インプラント手術後の違和感はいつまで続く?原因と対処法を徹底解説
インプラントは、自分の天然の歯に近い噛み心地と審美性を取り戻すことができる治療法です。しかし、直接インプラント体を埋め込むために起こるインプラント特有の違和感やトラブルの話もごく稀に伺うことがあります。
違和感が長く続く場合、不安になることも、なるべく早く解消したいお考えの方も多いのではないでしょうか。
「本記事では、インプラントの違和感について、原因や対処法、インプラントを違和感なく使い続けるためにできることなどを解説していきます。
-インプラント手術直後の違和感-
- 手術によりダメージを受けている、腫れている
- インプラントが適切に埋入されていない
- 歯が入ったことに慣れていない
- インプラントのネジが締まり過ぎて圧迫感がある
-【要注意】インプラント治療から数週間後~数年後に発生する違和感-
- インプラント術後から痛みが長期的に続いている
- インプラント周囲炎を発症している
- アバットメントや人工歯のネジがゆるんでいる
- インプラントの摩耗や破損で噛み合わせが変化(悪化)している
-インプラント治療後の違和感への対処法-
- 術後の痛みや違和感なら、処方された痛み止めなどの薬を服薬する
- できるだけ早く歯科医院を受診する
- インプラントに負担や衝撃を与えないように注意する
インプラント治療後の違和感にお困りの方、インプラント治療を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
インプラント手術後の違和感はいつまで続くのか
インプラントの治療は、他の歯科治療と比べて大がかりな外科手術を伴います。
そのため手術後2~3日程度は痛みや腫れなどの症状、1週間ほどは違和感を抱くことがあるでしょう。長くても2週間くらいで解消するケースがほとんどです。
適切なインプラント手術を行ってもらい、治療後のケアも怠らなければ基本的に問題はありません。しかし、違和感が長期間続く場合は、インプラントに何かしらのトラブルが起きている可能性があります。
違和感があれば、できる限り早くインプラント治療を受けた歯科医院で症状を診てもらいましょう。
インプラント治療後の違和感の原因
インプラント治療後に違和感を覚える原因はさまざま考えられます。また、違和感があるタイミングによって原因が変わってくる場合もあるでしょう。
ここからは、「インプラント手術直後」と、「インプラント治療から数日後~数年後に発生する」ケースに分けて、考えられる原因を見ていきます。
インプラント手術直後の違和感
まずはインプラント手術直後に起こり得る違和感の原因を見ていきます。
手術によりダメージを受けている、腫れている
インプラントの手術では、歯茎を切って、顎の骨にドリルで穴をあけてインプラント体を埋め込みます。よって、口の中は当然大きな衝撃を受けています。
また、外科手術のため術後は痛みや違和感が続くものです。そしてこの違和感は時間とともに軽くなり、通常、何も処置しなくても自然に消滅していきます。
ただし、顎がしびれる、麻痺するといった違和感は、神経を傷つけている可能性があります。こうした症状がある場合はすぐに歯科医院で診てもらいましょう。
インプラントが適切に埋入されていない
インプラントが正しい位置に埋入されていない場合、他の歯の歯根や神経に触れて、違和感や痛みが生じる可能性があります。インプラントを埋め込む顎の骨の周辺には、重要な神経がたくさん存在しています。
また、上顎の歯根部には、上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる空洞があり、もともと顎の骨が薄い状態です。
そこでインプラント治療中に不適切な処置が行われると、インプラントの先が上顎洞を突き抜けてしまい、上顎洞に炎症が起こり、副鼻腔炎や蓄膿症と似た症状が現れることがあります。
インプラント体の位置が悪い場合は、インプラントを一度撤去し、再手術が必要となるケースもあるため、まずは歯科医院に相談しましょう。
歯が入ったことに慣れていない
インプラント手術が終わって人工歯(被せ物)が入ると、今まで歯が無かった部分に噛む場所ができます。これにより噛み合わせのバランスが変わるため、多少の違和感を覚えることもあります。
歯がなかった期間が長い方では特に、歯のない状態に慣れていることが違和感の原因です。たいていの場合は、生活しているうちに慣れてきて違和感もなくなっていくでしょう。
インプラントのネジが締まり過ぎて圧迫感がある
インプラントの人工歯を固定する方法は、大きく分けて2つあります。
