インプラントの保証期間は何年?受けられる条件や適用されないケースに注意!
更新日:2025年10月20日

高額なインプラント治療だからこそ、「何かあったらどうしよう」、「治療がやり直しになって追加費用がかかるのではないか」と心配で、なかなか治療に踏み切れないという方も多いかもしれません。
でも、安心してください!患者様の不安や金銭的負担を少しでも和らげるために、多くの歯科医院がインプラントの「保証制度」を設けています。
ただし、保証期間や適用条件など、保証内容は歯科医院によって異なるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
本記事では、インプラントの保証期間や保証を受けられる条件、適用されないケースについて解説していきます。
▼この記事で分かること
- インプラントの一般的な保証期間は5年~10年
- インプラントの保証を受けるためには、歯科医院が示す条件を満たしておくことが必須
- 保証を受けられないケースは、「保証期間を過ぎている」「定期的なメンテナンスを受けていない」「交通事故や自然災害など予期せぬトラブルが発生した」「歯科医師の指示を守れていなかった」「保証対象外の歯科医院で治療を受けた」が挙げられる
- 保証に関して確認するポイントは、保証範囲、保証期間、保証開始のタイミング、適用条件、費用 / 補償額、保証対応回数
- インプラントを長く使い続けるためにやるべきことは、定期検診やメンテナンスの徹底、生活習慣や癖の見直し、健康管理
インプラントの保証はある?保証ってなに?
結論から申し上げると、インプラントには保証があります。
インプラント治療における保証とは、何らかの理由で治療後にインプラントが破損、もしくは脱落したときに適用されるものです。
多くの場合、再治療や部品の修理が「無料」または「部分的な自己負担のみ」で可能になります。インプラントメーカーによっても保証の条件や期間は異なるでしょう。
また、インプラントは「インプラント体」・「アバットメント」・「人工歯」の3つの部品で構成されています。
このうちすべての部品に保証が適用される場合もあれば、インプラント体とアバットメントのみという場合もあります。さらに、部品によって保証期間が異なることもあるので注意が必要です。
インプラントの寿命は長いものの、万が一のトラブルに備えて、契約時に保証期間や保証範囲、適用条件などをしっかり確認しておきましょう。
インプラントの保証期間はどれくらい?
インプラントの保証期間は、インプラントメーカーや歯科医院によって異なりますが、5~10年程度が一般的です。
前述した通り、インプラント体と人工歯で保証期間が異なることもあります。インプラント体に比べて人工歯の方が破損しやすいため、保証期間が短く設定されていることが多いのですが、これもまた歯科医院等によって異なります。
また、例えば、「保証期間内であれば全額保証」という場合もあれば、「インプラント埋入後の5年間は無償保証だけど、その後5〜10年間は有償保証」というように、年数によって負担額が変わるケースも少なくありません。
なお、当院では本体保証期間は10年(上物5年)を設定しています。
インプラントの保証を受けるための4つの必要条件
インプラントの保証は誰でも受けられるものではありません。保証を受けるためには、あらかじめ定められた条件をクリアする必要があります。
その条件は歯科医院によって異なりますが、一般的には以下のような項目が挙げられます。
- 保証期間内である
- 指定期間にメンテナンスを受けている
- 日常生活による破損や脱落の場合
- 禁煙など歯科医師の指示を守って使っていた場合
1つずつ見ていきましょう。
保証期間内である
インプラントの保証は必ず期間が決まっています。期間内であれば保証を受けられますが、たとえ同じような破損でも、保証期間を過ぎていれば当然保証は受けられません。
インプラントに何かしらトラブルが起きた際は、まず「保証期間内であるか」を確認しましょう。
指定期間にメンテナンスを受けている
インプラントは入れて終わりではありません。インプラント治療後はどの歯科医院でも必ず定期的なメンテナンスを受診するように求められ、ほとんどの歯科医院が保証の条件のひとつとしています。それは、インプラントを長持ちさせるために必要不可欠だからです。
