必要があります。
ただし個人差があり、傷口の治癒状態や体調で期間は前後します。上記の日数はあくまで目安とお考えください。
関連記事:インプラント手術当日~抜糸の食事制限はある?食事やその他の注意点も解説
インプラント二次手術後は食事が重要
インプラントの二次手術後は、食事が重要です。食事に注意することは、感染の予防や治癒しやすい環境づくりに役立つためです。
適切でない食べ物を選ぶと、治癒の遅れや合併症のリスクを高める可能性があります。あるいは食材によっては縫合部に力がかかり、治癒を遅らせることがあります。
後ほど具体的に解説しますが、インプラント二次手術後の食事には注意が必要だと理解しておきましょう。
二次手術後、食事は何時間後から可能か
麻酔が切れるまでの約2〜3時間は、食事は避けて水分補給程度にとどめましょう。食事は麻酔が完全に覚めて感覚が戻ってからにしてください。麻酔が残っている間は唇や舌の感覚が鈍くなっており、誤って唇や舌を噛んだりやけどをしたりするリスクがあるためです。
食事をする際は、流動食や半流動食から始めるのが推奨されます。
関連記事:インプラント手術後はコーヒーを控えるべき?術後の注意点を徹底解説
【術前】前日〜当日朝の食事と準備
続いて、タイミング別に見た食事について解説していきます。初めは術前です。以下の2点に分けてまとめます。
- 静脈内鎮静法を受ける場合の絶飲食
- 手術日を決める際に考慮したい予定
それぞれについて見ていきましょう。
静脈内鎮静法を受ける場合の絶飲食
手術前の絶飲食については、清澄水の摂取は年齢を問わず麻酔導入2時間前まで安全とされています(日本麻酔科学会の術前絶飲食ガイドラインによる)。麻酔時は胃の動きが鈍くなるため、水やお茶など透き通った飲み物のみとし、炭酸飲料やジュース、牛乳は避けましょう。
固形物の絶食時間は同ガイドラインに示されていませんが、米国のガイドラインでは軽食で6時間以上、脂質の多い食物や肉では8時間以上とされています。胃に内容物が残っていると吐き気や誤嚥のリスクが高まるため、注意が必要です。具体的な時間は担当医の指示に従いましょう。
手術日を決める際に考慮したい予定
食事や行動面から見て、手術日を決める際に考慮したい予定をまとめます。
二次手術後は翌日から日常生活や仕事に戻れることが多くありますが、術後24〜48時間は激しい運動を避けできるだけ体を休めるよう心がけましょう。また麻酔に静脈内鎮静法を用いる場合、当日手術後は車・バイク・自転車が利用できません。注意してください。
なお腫れは1週間程度で軽減されます。人に会うのが気になる場合の参考にしてください。
【当日〜数日間】インプラント二次手術の食事
続いて、二次手術当日から数日間の食事についてまとめます。以下の点に分けて解説します。
- 手術当日の原則
- おすすめの食材と調理法
- 水分はしっかり補給する
- 食事は1日何回に分けるとよいか
順に見ていきましょう。
手術当日の原則
手術後は、すでに述べたように麻酔が覚めるまでの食事は控えます。麻酔が覚めたら、とろみのある流動食ややわらかくペースト状の半流動食から始めます。
傷口に刺激になるものを避け、口当たりのやさしい食事を中心にしましょう。避けるべきものについては後ほど解説します。
おすすめの食材と調理法
食べやすさと栄養面を両立した食材がおすすめです。
豆腐、茶碗蒸し、ヨーグルト、白身魚の煮付け、おかゆなどが適しています。栄養を補えると同時に、噛む力をあまり必要としないためです。また卵料理や鶏ささみのスープは良質なたんぱく質源となります。雑炊やポタージュは栄養バランスを取りやすいでしょう。
プリンやゼリーは食べやすい一方、糖分が口の中に残ると細菌が増えやすいというリスクもあります。食後のケアに注意してください。
水分はしっかり補給する
水分不足にならないよう、水分はこまめに補給しましょう。常温の水やノンカフェインのお茶、薄味のスープなどでこまめに摂取してください。傷の回復期には十分な水分摂取が勧められます。塩分バランスを整えるため薄めたスポーツドリンクも適度に活用しましょう。口腔内が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなります。
なお摂取の際は、ストローは使わないようにしましょう。吸う力で傷に負担がかかる可能性があるためです。]
