喫煙がインプラントに与える悪影響や術後のリスクとは?
喫煙というと体に悪いイメージがあり、「喫煙しているけどインプラント治療はできる?」「インプラント治療をしたいけど必ずタバコはやめないといけない?」と疑問に思われている方は多いのではないでしょうか。
事実、喫煙はインプラント治療を行ううえで様々な影響を与え、多くのリスクを伴うことが分かっています。
本記事では、喫煙がインプラント治療においてどのような悪影響を及ぼすのか、インプラント手術後のリスクについて詳しく解説していきます。
-喫煙がインプラントに与える8つの悪影響-
- ニコチンによって血流が抑制される
- 歯茎の免疫力が低下する
- インプラントと骨が結合しにくい
- 炎症を引き起こす
- インプラント周囲炎になりやすい
- 唾液の量が減少する
- 治療期間が長引く
- 手術が失敗する確率が高まる
-インプラント治療終了後の喫煙リスク-
- インプラントがぐらぐらする、抜ける
- インプラントの寿命が短くなる
- インプラント周囲炎になりやすい
- インプラントの保証を受けられなくなる
- 口腔内全体の環境が悪化する
- 残った歯の健康にも影響する
本記事内でより具体的に解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
喫煙がインプラントに与える悪影響
早速、喫煙がインプラントに対してどのような悪影響を与えるのかについてみていきます。
- ニコチンによって血流が抑制される
- 歯茎の免疫力が低下する
- インプラントと骨が結合しにくい
- 炎症を引き起こす
- インプラント周囲炎になりやすい
- 唾液の量が減少する
- 治療期間が長引く
- 手術が失敗する確率が高まる
1つずつ詳しく解説していきます。
ニコチンによって血流が抑制される
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があり、血流が抑制されます。そのため、インプラントを支える歯肉に血液や酸素、栄養が上手く行き届かないことで、傷口の治りを悪くしてしまいます。
また、インプラント体と顎の骨の結合が妨げられる可能性も高くなります。
歯茎の免疫力が低下する
タバコに含まれているニコチンなどの有害物質には、免疫機能を低下させる働きがあります。
免疫力が低下すると細菌に対抗する力が弱まり、歯周病やインプラント周囲炎などの細菌感染症のリスクが高まります。
インプラントと骨が結合しにくい
タバコに含まれるニコチンによって血流が悪化すると、インプラントを支える歯茎に必要な血液や酸素が十分に行き届かなくなり、インプラント体と顎の骨がうまく結合しにくくなります。
インプラントがしっかり固定されないことで、結果的にインプラントが抜け落ちる“離脱”につながる可能性が高くなるのです。また、免疫力も低下するため、手術後の傷の治りも悪くなるでしょう。
炎症を引き起こす
タバコに含まれているニコチンには白血球の機能を低下させてしまう働きがあります。白血球は体内において、細菌から体を守る役割を持っています。その白血球の機能が低下することで、歯茎から細菌が侵入した際に炎症が進行しやすくなるため注意が必要です。
このことから、喫煙者はタバコを吸っていない方に比べて炎症が悪化しやすく、インプラントの状態も悪くなってしまいます。
インプラント周囲炎になりやすい
インプラント周囲炎とは、インプラントにおける歯周病のようなものです。進行すると顎の骨を溶かしてしまい、次第にぐらつき、最終的には抜け落ちてしまう可能性があります。
また前述した通り、喫煙によって血流が悪くなることで免疫力の低下が起こり、それに伴う細菌感染が起きやすいことから、インプラント周囲炎になる確率が高いのが現状です。
唾液の量が減少する
喫煙をすると、唾液の分泌量が低下します。唾液は、口内の乾燥を防ぐだけではなく、細菌の増殖を抑えたり、口内の汚れを洗い流したりする大事な役割を担っています。
そのため、唾液の分泌量が低下してしまうと口腔内で細菌が増え、口内環境全体が悪化してしまい、細菌感染を引き起こしやすくなるのです。
また、唾液の量が少ないとインプラントへの悪影響だけではなく、天然歯も虫歯や歯周病になる確率が高まるため注意しなければなりません。
治療期間が長引く
前述した通り、喫煙によって傷口の治りが妨げられたり、インプラントと顎の骨の結合が遅くなったりした場合、想定より治療期間が長引くことが予想されます。
