インプラント術後の食事総まとめ!おすすめ食品と栄養、NG食品

インプラントの術後、食事を取ってもよいのでしょうか。食事ができるとしても、食べてはいけないものはないのでしょうか。栄養も大事ですし、治療も大事です。どうしたらよいか疑問や不安に感じる方も少なくないことでしょう。
この記事では、インプラントの術後の食事について解説します。おすすめの食品や栄養、避けるべき食品、そのほか食べ方や通常の食事に戻していくスケジュールなどをまとめます。インプラント術後の食事について知りたい方は参考にしてみてください。
この記事でわかること
- インプラント術後の食事は麻酔が切れてから始めるのが基本。当日は流動食・ゼリー食から始め、2〜3日かけて柔らかい食事へ段階的に移行する
- 術後におすすめの食べ物は、おかゆ・雑炊・リゾット、豆腐・卵料理、バナナ・アボカドなど柔らかい果物、スープ・ポタージュ、市販の栄養補助食品など
- 術後に避けるべき食べ物・行動は、硬いもの、粘り気のあるもの、辛いもの、熱い飲食物、喫煙
- 回復を早めるために意識して摂りたい栄養素は、たんぱく質、ビタミンC、亜鉛・鉄分、カルシウム
- 通常の食事に戻す目安は術後3〜6か月。骨結合が完了するまで硬いものは避け、1品ずつ様子を見ながら段階的に再開することが基本
インプラント術後の食事のタイミング
初めに、インプラント術後の食事のタイミングについて、手術の直後を中心に解説していきます。
関連記事:インプラント手術当日~抜糸の食事制限はある?食事やその他の注意点も解説
手術直後に食事をしてはいけない理由
手術が終わった直後は食事をするのは避けてください。いくつか理由があります。
まず、麻酔中は口の感覚がないため、熱さや痛みに気づかず傷口を傷めてしまう可能性があります。当然治るのに時間がかかってしまう原因になります。
さらに血餅(かさぶた)が形成される前に食べ物を食べると出血が再発しやすいことも理由の1つです。やはり治癒の遅れにつながります。
また噛むという動作によって縫合部が物理的に刺激されると、インプラント体がズレてしまう可能性もゼロではありません。
これらの理由から、手術の直後は食事を避けることが不可欠です。
麻酔が切れてから食事を始めるべき理由
上記のように手術直後の食事は避け、食事は麻酔が切れてからにするべきです。
局所麻酔の効果は、一般的に2〜3時間ほど持続します。麻酔の効果が切れて感覚が戻れば、硬さ・温度・痛みを正しく認識できるようになります。そうなれば自覚せずに口内を傷めてしまうリスクがなくなり、安全に食事をとることが可能です。
麻酔中の誤嚥リスクを避けるためにも、麻酔が効いている間の食事は控えて感覚が戻るのを待つことが重要です。
食事のタイミングを守らないとどうなるか
麻酔が切れるのを待たずに食事を取ってしまうことには、口内を傷めるほかにもいくつかのリスクがあります。
まず、傷口への早期刺激がインプラント周囲炎の引き金になるリスクです。傷口に食べカスが付着すると細菌が繁殖しやすくなり、感染症のリスクが高まります。
また血餅がはがれると、傷口の骨がむき出しになる「ドライソケット」を起こす可能性があります。ドライソケットになると、手術から3~5日後に痛みを感じます。その痛みは激しく、我慢できないほどです。
さらに、骨とインプラント体は骨と結合して固定されますが、この結合(オッセオインテグレーション)が妨げられる可能性もあります。
インプラント術後の食事
食事が取れるタイミングを確認したところで、どのような食事が好ましいのか内容や食べ方などについて確認していきましょう。
理想の食事は温度・固さなど刺激が少ないもの
インプラント術後の理想の食事は、刺激が少ないものです。
温度はぬるめ(体温前後)や常温が基本です。熱いものは血流を増加させ出血リスクを高めるので避けましょう。逆に冷たいものは、腫れが残る間はよいのですがそれ以降は控えた方がよいと言えます。冷たい食べ物は血流を抑え、回復に悪影響となるためです。
柔らかさについては、「舌で潰せる程度」が目安です。おかゆのようなかなり柔らかいものということになります。
そのほか、酸味・辛みなど化学的刺激も避けましょう。傷口の炎症を悪化させる可能性があるためです。
