インプラントの術後感染とは?対処と予防の方法を解説

インプラントの治療を受けた後に痛みや腫れを感じて、術後感染では?と不安になることはないでしょうか。あるいはインプラント治療を受けたいけれども、治療後に感染するリスクはないのか気になる方がいらっしゃるかもしれません。
この記事では、インプラントの術後感染について解説します。具体的な症状や対処法、また術後にできる予防法などについてまとめます。インプラントの術後感染に不安を感じている方は参考にしてみてください。
- インプラントの術後感染には、「インプラント周囲炎」と「インプラント周囲粘膜炎」の2種類がある
- 術後感染になってしまったらするべきことは、すぐに受診する、自己判断で市販薬を使わない、口内を刺激しない
- 術後の生活で注意すべき点は、食事の内容と噛み方、じゅうぶんな睡眠、運動、入浴・シャワー、歯磨き、喫煙
- 不適切なケアで起こるトラブルは、出血、痛み・腫れ、化膿や嫌なにおい
- 術後感染の予防策は、感染対策された歯科医選び、禁煙、持病の治療、定期メンテナンス、日々のセルフケア
インプラントの術後感染とは?
インプラントの術後感染とはどのようなものなのか、まず確認していきましょう。具体的には、「インプラント周囲炎」と「インプラント周囲粘膜炎」の2種類の症状があります。
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インプラント周囲炎
「インプラント周囲炎」は、インプラント周辺が歯周病菌に感染して起きる炎症です。進行すると、インプラントがぐらついたりインプラント体が露出します。最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
インプラントの場合、歯根と骨の間の「歯根膜」がありません。そのため炎症が骨に到達しやすく、進行スピードが早くなるという側面があります。さらに天然歯と比べて異変に気づきにくいため、重症化しやすくなります。
インプラント周囲粘膜炎
「インプラント周囲粘膜炎」は、インプラント周辺の粘膜が炎症を起こしている状態のことです。インプラント周囲炎より軽度ですが、放置しておくとインプラント周囲炎に移行します。
インプラント周囲粘膜炎の段階であれば、早期に適切なケアと治療を行うことで回復することができます。
インプラント治療で術後感染が起こる原因
インプラント治療で述語感染が起こる原因はいくつかあります。
まず歯磨きなどの口腔ケアが不十分な場合、細菌が繁殖しやすくなり術後感染のリスクが高まります。また喫煙も血流悪化と免疫力低下の原因となり、術後感染の原因となります。
さらに歯科医側の原因として挙げられるのは、歯科医院の感染対策不足です。そのほか事前の確認・診察不足として、糖尿病などの持病を治療していない場合、歯周病にかかったまま治療してしまった場合も術後感染の原因となります。
術後感染になってしまったら
次に、術後感染になってしまった場合にどう対処するべきか解説します。
すぐに受診する
まず、腫れや痛みなどがあり術後感染かもしれないと思ったら、すぐに歯科医院を受診しましょう。手術したところが腫れたり痛んだりする、膿が出るといった場合は感染が疑われます。
手術から1週間以上経過しても改善されない場合は早期受診を心がけましょう。根拠なしになんとなくただ様子を見ることは、状態悪化の原因となります。
自己判断で市販薬を使わない
また自己判断で市薬品を使うのも避けましょう。市販の抗菌薬や消毒薬を飲むと、症状が一時的に落ち着いてしまってかえって診断が遅れることがあるためです。また原因となっている細菌への効果が期待できない場合もあります。
手術後には多くの場合、抗生物質や痛み止めが処方されます。処方された薬は指示通りに飲み切るようにしましょう。処方薬を自己判断で中断すると感染リスクが高くなる恐れがあるためです。
薬で副作用や体調不良を感じた場合も、すぐに担当の歯科医師に相談しましょう。
口内を刺激しない
また口内を刺激しないことも大切です。傷口を広げたり炎症の原因となったりすることがあるためです。
うがいやブラッシングを強くしないようにしましょう。また手術した場所を指や舌で触るのも回復を妨げる原因になります。そのほか硬い食べ物や辛い食べ物も炎症を悪化させるリスクが高まります。
傷口が治癒するまでしばらくの間は口内を刺激しないように注意することが大切です。
インプラント周囲炎の治療方法