インプラント治療後には、インプラントの歯周病と言われる「インプラント周囲炎」にかかりやすくなります。人工のインプラントは虫歯になることはないものの、インプラント周囲炎のリスクは非常に高い状態です。
インプラント周囲炎を発症すると最悪の場合、インプラントが抜け落ちる、再治療が難しくなるなど、取り返しのつかない状態を招くこともあります。これらのリスクを軽減するためにも定期的なメンテナンスは必要不可欠なのです。
メンテナンスの頻度は患者様によって異なりますが、指示された頻度で指定期間内のメンテナンスを受けるようにしましょう。
日常生活による破損や脱落の場合
インプラントの保証は通常、食事など日常生活を送っている中での破損が保証の対象となります。
たとえば、故意にインプラントを壊した場合や、交通事故・自然災害などで逃げている時に予期せぬ強い力がかかってインプラントが壊れたという場合などは保証の対象外となるケースが多いでしょう。
禁煙など歯科医師の指示を守って使っていた場合
インプラントが脱落する原因の一つに「喫煙」が挙げられます。
喫煙習慣がある方がインプラント治療を行う際は、基本的に禁煙指導を受けます。このような医師の指示を守って使用していたにも関わらず、インプラントが破損した場合は保証の対象となります。
【注意】インプラントの保証が適用されないケース
インプラントの保証が適用されないケースは、主に以下の場合です。
- 保証期間を過ぎている
- 定期的なメンテナンスを受けていない
- 交通事故や自然災害など予期せぬトラブルが発生した
- 禁煙など歯科医師の指示を守れていなかった
- 保証対象外の歯科医院で治療を受けた
前述したように、インプラントの生存率を上げるには定期的なメンテナンスが欠かせません。指定された期間にメンテナンスを受けなかった場合は、基本的に保証が受けられません。
さらに、交通事故や自然災害などの予期せぬトラブルによる破損は保証適用外になっている場合が多い傾向にあります。
また、喫煙によって免疫力が低下すると、インプラント周囲炎を発症するリスクが高くなります。インプラントを長持ちさせるためには禁煙が求められますが、禁煙指示を受けているのに喫煙を続けている場合は、インプラントの保証が受けられません。
契約前に必ずチェック!インプラントの保証に関して確認しておきたいポイント
インプラントの保証内容は歯科医院によって異なります。のちのちトラブルにならないよう、契約書等をしっかり確認しておきましょう。
インプラントの保証を受ける際に確認しておきたいポイントは以下の6つです。
- 保証範囲
- 保証期間
- 保証開始のタイミング
- 保証の適用条件
- 保証費用 / 補償額
- 保証対応回数
保証範囲
インプラントは、インプラント体・アバットメント・人工歯の3つで構成されていますが、インプラントの部品のうち、どれが保証範囲なのかの確認が必要です。
どの部分が破損してもすべて保証をするところもあれば、いずれかの部品のみというところもあります。そのため、どの範囲が保証の対象になるかは確認しておくべきです。
保証期間
インプラントの保証期間は5~10年が一般的ですが、保証期間は歯科医院によって異なります。
前述したようにインプラント体と人工歯で違うなど、部品ごとに保証期間が異なるケースも存在するため、部品ごとの保証期間も確認する必要があります。
なお、多くの場合、人工歯に関しては、食事の際などの刺激を受けやすく摩耗しやすいため、保証期間が短く設定されているケースが多いようです。
保証開始のタイミング
保証がいつから適用になるかも確認しておきましょう。
たとえば、インプラント体を埋めた直後から適用される場合や、人工歯を取り付けてから適用される場合、インプラント治療が終了してから数ヶ月後の場合、インプラントが顎の骨に定着したタイミングなど、歯科医院によってさまざまです。
保証の適用条件
歯科医院での通常のインプラント保証では、無条件で保証が適用されることはありません。
前述したように、例えば、過失や故意的にインプラントを破損した場合には、保証の適用外となるケースが多いでしょう。