柔らかい食べ物の具体例リスト
柔らかい食べ物の具体例を挙げてみましょう。
- 主食:おかゆ・雑炊・うどん(よく煮たもの)・食パンの白い部分
- 主菜:豆腐・茶碗蒸し・スクランブルエッグ、白身魚の煮付け
- 副菜:煮込んだ野菜(かぼちゃ・にんじん・大根)、バナナ・アボカド
どれも柔らかさをイメージしやすく納得できるのではないでしょうか。術後は上記のような食事を組み合わせたりローテーションさせたりするのがおすすめです。
食べるときの口の使い方と姿勢
また、食べるときの口の使い方や姿勢にもポイントがあります。
まず口の使い方としては、手術した側の歯では噛まず、反対側を使うことが基本です。傷口を刺激したり衛生状態が悪くなるのを防ぐためです。さらに小さな口の動きを意識するのもポイントです。口を大きく開けると、縫合部に負荷がかかって悪影響となるためです。
また姿勢については、前かがみは血圧を上げてしまうため出血リスクが高まります。背筋を伸ばして食べるのをおすすめします。
少量ずつゆっくり食べることが大切
術後しばらくは、少量ずつゆっくり食べることが大切となります。
一口の量を小さくすることで、患部への物理的負担を軽くできます。上記のように小さな口の動きを意識するのがおすすめです。口の動きが小さければ自然と少量ずつ食べることになります。
またゆっくり噛むことも大切です。ゆっくり噛むことで消化酵素を含む唾液が十分に分泌され消化を助けます。栄養を吸収しやすくなり、回復に効果的です。また食べ過ぎによる体への負担を避け、回復エネルギーを温存できるというメリットもあります。
インプラント術後に特におすすめの食べ物
インプラントの術後に特におすすめの食べ物を具体的に見ていきます。
おかゆ・雑炊・リゾット
まず、主食のおかゆ・雑炊・リゾットです。
どれも水分を多く含み患部への刺激が少なく、消化吸収にも優れています。どれも米が材料ですが、米のでんぷんがエネルギー補給に役立ち、術後の体力回復を助ける点もメリットです。
野菜や肉などの具材を柔らかく煮て入れれば、ビタミンやミネラル・たんぱく質も一緒に摂れるというメリットもあります。
豆腐・卵料理
主菜・副菜には豆腐や卵料理がおすすめです。
豆腐は咀嚼することがほぼ不要で、植物性たんぱく質を手軽に補給できます。たんぱく質は体を作る栄養素であり、回復には必須の栄養素です。
卵は必須アミノ酸をバランスよく含む完全栄養食に近い食品です。茶碗蒸し・スクランブルエッグ・温泉卵など、いろいろな形で料理に使えるのもメリットです。傷口に配慮しつつ、単調にならないよう食事を楽しむことができます。
バナナ・アボカドなど柔らかい果物
バナナやアボカドなど柔らかい果物もインプラントの術後に取り入れやすい食品です。
バナナは糖質・カリウム・ビタミンB6を含み、エネルギー補給に向いています。あまり食欲がないときも食べやすいため、いざというときの栄養補給にも最適です。
アボカドは良質な不飽和脂肪酸とビタミンEを含み、抗炎症効果が期待できます。
なお同じ果物でも柑橘類は手術直後しばらくの間は避けた方がよいでしょう。酸味が強く傷口に刺激になるためです。
スープ・ポタージュ
スープやポタージュもおすすめです。
野菜を柔らかく煮込めば傷口に負担なくビタミン類を摂ることができます。さらに野菜をペースト状にすれば咀嚼なしに栄養を摂取することも可能です。
さらに温度調整がしやすいため、ぬるめにして提供することで刺激を抑えられます。
かぼちゃ・ほうれん草・ブロッコリーなどビタミン豊富な食材を使いやすいため、栄養面でも有益です。
市販の栄養補助食品・流動食の活用
さらに、市販の栄養補助食品や流動食を組み合わせて活用するのも効果的です。
ゼリー飲料・栄養ドリンクは、術後の食欲がない時に手軽に栄養を補うことができます。また高齢者向け流動食・介護食は、術後食としてそのまま活用できるものが多くあります。確認してみるとよいでしょう。
ただし、ゼリーや栄養ドリンクは糖分が多く含まれていることがあります。過度な糖分は細菌が繁殖する原因となってしまいます。選ぶ際は糖分・添加物が少なく、たんぱく質・ビタミンが含まれるものを優先的に選びましょう。