1つは連結用のパーツである「アバットメント」にネジ状のスクリューで固定する方法、もう1つは歯科用のセメントで接着する方法です。
前者のスクリューで固定する場合、ネジが締まりすぎてしまうと圧迫感が出る可能性があり、違和感につながることがあります。
【要注意】インプラント治療から数週間後~数年後に発生する違和感
治療後には違和感がなくても、年を経てから違和感やトラブルが起きるケースもあります。これは手術直後の違和感より厄介です。
早速、具体的な状況や原因を見ていきましょう。
インプラント術後から痛みが長期的に続いている
インプラント手術後の痛みや腫れは個人差がありますが、通常は1週間程度(長くても2週間程度)で落ち着きます。
もし鎮痛剤を服用しても痛みがおさまらない場合は、薬が合わない、または施術部位周辺で何らかの問題が起こっている可能性があります。
2週間以上痛みや強い違和感が続く場合は我慢せず、おかしいと感じたら早急に医師に相談しましょう。
インプラント周囲炎を発症している
インプラント周囲炎は、簡単に言うとインプラントの歯周病です。インプラントそのものは虫歯になることはありませんが、周辺組織がインプラント周囲炎に感染すると、天然歯と同じように骨が吸収(溶ける)されてしまいます。
インプラントは人工物のため神経が通っている天然歯とは違い、何か異常があっても痛みや違和感を得られにくく、発見が遅れがちに…。特に初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、知らぬ間に悪化しているケースがほとんどです。
インプラント周囲炎が悪化すると出血や腫れが起きたり、顎の骨が吸収されてインプラントを支えられなくなり、せっかく入れたインプラントが抜けてしまったりする場合もあります。
まずはインプラント周囲炎にならないよう、日々のケアや歯科医院での定期的なメンテナンスを心がけましょう。それでも万が一出血や腫れなどの症状を感じたら、すぐに歯科医院を受診し早めに対処することが必要です。
アバットメントや人工歯のネジがゆるんでいる
インプラント治療は、金属のインプラント体を骨に埋め込み、その上に人工歯を取りつける方法です。長期間使用していると、インプラント体と人工歯をつなぐネジの部分が緩んでくる可能性があります。
その際、人工歯が動いて違和感を覚えることがあるのです。アバットメントやネジが緩んでいるだけであれば、ネジを締め直すなどの簡単な処置で違和感が改善されるケースが多いでしょう。
インプラントの摩耗や破損で噛み合わせが変化(悪化)している
天然歯と同じように、長期間の使用や歯ぎしりなどでインプラントに負担がかかると、人工歯も摩耗していきます。この人工歯がすり減ることで噛み合わせが変わると違和感を覚えることがあるのです。
また、ジルコニアなど天然歯より硬い素材を使用した場合、対面する歯や周囲の天然歯がすり減って噛み合わせが変わることもあり、他の歯と高さの差が出やすい傾向があります。このズレが違和感の大きな原因となるのです。
インプラント治療後の違和感への対処法
ここからは、インプラント治療後(手術後)に違和感がある場合の対処法についてご紹介していきます。
術後の痛みや違和感なら、処方された痛み止めなどの薬を服薬する
インプラント手術による炎症が原因で痛みや圧迫感、違和感がある場合は、痛み止めや炎症を抑える薬を服用することで症状を軽減できます。
処方された薬を、歯科医師からの指示の通りに服用してください。痛みが激しい場合や、鎮痛剤の効果が感じられない時は、迷わず相談するようにしましょう。
できるだけ早く歯科医院を受診する
違和感を覚える場合は早めに歯科医院を受診することが大切です。例えば、歯磨きの際に毎回出血する、歯茎が腫れている、噛んだときに動く気がするなど、小さなトラブルを見逃さないように注意深く観察しましょう。
また、上記に挙げた症状が起きている場合、インプラント周囲炎の可能性もあるため、できるだけ早く受診し、適切な処置を受けてください。
違和感が強い、痛みが続く場合には手遅れにならないためにも、歯科医院の受診を先延ばしにしないようにしましょう。
インプラントに負担や衝撃を与えないように注意する
インプラントに何かしらの違和感がある場合、インプラント周辺に負担や強い衝撃を与えないよう注意が必要です。
もし炎症が起きていれば悪化し、歯周病が進行してしまう可能性があります。また、ネジが緩んでいる場合は、噛むことでさらにネジが緩み、食事中に人工歯が外れて飲み込むといったトラブルにつながる危険もゼロではありません。
違和感があるとどうしても気になって触れたくなりますが、できるだけ触れずに歯科医院で適切な対処を受けましょう。