食事は1日何回に分けるとよいか
一度に多く食べるのではなく、必要に応じて複数回に分けて負担が少なくなるよう少量ずつ摂取しましょう。過度な空腹・満腹を避けた食事間隔の調整を行ってください。
【術後4日〜1週間】インプラント二次手術の食事
二次手術から4日〜1週間の時期は、刺激しすぎない程度に噛んで食べる食品を徐々に増やすようにしていきます。
卵料理、白身魚の煮物、煮野菜など、やわらかいながら噛んで食べる食品を増やしていきます。食事は無理なく少量ずつゆっくり摂りましょう。
ただし痛みや違和感があれば、無理はせず手術直後の食事内容に戻しましょう。担当医に相談するとより確実です。
【術後1週間〜抜糸】インプラント二次手術の食事
続いて二次手術から1週間〜抜糸の食事について解説します。抜糸は手術からおよそ7〜10日後ですが、抜糸の時期には個人差があります。抜糸前後の食事について、以下の観点からまとめます。
- 抜糸までと抜糸後で何が変わるか
- 吸収性の糸が使われた場合の食事
1週間から10日後は、歯ぐきの傷口がある程度ふさがって縫合糸の役割が終わる時期です。糸が残ったままだと食べかすや汚れが絡まりやすく、傷口の治りを妨げる可能性があります。それを前提に、順に見ていきましょう。
抜糸までと抜糸後で何が変わるか
抜糸前までに必要だった注意が、抜糸後は基本的に不要になります。
抜糸までは、「温度」「刺激」「圧力」に注意が必要です。熱い食べ物やアルコール、激しい運動は血流を促進し出血を再発させることがあります。これまで見てきたように、硬い食べ物も避けることが求められます。
抜糸後は当日から軽い食事や歯磨きが可能なケースが多いですが、数時間は刺激の強い食べ物や熱い飲み物を避けましょう。その後は徐々に通常の食事へ戻せる場合が少なくありません。
ただし違和感が残る場合は無理をせず少しずつ慣らすことも大切です。また飲酒や喫煙、サウナなど血流を促進する行為は抜糸後48時間ほど控えましょう。
吸収性の糸が使われた場合の食事
吸収性の糸を縫合に使う場合の食事についても確認しておきましょう。吸収性の糸は体内の酵素反応で自然に溶け、抜糸が必要ありません。溶けきるまでは糸がかかった状態が続き、一般に2〜3週間、場合により3〜4週間ほどかかります。
食べ物が傷口に当たると、出血したり糸がほどける原因になったりします。糸が残っている間は硬いものや繊維の多いものを控えましょう。さらに食べ物が詰まる、再出血するといったことがあれば、初期のやわらかい食事に戻します。一律の日数ではなく、口の中の状態を見ながら進めることが求められます。
また糸が残ってチクチクする、あるいは歯ぐきから飛び出しているといった場合は、自己判断で引っ張らず歯科医院で除去してもらいましょう。
【抜糸後〜1か月】被せ物が入るまでの食事
続いて、被せ物が入るまでの食事について解説します。食事の解説の前に、抜糸以降の流れを確認します。
- 抜糸(治癒アバットメントが露出した状態)
- 歯ぐきの状態が整うのを待つ
- 治癒アバットメントを外して最終的な人工歯(被せ物)を装着する
また治癒アバットメントとはどのようなものか確認しておきましょう。
治癒アバットメントとは、二次手術の際に歯ぐきの形を整える目的で一時的に取り付ける小さな円筒形の金属パーツです。装着期間は一般に2〜6週間程度が目安で、この間はまだ最終的な被せ物が入っていない状態です。装着中に歯ぐきの形が整い、人工歯を入れられる環境になります。
治癒アバットメント装着期間中の食事
治癒アバットメント装着期間中は、やわらかいパンや麺類など少し歯ごたえのあるものへ段階的に移行していきます。大きな制限はない場合が多いですが、硬い食べ物や粘着性のある食べ物は避けた方が安心です。
装着期間中は食べかすが術部に溜まりやすくなるのでケアに注意が必要です。 なお日常生活に大きな制限はなく、状態に問題がなければ旅行や仕事も普段どおり過ごすことができます。しかし違和感がある場合は、無理をせず受診しましょう。
また前歯の治療などでは、治癒アバットメントではなく仮歯を入れる場合もあります。仮歯の場合は、硬いもの、弾力のあるもの、歯にくっつきやすいものを噛まないようにしてください。
【上部構造装着後】通常の食事に戻すタイミング