その場合、患者様の精神的・身体的な負担が大きくなってしまう懸念があるでしょう。
また、インプラントの治療法として「1回法」と「2回法」があります。1回法は全身状態や骨、粘膜の状態が良好な方が選択できる方法です。
1回法の術後はインプラントの土台となるアバットメントが歯茎の上に露出した状態で過ごさなければならないため、喫煙者の場合は細菌感染症を発症する可能性が高まります。
そのため、喫煙者は必然的に2回法が用いられることがほとんどです。その名の通り2回の手術が2回必要となるため、手術の面で見ても1回法に比べて長い期間の治療が必要となります。
手術が失敗する確率が高まる
喫煙習慣があるとこれまでお話しした様々な問題が起こり、インプラントと顎の骨がうまく結合できず治療が失敗に終わってしまう可能性が高いでしょう。たとえインプラントを埋入できたとしても、早い段階でぐらつきや抜け落ちてしまうリスクがあります。
非喫煙者に比べて喫煙者の方が、手術の失敗確率が高くなることはあらゆる調査で明らかになっているため、インプラント治療を成功させるためには喫煙は避けるべきと言えるでしょう。
インプラント治療終了後の喫煙リスク
インプラント治療が終了したあとに喫煙を続けることによって起こるリスクは以下の通りです。
- インプラントがぐらぐらする、抜ける
- インプラントの寿命が短くなる
- インプラント周囲炎になりやすい
- インプラントの保証を受けられなくなる
- 口腔内全体の環境が悪化する
- 残った歯の健康にも影響する
1つずつ詳しく見ていきましょう。
インプラントがぐらぐらする、抜ける
タバコに含まれるニコチンなどの有害物質の影響で、インプラントと顎の骨の結合が妨げられることがあります。
インプラントが安定しなくなることで、結果的にぐらぐらしたり、最終的には抜け落ちてしまったりするリスクが高くなってしまうのです。
インプラントの寿命が短くなる
インプラントの平均寿命は10〜15年と非常に長く、丁寧なセルフケアや定期的なメンテナンスを行えば20年以上持つケースも珍しくありません。
しかし、治療後に喫煙を再開すると、歯茎に酸素や栄養が行き届かなくなることで、インプラント周囲炎などのトラブルが起きやすくなり、インプラントが長持ちしない可能性が高くなります
インプラント周囲炎になりやすい
インプラント治療後に特に注意しておかなければいけないのが、インプラント周囲炎です。神経が通っていないインプラントは初期段階で自覚症状が少なく、感染に気付きにくいものです。
進行すると少しずつ痛みや出血、歯茎の腫れなどが徐々に現れ、さらに悪化するとインプラントを支える顎の骨が吸収され、ぐらつきや脱落につながる恐れがあります。
インプラント歯周炎は、非喫煙者でも気をつけなければいけない疾患の1つです。喫煙によって免疫力の低下や口腔内の状態が悪い喫煙者ならなおさら発症する確率が高くなります。
インプラントの保証を受けられなくなる
歯科医院によって異なりますが、多くの場合インプラント治療には、5~10年の保証期間が設けられています。
インプラント治療は自由治療ですが、保証期間内に破損や脱落など何らかの問題があった際、無償もしくは一部の費用負担で再治療が受けられるという制度です。
この保証を受けるためには、定期的なメンテナンスに通うことなど一定の条件が必須となります。しかし、保証外となるケースもあり、その中に「喫煙していること」が含まれていることが多いのです。
そのため、万が一のときに保証を受けるためにも禁煙を推奨します。また喫煙者の方は、治療前に担当の歯科医師と話し、適切なケアを受けることも大切です。
口腔内全体の環境が悪化する
喫煙はインプラントだけでなく、口腔内全体の環境にも影響を及ぼします。
タバコに含まれるニコチンは、免疫力低下・唾液量の低下などを引き起こすことが知られており、細菌の増加や感染症の発症のリスクが高まります。このように口内環境全体の悪化を招いてしまうのです。
残った歯の健康にも影響する
喫煙により口内環境が悪化すると、今ある健康な天然歯にも細菌が広がり、虫歯や歯周病を引き起こしてしまいます。インプラント周囲の炎症や感染が、周辺の歯や歯茎に広がることがあるためです。
残存歯を健康に保つためにも、禁煙は必要不可欠であると言えるでしょう。
「インプラント 喫煙」に関するよくある質問
最後に、「インプラント 喫煙」に関するよくある質問にお答えしていきます。
喫煙者でもインプラント治療は受けられますか?