インプラントを違和感なく使い続けるためにできること
インプラントはできるだけ快適な状態で長持ちさせたいものですよね。
そこでここからは、インプラントを長持ちさせ、インプラント治療後に違和感なく使い続けるためのポイントをご紹介します。
術後の注意点、歯科医師からの指示を守る
インプラントは外科手術のため、患者様に大きな負担がかかります。
インプラントの手術後、気を付けなければならない点も多いのが現状です。歯科医師からの指示を守ることは何より大切。よくある指示は以下の通りです。
インプラント部分を指や舌で触らない
インプラントを入れた場所に違和感を覚え、指や舌で触って状態を確かめる人も少なくありません。しかし、指や舌で触ることにより刺激を与えてしまい、痛みや違和感が強まるリスクがあります。
なるべく刺激を与えないよう、触るのは控えましょう。特に手術当日は、非常にデリケートな状態なので要注意。指や舌に付着している細菌が治療箇所に感染して、傷口が悪化してしまうこともあるので避けましょう。
激しい運動や長い入浴(湯船につかる)は控える
運動や湯船での入浴は血行を促進し、痛みや違和感を引き起こす可能性があります。
手術当日は湯船に浸からずシャワーにとどめるなど、長時間の入浴を控える必要があります。また、血行を促進する激しい運動は控え、安静に過ごすよう指示があることが多いでしょう。
硬い物や刺激の強い食べ物を避ける
硬い物や刺激の強い食べ物も避けなければなりません。というのも、インプラントで硬い物を噛むと大きな力が骨に直接伝わるため、トラブルが起きる可能性があるからです。
また、インプラント手術直後は歯茎に傷が残っているため、辛い物など刺激物にも注意しましょう。
飲酒・喫煙を控える
アルコールは血行を促進する作用があり、炎症を悪化させ違和感の原因となる可能性があります。さらに痛みや出血の引き金にもなりかねません。
また、薬の効果を阻害するリスクもあるため、手術後少なくとも1週間はアルコールの摂取を控えることが推奨されます。
喫煙に関しても、ニコチンは歯肉の血管を収縮させて血流を低下させ、歯肉の健康を損なうことがあります。これが術部の治癒を遅らせる原因ともなり、インプラント周囲炎のリスクも高まります。
そのため、インプラント治療をスタートから禁煙するのは望ましいでしょう。インプラント手術後も禁煙を続ける重要です。
丁寧な歯磨きで口腔内を清潔に保つ
インプラントは、天然歯に比べて汚れがつきやすい構造です。インプラントと歯茎のすき間は歯垢が付きやすく、それらをいかにきれいに取り除くかが重要となります。
特に歯並びの悪い部分や汚れが残りやすい部分は歯ブラシだけでは汚れが落とし切れないこともあります。そのため、日常的に歯間ブラシやデンタルフロスを使って口腔内を清潔に保ちましょう。
インプラントのトラブルだけでなく、他の健康な歯を守るためにも、毎日の習慣として丁寧なセルフケアを積み重ねていくことが大切です。
歯科医院で定期的にメンテナンス・クリーニングを受ける
インプラント治療後も長く快適な状態で使い続けるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
定期検診では、インプラントの噛み合わせの調整やアバットメントの緩みのチェック、レントゲン撮影で骨の吸収状態などを細かく確認します。
また、セルフケアでは落としきれない歯垢や歯石の除去も行ってもらえます。プロの専門的なクリーニングによって、細菌が多く潜む歯垢や歯石を取り除けるため、インプラント周囲炎や歯周病などのリスクも抑えることができるのです。
インプラントの寿命を延ばすためには、違和感などの自覚症状が出る前にメンテナンスで対処していくことが重要だと言えるでしょう。
インプラントの違和感は放置せず「高田歯科クリニック」へご相談を!
違和感はインプラントのSOSです。インプラント治療後に違和感を覚える場合は歯科医院を受診し、インプラントの状態を確認してもらいましょう。
インプラント治療後にかかりやすいインプラント周囲炎などを予防するためにも、歯科医院での定期的なメンテナンスが不可欠です。
また、自覚症状がない場合でも、メンテナンスを行うことで小さな変化を見逃さず、歯のトラブルを避けることができます。
インプラント治療後の違和感でお悩みの方、術後もしっかりメンテナンスをしてケアしていきたいとお考えの方は、「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へぜひお任せください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年6月12日