続いて、上部構造を装着してから通常の食事に戻すタイミングについて解説します。以下の内容に分けてまとめます。
- 硬いものはどこまで噛んでよいか
- インプラントを長持ちさせるために
順に見ていきましょう。
硬いものはどこまで噛んでよいか
あまり硬いものを噛むことは避けましょう。たとえば氷やアメを噛み砕くことはやめるようにし、ナッツ類、固焼き煎餅、フランスパンなどは控えめにすると安心です。
上記のような硬い食品や、ペン・爪など食品以外の硬いものを噛むと上部構造が欠けることがあります。インプラントは天然歯に近い噛む力が得られるとは言え、一定の注意が必要です。
インプラントを長持ちさせるために
インプラントを長持ちさせるためには、日常的なケアと定期検診が不可欠です。
定期検診を受けていない人は受けている人と比べ、インプラントの残存率が低く、インプラント周囲炎などのトラブル発生頻度が高いとされています。インプラント周囲炎になると骨が溶けてしまうことがあり、インプラントのぐらつきや外れにつながります。予防には患者様自身の日常の口腔清掃が重要です。
日頃から口腔内の状況に気を配ること、変化があった場合は直ちに治療を受けた歯科医院に連絡することも大切です。
二次手術後1週間の食事スケジュール例
二次手術後1週間の食事スケジュール例をまとめました。参考にしてみてください。
| 日 | 食事の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 当日 | 麻酔が切れてから流動食 | 反対側で噛む |
| 2〜3日目 | おかゆ、豆腐、茶碗蒸し | 数回に分けて少量ずつ |
| 4〜7日目 | 卵料理、白身魚、煮野菜 | 違和感があれば一段階戻す |
インプラント二次手術後の回復を支える栄養素
次に、インプラント二次手術後の回復を支える栄養素について見ていきます。次のように分けて解説します。
- 傷の回復に関わる栄養素
- 不足すると治癒が遅れる栄養素、控えたい食生活
- 食欲がないときの栄養補給
順に見ていきましょう。
傷の回復に関わる栄養素
日本褥瘡学会のガイドラインでは、創傷治癒過程にかかわる例として以下の栄養素などが挙げられています。
- 亜鉛
- ビタミンC
- ビタミンE
インプラント治療に限った話ではなく一般的な傷の治癒に関する栄養の例ですが、これらの栄養素が欠乏状態に陥らないよう注意しましょう。またエネルギー必要量に見合ったエネルギーとたんぱく質も摂取することが大切です。さらに傷の治癒一般にはビタミンAもかかわるとされています。
以下に、それぞれの栄養が含まれる食材例と調理例をまとめます。
【亜鉛】
- 食材例:牡蠣・赤身肉・レバー・大豆製品など
- 調理例:ひき肉料理、高野豆腐の含め煮、納豆など
【ビタミンC】
- 食材例:野菜・果物
- 調理例:じゃがいものポタージュ、かぼちゃの煮物、ブロッコリーをやわらかく茹でて刻むなど
加熱で壊れやすいという性質がありますが、術後は生野菜や柑橘類が食べにくいため上記の例が現実的です。
【ビタミンE】
- 食材例:植物油・アボカド・かぼちゃなど
- 調理例:アボカドサラダ、かぼちゃの煮物など
【エネルギー(炭水化物)】
- 食材例:米・小麦粉など
- 調理例:おかゆ、うどん、雑炊、ポタージュなど
【たんぱく質】
- 食材例:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品
- 調理例:茶碗蒸し、豆腐、白身魚の煮付け、卵料理、鶏ささみのスープ、無糖ヨーグルトなど
【ビタミンA】
- 食材例:レバー・うなぎ・にんじん・ほうれん草など
- 調理例:にんじんのポタージュ、ほうれん草の裏ごし、うなぎの煮こごりなど(以上術後すぐ)、にんじんのバター炒め、ほうれん草のソテー
油と一緒に摂ると吸収が良くなりますが、直後は食べやすい形で摂取しましょう。
不足すると治癒が遅れる栄養素、控えたい食生活
傷の治癒は段階を追って進み、それぞれの段階で必要な栄養素が異なります。ここでは傷の治癒一般について知られていることを紹介します。
治癒の段階別に見た関係する栄養素を一覧にまとめました。
| 治癒の段階 | 体で起きていること | 関係する栄養素 | 不足すると |
|---|---|---|---|