続いて、歯科医でインプラント周囲炎の治療を受ける場合に具体的にどのような治療を受けるのか確認しましょう。原因となっている細菌を取り除くほか、症状がひどい場合は外科的な方法が採られることもあります。
歯垢・歯石を除去する
まず、歯垢や歯石を除去します。インプラント周囲炎は歯周病菌が原因で引き起こされますが、歯垢・歯石は細菌の固まりで症状を進行させてしまうためです。
歯垢・歯石を取り除いて口内の細菌数を減らし、周囲炎の進行を食い止めます。必要な場合は、人工歯を取り外して歯垢・歯石を除去することもあります。通常の歯磨きでは歯石は取れません。そのため専用器具を使ってクリーニングすることが必要です。
殺菌・抗菌する
歯垢・歯石のクリーニングと組み合わせて、薬剤を使って殺菌を行うこともあります。歯周ポケットをピンポイントで殺菌する方法や口内全体をうがいで殺菌する方法などがあり、状況によって使い分けます。
さらに抗生物質を服用したり歯周ポケットに入れたりして、抗菌の処置を行うこともあります。腫れや痛みなど炎症を抑えたり、細菌が血液中に侵入したりするのを防ぐためです。
殺菌・抗菌の処置は、どちらも症状の進行度に合わせて物理的なクリーニングと併用して行われます。
切除・再生などの療法を行う
殺菌・抗菌の処置をしても改善されない場合、切除や再生など外科的な療法を行うこともあります。
切除法は、回復が見込めない組織を取り除く方法です。歯ぐきを切り開いて、汚染されたインプラント体を薬剤やレーザーで処置したうえで行います。切除法のあとは再生療法が行われます。切除法は進行を止めることができますが、破壊された組織は自然回復しないためです。再生療法には、患者本人の骨・歯肉を移植する方法や、人工材料を使う方法などがあります。
インプラントを除去する
これまで解説してきた方法を行ってもインプラント周囲炎が治癒しない場合は、インプラントを除去するしかありません。除去した場合は、入れ歯などほかの方法で歯を補うことになります。
除去や再手術は患者様への負担が大きくなってしまいます。除去せざるを得ないような状況になるのを防ぐためにも、早いうちに受診して治療することが大切です。
術後の生活で注意すべき点
術後感染を防ぐために、患者様が生活で注意すべき点についてまとめます。
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食事の内容と噛み方
食事については、内容と噛み方に注意が必要です。
いくつか避けるべき食べ物があります。辛いもの、硬いもの、粘着性の高いもの、極端に熱い/冷たい飲み物などです。いずれも傷口に刺激となり、腫れや痛みがひどくなるなど負荷をかけてしまう可能性があるためです。
またアルコールの摂取も控えましょう。血流が多くなり、出血や腫れのリスクが高まります。
そのほか傷口が安定するまでの間は、できるだけ手術したのとは反対側の歯を使って噛むようにしましょう。手術した側で噛むと、やはり傷口を刺激することになってしまうためです。
じゅうぶんな睡眠
さらにじゅうぶんな睡眠をとるようにしましょう。しっかり眠ることで免疫力が保たれ抵抗力が高まり、術後感染のリスクを低減できるためです。逆に言えば睡眠不足はリスクを高めてしまいます。
また就寝時には、姿勢にも注意しましょう。可能であれば、頭を少し高く保つことがおすすめです。それにより患部に血流が集中しすぎなくなり、腫れを軽くできる可能性があります。
運動
術後しばらくの間は、激しい運動を控えましょう。血流が促進され、腫れや出血に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
また運動による発汗や体力消耗により、体力が消耗し一時的に免疫力も低下します。その点でも術後感染のリスクを高めてしまいます。
軽い運動は問題ないケースが多いですが、術後しばらくは体への負担を抑えるよう生活しましょう。
入浴・シャワー
入浴も血流を増加させないようにすることが大切です。運動同様、腫れや痛みなどの炎症を悪化させる可能性があるためです。
長時間の入浴や高温のお湯に入ることは避けましょう。温泉やサウナも同様にしばらくの間は避けることが推奨されます。術後の数日は、風呂のお湯をぬるめにしたりシャワー程度にとどめたりして血流を刺激しないことがリスク低減につながります。
歯磨き
歯磨きは、患部とそれ以外でブラッシングの方法を使い分けることが大切です。
患部は傷口の回復のため、付近をふくめてブラッシングはしばらく避けましょう。ただし患部以外の場所はていねいにブラッシングすることが大切です。全体のブラッシングが不十分だと雑菌が繁殖して口内の衛生状態が悪くなるためです。