結論からお伝えすると、ほとんどの場合、喫煙者でもインプラント治療を受けることは可能です。しかし、ヘビースモーカーの場合は治療を断られることもあるかもしれません。
喫煙は、インプラント治療に対して様々な悪影響を及ぼす原因の1つであり、非喫煙者に比べて喫煙者の方がインプラントの失敗や感染症などのリスクが高くなりやすいことが知られています。
そのため、可能であればインプラント治療前から治療後も禁煙をするのが理想です。インプラント治療を成功させ、その後も健康な状態を長く保つためにも、歯科医師の指示に従い、適切な管理を行いましょう。
電子タバコや加熱式タバコの場合は問題ないですか?
電子タバコや加熱式タバコは、紙タバコと比べると量は少ないものの、有害物質が含まれていることに変わりないため問題ないとは言えません。
インプラント治療に悪影響を与える有害物質が含まれているため、インプラント治療を成功させ長く持続させるためにも、電子タバコも加熱式タバコも控えるべきです。
インプラントの術後は喫煙してもいいですか?
結論からお伝えすると、インプラントの術後も禁煙するのが理想です。
インプラント治療が終わったとしても、喫煙を続けるとタバコに含まれる有害物質により免疫力が低下することで、傷口の治癒を妨げたり、感染症を引き起こすリスクが高まります。
また唾液量も低下するため、口内の細菌が増加し、健康な天然歯にまで虫歯や歯周病などの悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、インプラント治療をきっかけに思い切って喫煙をやめるのがおすすめです。健康な口腔状態を維持し、インプラントを長持ちさせましょう。
喫煙していると保証を受けられないのは本当ですか?
歯科医院によって保証を受けられる条件は異なりますが、保証対象外となるケースに喫煙が含まれている歯科医院が多いのが現状です。
つまり、喫煙がインプラント治療に悪影響を及ぼすことは歯科の中でも共通認識とされているわけです。
インプラント治療を安心して受けるためにも、そしてインプラントを長持ちさせるためにも禁煙することが理想ですが、保証内容は歯科医院によって異なります。
気になる方はインプラント治療を検討されている歯科医院に確認してみましょう。
喫煙習慣を改善し、インプラント治療を成功させましょう!
喫煙習慣がある方でもインプラント治療を受けることは可能ですが、非喫煙者と比べてインプラントの失敗や感染症のリスクが高くなってしまいます。
また、インプラントは決して安いものではなく、他の治療と比べて高い費用がかかるため、できる限り長持ちさせたいところです。感染症などのリスクを減らし、インプラントを長くお使いいただくためにも、インプラント治療を検討されている方はぜひ今日から喫煙習慣を見直してみましょう。
インプラント治療について気になることや不安に思われることがございましたら、ぜひ一度当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年7月3日