| 炎症期 | 出血が止まり、免疫細胞が細菌を排除する | 炭水化物 | 白血球の機能が低下する |
| たんぱく質 | 炎症が長引く | ||
| 増殖期 | 新しい組織がつくられ、傷口が塞がる | たんぱく質、亜鉛 | 組織をつくる細胞が働きにくくなる |
| 銅、ビタミンA・C | コラーゲンの合成が滞る | ||
| 鉄 | 傷口への酸素供給が滞る | ||
| 成熟期 | できた組織が再構築され強度を取り戻す | カルシウム | 組織が丈夫になりにくい |
| ビタミンA・C | 組織の再構築が進みにくい | ||
| 亜鉛、ビタミンC | 傷の表面を覆う膜ができにくい |
なお、特定の栄養素だけを補っても、エネルギーとたんぱく質が足りていなければ有効に働きません。つまり食事からエネルギーとたんぱく質をじゅうぶんに摂ることが大切です。なおやわらかいものだけを選び続けると、たんぱく質とエネルギーが同時に不足しやすいので注意しましょう。
食欲がないときの栄養補給
食事が取れないときは、ゼリー飲料などで栄養を補給する方法があります。
ただし栄養を摂取する方法としては、食事が最も推奨されます。口から食べることは栄養補給だけでなくQOLに大きく影響するためです。どうしても食べられないときはやむを得ませんが、可能な範囲で食事から栄養を摂りましょう。
なおすでに述べた通り、特定の栄養素だけを補ってもエネルギーとたんぱく質が足りていなければ有効に働きません。エネルギーとたんぱく質は確実に摂取しましょう。
インプラント二次手術後の食べ方のポイント
続いて、食べ方に着目して二次手術後の食べ方のポイントを解説します。以下の内容に分けてまとめます。
- 一口の量と噛み方
- 手術した側で噛んでよいか
1つずつ見ていきましょう。
一口の量と噛み方
一口の量は少なめにしましょう。少量ずつゆっくり時間をかけて食べることで、手術部位への負担を軽減し口腔内を傷つけるリスクを減らすことができます。
また当然ではありますが、無理な咀嚼や過度な刺激を避けることも大切です。
手術した側で噛んでよいか
食べ物を噛むときは、手術部位を避けて反対側を使うことをおすすめします。理由は次の2点です。
まず、縫合した糸が抜けるとそこから細菌感染する恐れがあるためです。また食べ物が直接傷口に当たると、出血したり糸がほどける原因になったりすることも挙げられます。
抜糸までの間は、手術した側ではなく反対側で噛むようにしましょう。
インプラント二次手術後の食後の口腔ケア
次に、インプラント二次手術後の食後の口腔ケアについてまとめます。
- 食後のケアの基本
- 洗口液・うがいの注意点
- 治癒アバットメント周囲の清掃
- 歯磨きに注意
順に見ていきましょう。
食後のケアの基本
食後のケアは、手術部位は慎重に行いつつ手術部位以外は通常通りに行うのが基本です。
食後は手術部位に食べかすが溜まらないようケアする必要がありますが、強くこすらず優しくうがいをする程度にとどめます。食べかすが手術部位に付着する場合も軽いうがいで対処しましょう。
手術部位以外は通常どおり歯磨きを行い、口腔内の清潔を保ってください。
洗口液・うがいの注意点
うがいは強く行わず、軽くゆすぐ程度にとどめてください。強くゆすぐと、出血の原因になったり手術部位への刺激になったりするためです。
クロルヘキシジンなどの洗口剤が処方された場合は、指示された濃度と回数を守って使用します。なおアルコールを含む市販のマウスウォッシュは避けた方が安心です。刺激が強く患部にしみることがあるためです。
治癒アバットメント周囲の清掃
治癒アバットメント周囲のケアは、周囲炎の予防のために重要です。基本的に普段どおりの歯磨きで問題ありませんが、磨き残しがないよう歯科医院で清掃方法の指導を受けましょう。
また治癒アバットメントは小さな部品のため異変に気づきにくいという難点があります。ケアの際に外れや損傷がないか確かめるようにしてください。
歯磨きに注意
抜糸までは手術部位を避け、他の歯だけを軽くブラッシングします。手術部位に直接ブラシを当てると縫合部が刺激され、出血したり糸が外れたりするおそれがあるためです。
ブラッシングの際は毛先がやわらかい歯ブラシを使い、強くこすらずやさしく動かすようにしてください。また注意が必要だからと言って、周囲までまったく磨かないのは逆効果です。プラークが溜まって炎症の原因になります。