インプラント術後に絶対に避けたい食べ物・行動
続いて、逆にインプラントの術後に避けるべき食べ物や行動を解説します。
硬い食べ物
まず術後は硬い食べ物を避けてください。硬いものを噛むとインプラント体に過度な力がかかり、骨との結合(オッセオインテグレーション)が破綻するリスクがあるためです。そのほか、縫合糸が切れたり、傷口が開いて出血・感染が起こったりする可能性もあります。
硬い食品の具体例としては、せんべい・ナッツ類・フランスパン・生のにんじんなどがあります。
粘り気のある食べ物
また、粘り気のある食べ物も術後は控える必要があります。粘り気のある食べ物は、口の中で咀嚼するときにインプラントを引っ張る力が生じてしまうためです。仮歯が装着されている場合は、粘着力によって外れる原因にもなります。
そのほか粘着物が縫合部に付着すると、細菌の温床になり感染リスクが上がるというデメリットもあります。
具体的には、キャラメル・餅・グミなどが該当します。これらの食品はしばらく控えるようにしましょう。
辛い食べ物・香辛料
辛い食べ物や香辛料も術後は避けましょう。カプサイシンなどの刺激成分が傷口の粘膜を直接刺激し、炎症を悪化させるためです。また辛い食べ物を食べると血流が促進されますが、この作用により術部の出血が起こりやすくなります。胃腸への刺激も増し、術後に処方された薬の吸収に影響することもあります。
熱い食べ物・飲み物
熱い食べ物・飲み物も術後は控えてください。理由はいくつかあります。
まず、高温が口腔粘膜の血管を拡張させ、出血リスクを高める点が挙げられます。また形成中の血餅(かさぶた)が熱で溶けやすくなり、ドライソケットを招く可能性もある点も理由です。さらに熱さへの感覚が麻酔で鈍っている場合は、やけどに気づかないリスクもあります。
喫煙
最後に、食べ物ではなく行動ですが喫煙は厳禁です。喫煙者はインプラントの失敗率、インプラント周囲炎の発症率が有意に高いという報告があります。
タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させ、患部への血流と栄養供給を妨げてしまいます。さらに一酸化炭素が血液中の酸素運搬を阻害し、組織の修復を遅延させるリスクもあります。
喫煙は傷の回復や骨の結合に悪影響があります。術後に限らず、インプラントを使い続けたいなら禁煙することをおすすめします。
インプラントの部位別・食事の注意点
インプラントの部位によって、多少注意すべき点が異なります。ここでは部位別に見た食事の注意点について解説します。
関連記事:インプラント治療中の歯がない期間の対応法・気を付けるポイントをご紹介
前歯のインプラント後に気をつける食べ方
前歯は食べ物を噛み切ることが主な機能ですが、術後はかぶりつく食べ方を避けるようにしましょう。前歯への刺激を抑えることができるためです。サンドイッチやリンゴの丸かじりなど前歯を使う食品は小さく切って奥歯で食べます。
前歯の場合、審美的観点から仮歯を装着していることが多くあります。そのため前歯に強い負荷がかかると破損するリスクがあります。
奥歯のインプラント後に気をつける食べ方
咀嚼力が集中する奥歯の術後は、傷口のある側で噛むことをできるだけ避けることがポイントです。反対側の歯を使って咀嚼するようにしましょう。また柔らかい食べ物でも奥歯に当たらないよう、舌を使って潰す意識が重要です。
とくに複数の奥歯を同時に処置している場合は、どこで噛むか意識することが必要となります。
複数本のインプラント後の食事の工夫
複数本のインプラント後の場合、流動食に近い食事が必要となります。処置部位が多いほど咀嚼できる場所が限られるためです。
食事の形態をペーストやムース状にする工夫が有効です。また栄養不足になりやすいため、栄養補助食品を積極的に併用することが望ましいと言えます。
全顎インプラント(フルマウス)後の食事管理
上下全顎の場合、手術直後は完全流動食が基本となります。すべて手術した状態であり通常の咀嚼がほぼ不可能なためです。仮歯装着後も、骨結合が完了するまで硬いものは厳禁です。
最終補綴物装着後も、数週間は慣らし期間として段階的にもとに戻していくことが求められます。
回復を意識した食事とは?