なお処置したところの位置や術後の状態も考慮する必要があるため、ブラッシングやフロスの方法については歯科医や歯科衛生士に確認して指示に従うようにしましょう。
喫煙
喫煙は無条件でやめましょう。どうしてもやめられない場合は、歯科医に相談しつつ対処してください。
すでに解説した通り、喫煙は血流に悪影響を及ぼします。回復を遅らせる原因になるだけでなく、免疫力を低下させて術後感染のリスクを高めます。
理想は、インプラント治療の前に禁煙することです。禁煙外来を利用するか、少なくとも本数を減らすことが推奨されます。
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術後の服薬について
続いて、術後に処方される薬の服薬についてまとめます。
鎮痛剤
多くの場合には鎮痛剤が処方されますが、痛みの程度に合わせて服用しましょう。飲む際の目安など歯科医からの説明に従うことが大切です。飲みすぎや飲み忘れに注意し、自己判断することはやめましょう。
またすでに述べたように、市販の鎮痛剤を自己判断で追加使用することは避けてください。理由があって処方されているものなので、指示された薬・飲み方を守ることが大切です。薬の効果が感じられない場合や副作用がある場合は、担当医に報告・相談してください。
抗菌剤(抗生物質)
抗菌材(抗生物質)が処方された場合も、指示に従って服用します。
抗生物質は患部周辺で細菌が繁殖するのを防ぎます。処方された分を指示通りに飲み切ることが大切です。指示を守ることで、術後感染のリスクを抑えてスムーズに回復する可能性が大幅に高まります。
アレルギーや消化器症状などの副作用が現れた場合は、すぐに歯科医師に報告しましょう。やはり自己判断で中止することは禁物です。
不適切なケアで起こるトラブル
続いて、ケアが不適切だったり不十分だったりするときにどのようなトラブルが起こるか見ていきましょう。術後感染のサインであるケースも少なくありません。また術後感染ではないこともありますが、放置しておくことで感染につながる可能性があります。
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出血
1つめのトラブルは出血です。患部に刺激を与えてしまうと起こる可能性があります。
出血の原因となる行為の例としては、強すぎるうがいやブラッシング、硬い食べ物を食べることなどが挙げられます。手術後しばらくは患部が出血しやすい状態となっています。その状態で刺激を与えてしまうことは避けましょう。
なお出血してしまった場合、長時間止まらない、出血の量が多いときは歯科医にすぐに連絡しましょう。何らかの異常があると考えられるためです。
痛み・腫れ
次は痛みや腫れです。患部が回復するための自然な反応であることもありますが、インプラント周囲炎などが原因となっているケースもあります。
自然な反応であれば1週間程度で治まりますが、長期にわたる場合や術後しばらく経ってから痛みや腫れが生じた場合は注意が必要です。
ケア不足などで口内の細菌が増えると、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎となってインプラントの周辺が炎症を起こして腫れ・痛みが生じることがあります。おかしいかもしれないと感じたら、歯科医を受診するようにしましょう。
化膿や嫌なにおい
患部から膿が出た場合、術後感染しているサインです。すぐに歯科医院に連絡しましょう。
膿が出るのは、歯周病菌が増えて化膿してしまっている状態です。嫌なにおいがする場合も膿の可能性が高いため、診断を受けることが不可欠です。放置すると周囲に悪影響が及びます。また自己処置ではなく専門知識のある医師が処置することが求められます。
術後感染の予防策
最後に、術後感染の予防策について解説します。術後に注意すべき点についてはすでに解説したので、ここでは治療を受ける前にしておくべきことや術後でも長期的に続けるべきことについてまとめます。
感染対策された歯科医選び
術後感染の予防は、歯科医選びから始まります。しっかり感染対策されている歯科医を選びましょう。
クリーンルームがあるかといった手術室の環境、器具の滅菌方法、スタッフの衛生管理意識などが重要です。設備については、事前にカウンセリングに訪問したりホームページを見たりして確認できます。スタッフの意識は、患者ごとにグローブを交換したり器具を消毒しているかなどを訪問時に確認しましょう。