インプラント二次手術後に避けるべき食べ物
続いてインプラントの二次手術後に避けるべき食べ物についてまとめます。以下が挙げられます。
- 熱すぎるもの
- 硬すぎるもの
- 刺激の強いもの
- 粘着性の強いもの
- 炭酸飲料
- カフェインを多く含む飲み物
- アルコール
- 甘いものを食べたあとのケア
基本的に抜糸までの間は上記は避けることが求められます。抜糸後も様子を見ながら、必要に応じて控えた方がよいケースもあります。なお最後の「甘いもの」は避けるべきものではなく、食後のケアが必要になるものです。では、1つずつ確認していきましょう。
熱すぎるもの
まず熱すぎるものです。熱すぎるスープやお茶は血管を拡張させて出血を招くことがあるため、常温またはやや冷たい状態で摂取しましょう。
とくに手術直後の麻酔が残っている間は避けてください。麻酔が効いている状態では、温度を感じにくくやけどに気づきにくいためです。
なお熱かったものも冷ませば問題はありません。適温を心がけましょう。
硬すぎるもの
硬すぎるものを噛むのも避けましょう。具体的には、せんべいやフランスパンなどの硬い食品です。硬い食材を噛むと、手術部位に力がかかり傷口を刺激して、痛みや出血を引き起こすおそれがあります。結果として、治癒を遅らせてしまう可能性もあります。
また硬い食材は手術部位以外の歯にも力が加わり、歯が欠ける可能性もゼロではありません。
刺激の強いもの
刺激の強いものも避けるべきです。カレーのような唐辛子やスパイスが使われている料理が当てはまります。刺激物は傷口を刺激して痛みや出血を引き起こすおそれがあるためです。
また酸味が強いものも傷口にしみたりして刺激になることがあります。
手術部位への負担を避けるためにも、術後1〜2週間を目安に控えるようにしましょう。抜糸までの期間は「温度」「刺激」「圧力」に特に注意することが大切です。
粘着性の強いもの
粘着性の強いものも避けた方が安心です。キャラメルやもちなど粘着性のある食品は歯やパーツにくっつきやすく、はがすときに引っ張る力がかかります。その結果、縫合糸が取れたり、治癒アバットメントのネジがゆるんだり仮歯が外れたりするリスクが高まります。
そのため、粘着性の強いものは抜糸以降の治癒アバットメント装着中や仮歯の段階でも避けた方がよいでしょう。
炭酸飲料
炭酸飲料は刺激の強い飲み物として、術後しばらくは控えるのが無難です。とくに糖分を含むものは、口の中に残ると細菌の栄養源にもなります。感染のリスクを高めることにもつながります。
カフェインを多く含む飲み物
コーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物は、術後しばらく控えるのが無難です。熱い状態で飲むと口腔内への刺激になるため、飲む場合は冷ましてからにしましょう。
血圧を一時的に上昇させる作用もあるとされています。
アルコール
アルコールも手術からしばらくは控える必要があります。
飲酒は血管を拡張させ、出血や腫れを引き起こす原因になるためです。抜糸後も48時間ほどは控えたほうが安心です。
また抗生剤の種類によっては、相性が悪く体調不良や吐き気を引き起こす可能性があります。
甘いものを食べた後のケア
甘いものは必ずしも禁止されるものではありませんが、食べた後のケアに注意が必要です。
プリンやゼリーは食べやすく、痛みがあるときのエネルギー源として役立ちます。しかし含まれる糖分が口の中に残ると、細菌の栄養源になり口内衛生のリスクになります。食べた後は軽くうがいをするようにしましょう。頻繁に摂る場合は、その都度うがいをセットにすることが必要です。
痛みで食事が進まないときは、食べやすいものでエネルギーを確保することも大切です。食べた後のケアを心がけましょう。
食事中・食後によくあるトラブルと対処法
続いて、食事中・食後によくあるトラブルと対処法をまとめます。ここでは以下のトラブルについて解説します。
- 縫合糸・傷口に食べ物が引っかかった
- 痛みや腫れで食べられない
- 食事中に出血した
- しみる、違和感がある
- 治癒アバットメントに違和感がある、外れた
1つずつ見ていきましょう。
縫合糸・傷口に食べ物が引っかかった