インプラントの術後は、口内トラブルを避けるだけでなく傷口の回復を意識した食事を取ることが推奨されます。回復が遅れたり妨げられたりするリスクを抑え、確実な回復に役立つ食事を意識しましょう。以下に具体的に解説していきます。
関連記事:インプラントの術後感染とは?対処と予防の方法を解説
回復に役立つ栄養素とは
まず、回復に役立つ栄養素を解説します。何種類かあるので、順に見ていきます。
たんぱく質
まず初めに挙げられるのがたんぱく質です。傷口の修復にはコラーゲンが必要ですが、コラーゲンの合成にはアミノ酸(たんぱく質の構成成分)が不可欠なためです。さらに免疫細胞・抗体の原料となるのもたんぱく質であり、感染症の予防にもつながります。
術後は代謝が活発になるため、多くのたんぱく質が消費されます。じゅうぶんな量を補うためにも、通常より多めのたんぱく質摂取が推奨されます。
ビタミンC
ビタミンCも回復に重要な役割を果たします。コラーゲン合成において、「補酵素」として酵素が代謝を促進する働きを助けるという役割です。さらにビタミンCの持つ抗酸化作用により、術後の酸化ストレスを軽減して炎症を抑える効果が期待されます。
ビタミンCが不足すると、歯肉の脆弱化・治癒の遅延につながるリスクがあります。意識して摂取するのがおすすめです。
亜鉛・鉄分
亜鉛・鉄分も術後の回復において重要です。
亜鉛は細胞増殖・免疫機能の維持に関わり、傷の修復を促進します。また鉄分はヘモグロビンの構成成分であり、患部に酸素を運ぶという役割を担います。酵素は細胞の再生と組織の修復に重要な役割を果たし、患部の治癒に不可欠です。鉄分は術後の出血により失われやすいため、意識的な補給が必要です。
カルシウム
カルシウムも回復に役立つ栄養素です。インプラント体周囲の骨形成(オッセオインテグレーション)にカルシウムは必須です。
カルシウムは、ビタミンDと併せて摂ることで吸収率が高まります。カルシウムは乳製品・小魚・大豆製品など柔らかく摂取しやすい食品から補えます。ビタミンDを含む魚類・きのこ類を組み合わせると効率よく吸収できるでしょう。
抗炎症作用が期待できる食品とは
患部の回復のほか、腫れを抑える抗炎症作用が期待できる食品もおすすめです。具体例をいくつか挙げてみましょう。
まず、オメガ3脂肪酸(青魚・亜麻仁油)は炎症性サイトカインの産生を抑制する働きがあります。またポリフェノールを含む緑茶・ベリー類は口内の抗酸化・抗菌作用も期待できます。
そのほかショウガ・ターメリックも抗炎症成分を含みますが、術直後は刺激になるため回復後から摂るようにしましょう。
消化がよい食事は回復に役立つ
また、消化が良い食事は回復にも役立ちます。消化に使うエネルギーを節約することで、回復・修復にエネルギーを振り向けられるためです。
さらに胃腸への負担が少ない食事は、術後薬(抗生物質・鎮痛剤)の副作用軽減にも有効です。抗生物質や鎮痛剤は、胃の粘膜を刺激する成分を含むことが多くあります。しかし胃に優しい食事をしてから薬を飲むと、薬による胃荒れを防ぎやすくなります。
消化の良い食品としては、おかゆ・うどん・煮魚・豆腐・卵・バナナなどが挙げられます。
口内環境を整える唾液を分泌させる食べ方
また唾液を分泌させるような食べ方を意識・実践するのもおすすめです。唾液には抗菌・自浄・pH調整作用があり、口内環境を整えて術後の感染予防に役立つためです。
具体的には、よく噛むことが唾液分泌を促します。柔らかいものでも意識して噛むようにしてみてください。また水分を適切に補給することで唾液の量・質を維持しやすくなります。こまめに水分を摂り、口や喉が乾いた状態を避けるのがおすすめです。水分の量は、食事からの水分も合わせて1日1.5〜2リットル程度が目安です。
薬を飲むためにも食事は必要
またすでに軽く触れた通り、薬を飲むためにも食事は必要・有効です。抗生物質・鎮痛剤は空腹時に服用すると胃腸障害が起きやすいため、食後服用が基本です。少量でも食べることで薬の吸収が安定し、血中濃度が適切に維持されるようになります。
食欲がないときも、ゼリーや補助食品を活用して服薬前に何か口にする習慣をつけましょう。
インプラント術後の飲み物の選び方は?