そのほか、治療実績、メンテナンス体制、説明のていねいさなどからも判断すると、納得して治療を受けることができます。
禁煙
また自分の努力として、喫煙している方は禁煙しておくことも重要です。
すでに述べたように、喫煙は血流に悪影響を及ぼし術後感染やインプラントの定着・安定についてリスクを高めます。
禁煙外来を受診するなど、意志に頼らない禁煙方法も試してみるとよいでしょう。
持病の治療
さらに悪影響となりうる持病も治療の前に治療しておきましょう。
とくにリスクを高めるのは、糖尿病や貧血です。どちらも免疫力・抵抗力や治癒力が低下するため、術後感染のリスクが高まります。これらの持病の治療を受けることで、リスクを低減することにつながります。
すぐに治癒できないケースもありますが、少なくとも治療前に歯科医に申告して専門医と連携して治療方法を検討してもらうことが必要です。
定期メンテナンス
治療を受けた後は、必ず定期メンテナンスを継続して受けましょう。
定期メンテナンスでは口内のチェックと歯のクリーニングを行います。その結果口内衛生がよい状態に保たれ、インプラント周囲炎の予防につながります。また不具合も早い時期に発見でき、あらゆる点からリスクを抑えることが可能です。
メンテナンスは、3か月~半年に1回ぐらいのペースが推奨されます。
日々のセルフケア
定期メンテナンス同様、治療後は日々のセルフケアが非常に重要です。
毎日の歯磨きによるセルフケアで、インプラント周囲炎の原因菌が繁殖するのを防ぐことができます。さらに歯間ブラシやフロスも組み合わせて利用することで、ブラッシングだけでは手の届かない場所の汚れも落とすことができます。
定期メンテナンスでブラッシングやフロスの指導を受けると、自己流になるのをふせぐことにつながります。
インプラントの術後感染についてよくある質問
インプラントの術後感染についてよくある質問と回答をまとめました。
Q. インプラント周囲炎とインプラント周囲粘膜炎はどう違いますか?
A. インプラント周囲粘膜炎は粘膜のみの炎症で、比較的軽度な状態です。一方、インプラント周囲炎は炎症が骨にまで及んだ重篤な状態で、放置するとインプラントがぐらついたり抜け落ちたりすることもあります。周囲粘膜炎の段階で適切な治療を受ければ回復できるため、早期受診が重要です。
Q. 術後感染かもしれないと思ったら、まず何をすればよいですか?
A. 腫れ・痛み・膿などの症状があれば、すぐに歯科医院を受診してください。手術から1週間以上経っても改善しない場合も早期受診が必要です。市販の抗菌薬や消毒薬を自己判断で使うと診断が遅れる恐れがあるため、受診前に自己処置することは避けましょう。
Q. 術後感染を防ぐために、日常生活で特に気をつけることは何ですか?
A. 口内を刺激しないことが基本です。強いうがいやブラッシング、硬い食べ物、アルコール、激しい運動、長時間の入浴などは腫れや出血を悪化させる可能性があります。また十分な睡眠をとって免疫力を維持することも大切です。処方された薬は指示通りに飲み切るようにしましょう。
Q. 喫煙はインプラントの術後感染にどのような影響がありますか?
A. 喫煙は血流を悪化させ免疫力を低下させるため、術後感染のリスクを大きく高めます。回復を遅らせる原因にもなるため、理想はインプラント治療前に禁煙しておくことです。どうしてもやめられない場合は禁煙外来を活用するなど、意志だけに頼らない方法を試みることが推奨されます。
Q. インプラント周囲炎になった場合、どのような治療が行われますか?
A. まず歯垢・歯石の除去と薬剤による殺菌・抗菌処置が行われます。それでも改善しない場合は、感染組織を取り除く切除法や骨・歯肉を再生する外科的療法が行われます。重症化してすべての治療が効果を示さない場合は、インプラントを除去せざるを得ないこともあるため、早期治療が大切です。
インプラントの術後感染は適切なケアで防ごう
せっかくインプラント治療を受けても、ケアが不十分だと術後感染により余計な負担がかかってしまいます。歯科医の指示を守って、適切なケアを続けることが大切です。
しかしケアを怠ってしまった場合、あるいはそもそも患者様ご本人ではなくほかに原因があって術後感染が生じたり疑われたりする場合もゼロではありません。
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カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2026年4月17日