縫合糸・傷口に食べ物が引っかかったら、まずは軽くうがいをして流しましょう。すでに述べたように、強くゆすぐと傷口から出血することがあります。口に含んで軽くゆらす程度にとどめてください。
それで取れなければ、自然に外れるのを待ちます。爪楊枝や指、歯間ブラシなどで取ろうとすると、傷口を傷つけたり糸が外れたりするリスクがあります。
糸にからまって取れない、糸がほどけた、結び目が解けたといった場合は、そのままの状態で歯科医院に連絡しましょう。
なお縫合糸があるうちは食べかすが絡まりやすいため、ごまや繊維の多い食材は控えめにしておくと予防につながります。
痛みや腫れで食べられない
痛みが強い場合は、やわらかい食品を中心に手術部位を避けて反対側で食べるようにします。また鎮痛剤は指示どおりに服用しましょう。
腫れについては、多くの場合正常に治癒していく過程の一部です。一般に1週間程度で軽減します。ただし術後4〜5日たっても腫れが大きくなる場合や発熱があったり膿が出たりする場合は、速やかに担当医に相談しましょう。
食事中に出血した
食事中に出血した場合は、清潔なガーゼを軽く噛んで10分ほど圧迫してください。止まらない場合は繰り返してみて、それでも止まらない場合は歯科医院へ連絡しましょう。なお術後2〜3日の間の出血、わずかに血がにじむ、唾液に薄いピンク色が混じる程度は正常範囲とされます。
また熱い食べ物やアルコールは、血流を促進して出血を再発させることがあります。避けるべきなのはすでに述べた通りです。
しみる、違和感がある
抜糸のあと、しばらく違和感が残ることがあります。多くは自然に治まりますが、痛みや腫れが続く場合、患部が赤く腫れる、ズキズキ痛む、膿のようなものが出るといった症状がある場合は、歯科医院に相談してください。感染や縫合部の開きの可能性があります。
また洗口液でしみる感じが強いときは使用を中止しましょう。そのほか熱いものや酸っぱいものはしみることがあります。避けましょう。
治癒アバットメントに違和感がある、外れた
治癒アバットメントは、外れる、損傷する、周囲が炎症を起こすといったトラブルが起こる可能性があります。
手術した側で噛んだとき、歯ぐきから露出した治癒アバットメントが上下の歯に当たってネジがゆるむことがあります。ネジがゆるんで外れた場合は、できるだけ早く歯科医院に連絡してください。放置すると歯ぐきが閉じてしまう可能性があります。
食事以外の注意点
解説の最後に、食事以外の注意点についてまとめます。以下の点が挙げられます。
- 入浴・運動・睡眠
- たばこは吸わない
- 服薬(抗生剤・鎮痛剤)と食事のタイミング
順に見ていきましょう。
関連記事:インプラント治療の術後に気を付けることとは?痛みや腫れを感じないために
入浴・運動・睡眠
長時間の入浴や激しい運動は控えましょう。どちらも血流に影響を与え、出血や腫れの原因となるためです。
入浴したい場合は短時間のシャワーで済ませてください。シャワーは翌日から、湯船は3〜7日後、サウナは2週間程度経過後が目安とされるケースもあります。
また睡眠中は成長ホルモンが分泌され、傷んだ細胞の修復に関わるとされています。睡眠不足は免疫機能の低下にもつながるため、術後しばらくは十分な休息を心がけましょう。
たばこは吸わない
たばこは吸わないのが最善です。
たばこの有害物質は血管を収縮させるため、歯ぐきの血流量が減少し酸素供給も妨げられます。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、喫煙と口腔インプラントの失敗について因果関係が示唆される例として挙げられています。
最低でも抜糸までは禁煙することが望ましいと言えるでしょう。
服薬(抗生剤・鎮痛剤)と食事のタイミング
抗生剤や鎮痛剤が処方された場合は、歯科医師・薬剤師から指示された用法・用量を守って服用してください。薬によって服用するタイミングや注意事項が異なるため、自己判断で服用方法を変更しないようにしましょう。
鎮痛剤は麻酔が切れる前に飲むと痛みのピークを抑えやすくなります。鎮痛剤は胃に負担がかかるため、食後の服用が基本です。食事が取れない場合はゼリー飲料などで胃を保護してから飲むようにしましょう。
インプラントの二次手術後の食事についてよくある質問
インプラントの二次手術後の食事についてよくある質問と回答をまとめました。
Q1.二次手術の後、いつから食事ができますか?