食べ物に続いて、インプラント術後の飲み物の選び方についても確認しておきましょう。
関連記事:インプラント手術後はコーヒーを控えるべき?術後の注意点を徹底解説
おすすめの飲み物と控えるべき飲み物
まずおすすめの飲み物と控えるべき飲み物を区別することが大切です。
おすすめの飲み物・水分は、水・麦茶、ぬるめのスープ、牛乳です。牛乳は刺激が少なく栄養補給もできます。
控えるべきなのは、熱いコーヒー、炭酸飲料、アルコール、柑橘類のジュースです。
コーヒーは温度だけでなくカフェインや酸性度の観点からも、術後数日間は控えた方がよいでしょう。炭酸類は、気泡が傷口に当たると刺激になるほか血餅をはがすリスクもあります。アルコールは血流を促進して血圧を高くするほか、飲みすぎると免疫力を低下させます。柑橘類のジュースは酸性で傷口を刺激してしまうため、避けた方がよいでしょう。
飲み方に関するポイントと注意
続いて、飲み方にもポイントや注意点があります。まず、ストローを使って飲むのは厳禁です。吸う力で血餅がはがれ、ドライソケットを招くリスクがあるためです。またコップから直接飲む際も、手術した側に飲み物が当たらないよう口の角度に注意しましょう。
一度に大量に飲み込まず、少量ずつ口に含んで飲むと患部への刺激を軽減できます。初めは面倒に思うかもしれませんが、一時だけのことと割り切りましょう。
水分補給がなぜ術後の回復に影響するか
栄養が回復に役立つように、水分補給も術後の回復に影響します。適切な水分量が血液循環を維持し、患部への栄養・酸素の供給を助けるためです。
さらに脱水状態は唾液の分泌量を少なくさせ、口内の自浄・抗菌作用を弱めてしまいます。術後は発熱・腫れによって自然と水分が失われやすくなっているため、普段より意識的な水分摂取が重要となります。
インプラント術後の痛み・腫れと食事の関係
インプラント術後の痛みや腫れと食事について、食事の選び方や注意点などについて解説していきます。
関連記事:インプラント治療の術後に気を付けることとは?痛みや腫れを感じないために
術後の腫れがひどいときの食事の選び方
まず術後の腫れがひどいときの食事については、スプーン一杯程度で食べられる流動食がよいでしょう。腫れが強い時期は口が開けにくいためです。
体温程度や常温といった冷たすぎない食事を選ぶと、腫れへの刺激を最小限に抑えることができます。あるいは栄養補助ゼリーやスムージーなど「飲む食事」を活用することでも、口への負担を減らすことが可能です。
痛み止めを飲んでいるときの食事の注意
NSAIDs(ロキソプロフェンなど)といった痛み止めは胃粘膜を荒らすため、空腹時を避け必ず食後に服用するようにしましょう。胃への刺激が少ないおかゆ、柔らかいパンなどを服薬前に食べると副作用を軽減できます。
またグレープフルーツは薬の代謝に影響するため、服薬中は避けることが推奨されます。
食事中に出血した場合の対処法
食事中に出血してしまった場合は、清潔なガーゼを口の中の出血箇所に当てて軽く噛んで5〜10分圧迫止血します。ガーゼがない場合は、清潔なティッシュで代用しましょう。また強く口をゆすぐのは避けてください。血餅を流してしまうためです。
出血が続く場合はすぐに歯科医院を受診しましょう。出血の原因となった食べ物や硬さ・温度などを記録して、以後の食事内容を見直すことが再発防止に役立ちます。
食後に傷口が痛むときのセルフケア
食後に痛みが出る場合は、患部に触れるような咀嚼をしていないか確認しましょう。意識していないまま傷口を刺激してしまっている可能性があります。
また処方された鎮痛剤を適切なタイミング・用法で使用し、自己判断で増量しないことも基本です。さらに患部を冷やす場合は、氷を直接当てずに冷えたタオルを頬の外側から当てる程度にとどめておきましょう。冷やしすぎは血流を悪化させ、回復を遅らせるリスクがあるためです。