麻酔が切れるまでの約2〜3時間は、水分補給程度にとどめてください。麻酔が残っている間は唇や舌の感覚が鈍く、誤って噛んだりやけどをしたりするおそれがあります。感覚が戻ってから、とろみのある流動食やペースト状の半流動食で始めましょう。食べる際は手術部位を避け、反対側で噛むことを意識してください。
Q2.食事の制限はいつまで続きますか?
抜糸は手術からおよそ7〜10日後が一般的で、それまでは注意が必要です。抜糸後は傷口の状態に問題がなければ、徐々に通常の食事へ戻せる場合が少なくありません。少なくとも手術から10日〜2週間程度は食事に気を配ることになります。ただし個人差があり、治癒の状態や体調で前後するため、担当医の指示に従ってください。
Q3.一次手術のときと同じくらい食事に気をつける必要がありますか?
二次手術は一次手術と比べて切開する範囲が狭く、痛みや腫れも軽度に収まるのが一般的です。そのぶん食事制限も軽くなる傾向があります。ただし歯ぐきを切開している以上、感染予防と治癒しやすい環境づくりのために食事管理は重要です。軽いからと油断せず、硬いものや刺激の強いものは控えてください。
Q4.溶ける糸を使った場合、いつまで気をつければよいですか?
吸収性の糸は抜糸が不要ですが、溶けきるまでは糸がかかった状態が続きます。一般に2〜3週間、場合により3〜4週間ほどかかります。抜糸という区切りがないため、糸が確認できる間は硬いものや繊維の多いものを控えましょう。食べ物が詰まる、再出血するといったことがあれば、やわらかい食事に戻して様子を見てください。
Q5.プリンやゼリーなど甘いものは食べてもよいですか?
食べやすく、痛みがあるときのエネルギー源として役立つため、必ずしも避ける必要はありません。ただし糖分が口の中に残ると細菌の栄養源になるため、食べた後は軽くうがいをしてください。頻繁に摂る場合は、その都度うがいをセットにしましょう。痛みで食事が進まないときこそ、食べやすいもので栄養を確保することが大切です。
インプラント治療について
診療区分
インプラント治療は自由診療(保険適用外)です。
費用の目安
1本あたり33万円〜44万円(税込)
主なリスク・副作用
手術後に腫れ、痛み、出血、内出血が生じることがあります。骨とインプラントが結合せず、再手術や治療の中止が必要となる場合があります。細菌感染によりインプラント周囲炎を発症し、骨の吸収やインプラントの脱落につながることがあります。手術部位によっては神経損傷による知覚異常や、上顎洞との交通が生じる可能性があります。糖尿病、骨粗鬆症などの全身疾患や喫煙習慣がある場合、成功率が低下することがあります。治療後は定期的なメンテナンスが必要です。
インプラントの二次手術後の食事は注意点を守ろう
インプラントの2回法を受ける場合、二次手術後の食事は本記事でまとめた注意点に気を付ければ必要以上に不安に感じる必要はありません。
もし二次手術後の食事はもちろん、そのほかインプラントについて疑問や不安を感じていらっしゃる場合は、私ども高田歯科クリニック(東京都杉並区)にご相談ください。客観的な意見やアドバイスをお伝えいたします。まずはお気軽にご連絡ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2026年8月25日