通常の食事に戻すスケジュール
次に、通常の食事に戻していく流れを確認しましょう。手術の直後に加えて、中長期的な長さのスケジュールについても解説します。
手術当日〜1週間の食事
手術当日とそこから1週間の食事は以下を参考にしてみてください。
様子を見ながら少しずつ戻していくことが大切です。
避けていた食べ物は少しずつ試して再開
食べ物をもとに戻していく際は、「少しずつ試しながら」が基本です。控えていた食品を一度に何品も試すのではなく、1品ずつ様子を見ながら再開しましょう。
違和感・痛み・出血がなければ翌日も継続し、問題があればすぐに戻してください。再開の順番の目安は以下の通りです。
柔らかい固形食→普通の固形食→やや硬いもの→硬いもの
骨結合が完了するまでの期間と食事の関係
インプラント体とあごの骨が結合・安定するまでの間も注意すべき点があります。
インプラントが安定する前に硬いものを噛むと、そのときのわずかな動揺のせいでインプラントがズレたり不安定になったりするリスクがあります。安定するまでの間もあまり硬いものを食べないよう意識しましょう。骨結合が完了するには、一般的に3〜6か月程度かかるとされます。
仮歯から本番の歯に装着し直した後も、1〜2週間は慣らし期間として食事に配慮するとリスクを減らすことができます。
インプラントの種類・本数による回復期間の違い
インプラントの種類や本数により、多少回復期間に違いがあります。
手術の回数の違いを見た場合、1回法は2回法と比べて術後の回復期間が短い傾向があり、食事制限も短期間になりやすいでしょう。
本数については、数が多いほど口腔内の回復に時間がかかり、普通食への移行が遅くなります。また骨造成(GBR・サイナスリフトなど)を伴う場合は、回復期間が数か月単位で延びることがあります。
食事に不安を感じるときはどうするか
腫れや痛み、感染など食事に不安を感じるときは、疑問点を担当医や歯科衛生士に遠慮なく確認することが最善の対処法です。クリニックで術後の食事指導書・資料を配布している場合は、手元に保管して活用しましょう。
痛み・腫れ・出血が通常のラインを超えると感じた場合は、食事を中断して早めに受診することが大切です。
インプラントの長期的な維持と食事習慣
続いて、10年・20年など長期的にインプラントを維持していくことと食事習慣の関係について考えてみましょう。
インプラントを長持ちさせる食事習慣
まずインプラントを長持ちさせる食事習慣には、いくつかポイントがあります。
まず特定の部位だけで噛んで咀嚼が一部に集中するようなことのないよう、左右バランスよく噛むことが重要です。さらに硬すぎる食品を日常的に避ける意識を持つことも有効です。具体的には、氷や硬い飴、骨付き肉を直接噛むのはやめましょう。
そして規則正しい食事を心がけてください。規則正しい食事は唾液リズムを整え、口内の自浄作用を維持する効果があります。
インプラント周囲炎を防ぐ食生活のポイント
またインプラント周囲炎を防ぐこともインプラントを長持ちさせるために大切です。その際にも食生活のポイントがあります。
まず、糖質・精製糖質は避ける意識を持ちましょう。糖質や精製糖質の摂りすぎは、口内細菌の増殖を促して周囲炎リスクを高めるためです。
その代わり、食物繊維が豊富な食品を摂りましょう。食物繊維はよく噛まないと飲み込みづらいため咀嚼回数がおのずと増えます。その結果、唾液分泌を促進して口内環境を整えることにつながります。
さらにビタミンD・カルシウムを継続して摂取すると、あごの骨の密度が保たれ周囲の骨の吸収を抑えることに役立ちます。
定期メンテナンスと食事管理を組み合わせる重要性
定期検診(3〜6か月ごと)で専門的クリーニングを受けながら、食習慣を同時に見直すことも重要です。
メンテナンス時に食事内容・口腔ケアの状況を歯科衛生士に伝えると、適切な指導が受けられます。食事管理・口腔ケア・定期通院の三本柱で、10年・20年とインプラントを長持ちさせることを目指しましょう。
高齢者・持病がある方の術後食の注意点
解説の最後に、高齢者の方・持病がある方の術後食の注意点を見ていきます。
高齢の方は術後に低栄養にならないようにする
ご高齢の方は、とくに術後に低栄養にならないよう工夫することが大切です。ご高齢の方はもともと咀嚼・嚥下機能が低下していることが多く、術後の食形態の制限で低栄養になるリスクが上がるためです。
たんぱく質・エネルギーを確保するために栄養補助食品(高齢者向けゼリー・ドリンク)の積極活用を心がけましょう。そのほか管理栄養士に相談することや、宅配食サービスの術後食対応プランを利用することも有効です。
持病がある方は適切な食事管理を行う
持病のある方は、ご自身の病気に対応した食事管理を行うことが不可欠です。
たとえば糖尿病の患者様は、術後の感染リスクが高く血糖値管理と食事内容の両立が特に重要となります。降圧薬・血液希釈薬を服用している場合は、食事・薬の相互作用について主治医に確認が必要です。
持病のある方は、術後の食事内容について歯科医・内科医・管理栄養士が連携して対応するのが理想です。
インプラントの術後の食事に関してよくある質問
インプラントの術後の食事に関してよくある質問と回答をまとめました。
インプラントの手術後、いつから食事をしてよいですか?
手術直後は食事を避け、麻酔が切れてから食事を始めてください。局所麻酔の効果は一般的に2〜3時間ほど持続します。麻酔が切れて口の感覚が戻ることで、熱さ・硬さ・痛みを正しく認識できるようになり、気づかずに傷口を傷めるリスクがなくなります。当日は流動食やゼリー食から始め、2〜3日かけて徐々に柔らかい食事へと移行していきましょう。
術後に食べてよいものと避けるべきものを教えてください。
おかゆ・豆腐・卵料理・スープ・バナナなど、柔らかく刺激の少ないものが適しています。温度は体温前後のぬるめが基本です。一方、せんべいやナッツなど硬いもの、餅やキャラメルなど粘り気のあるもの、辛い食べ物、熱い飲食物は避けてください。これらは傷口への刺激や血餅の剥離、インプラント体への過負荷につながるリスクがあります。
術後の回復を助けるために、意識して摂るとよい栄養素はありますか?
傷口の修復を助けるたんぱく質・ビタミンC、免疫や細胞再生を支える亜鉛・鉄分、骨結合に必要なカルシウムを意識して摂ることが大切です。カルシウムはビタミンDと組み合わせると吸収率が高まります。また青魚や緑茶に含まれる抗炎症成分も回復をサポートしてくれます。術後は代謝が活発になり栄養消費が増えるため、普段より意識的な栄養補給が推奨されます。
通常の食事に戻すまでどのくらいかかりますか?
目安として、手術当日は流動食、2〜3日目から舌で潰せる柔らかい食事、4〜7日目から柔らかい固形食へと段階的に移行します。ただし硬いものは骨結合が完了する3〜6か月程度は避けることが推奨されます。骨造成を伴う手術や複数本のインプラントの場合はさらに長くかかることもあります。焦らず1品ずつ様子を見ながら再開するのが基本です。
インプラントの術後の食事を大切に
インプラントの術後の食事は、リスクを低めるだけでなく回復を促進させるためにも重要です。積極的に摂りたい食材、避けるべき食品の特徴、スケジュールなど理解して食事に反映させましょう。
もしも術後の食事に限らずインプラントに関することで疑問や相談ごとがおありでしたら、ぜひわたくしども「高田歯科クリニック」(東京都杉並区)にご相談ください。セカンドオピニオンにも対応しており、客観的な意見を専門家の視点からお伝えします。まずはお気軽にご連絡ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2026年6月9日