また、定期的なメンテナンスを怠っている方や、禁煙指示が出ているのに喫煙した場合なども保証対象外になる可能性があります。保証が適用されるケースとされないケースがあるので、事前に適用条件を確認しておきましょう。
保証費用 / 補償額
インプラントの保証には、
- 無償保証(治療費に含まれている)
- 有償保証(オプションで追加加入する)
の2つがあります。
有償保証の場合、ガイドデントという保証機関を利用することがあります。このガイドデントと提携している歯科医院ならどこでも保証が受けられるため、引っ越しや転勤が多い方、一つの歯科医院に長期的に通院することが難しいという方も安心です。
保証費用については、すべての費用を負担することが多いですが、一部のみ負担するケース、保証する金額の上限が設定されているケースなどさまざまです。
このように費用だけをとっても多くのケースが存在するため、細かいところまで確認しておくようにしましょう。
保証対応回数
インプラントの保証回数に制限がある場合もあるため、保証回数についてもチェックしておきましょう。
保証期間内であれば何度でも同じ保証内容が受けられるような「回数無制限」のところもあれば、「再治療1回のみ適用」、「限度額に達したら保証適用なし」など、保証回数にもばらつきがあります。
そもそもインプラントの寿命は長いため、何度も再治療することは考えにくいのですが、念のため確認しておくと安心です。
歯科医院独自の保証制度と第三者保証制度(ガイドデント)の比較
| 歯科医院独自の保証制度 | 第三者保証制度(ガイドデント) | |
| 保証期間 | 歯科医院によって異なるが、5年~10年が一般的 | インプラント体・上部構造ともに10年間保証 |
| 保証の適用範囲 | 歯科医院が定める定期メンテナンスを受診し、正常な状態でインプラント体や上部構造が破損、脱落した場合 | ・所定の定期メンテナンスを受診し、正常な状態でインプラント体や上部構造が破損、脱落した場合
・不慮の事故により、インプラント体や上部構造が破損、脱落した場合 |
| 保証対象の条件 | 歯科医院が定める定期メンテナンスの受診をしていることや歯科医師の指示に従うこと | ガイドデント認定歯科医療機関の指示に従い所定の定期メインテナンスを受診していること |
| 対象医院 | インプラント治療を受けた歯科医院のみ | 全国にあるガイドデント認定歯科医院機関 |
| 転居時の対応 | インプラント治療を受けた歯科医院を変える場合、保証が継続できなくなる | 全国にあるガイドデント認定歯科医療機関で保証が継続される |
どの歯科医院にも、保証制度は設けられていることが一般的ですが、保証期間や転居時の保証継続が異なるため、患者様の状況に合わせてより最適な方を選択することが大切です。
インプラントを長く使い続けるためにやるべきこと5つ
インプラントは他の治療法に比べて寿命が長いというメリットがあります。10~15年の残存率は90%以上と、ほとんどの方が15年経過してもインプラントの再治療をせずに過ごしている現状があります。
しかし、セルフケアやメンテナンスを怠っていたり、日常生活で負担をかけるような使い方をしてしまっていたりすると当然残存率は低下し、早い段階で再治療が必要となるでしょう。
保証制度があると言っても、長い期間トラブルなく使い続けられるのが何よりです。インプラントを少しでも長く使用するため、次の5つを押さえておきましょう。
歯科医院で定期的に検診・メンテナンスを受ける
インプラント治療後に定期的な検診・メンテナンスを受けていない方は、残存率が大幅に低下します。インプラントを長く快適に使用するためには定期的に検診・メンテナンスを受けましょう。
セルフケアだけではどうしても取り除けない汚れも、プロの専門的なケアを受ければキレイになること間違いなし。歯垢や歯石を徹底的に除去することで、インプラント周囲炎のリスクを減少させることができます。
また、定期的なメンテナンスにより、自分では気付けない異変やトラブルを早期に発見できる可能性もあります。早めに対処できれば、インプラントを健康的に維持でき、結果的に寿命も長くなるでしょう。
この定期的なメンテナンスは保証を受けるための必須条件でもあるため、歯科医師から指定されたタイミングで必ずメンテナンスを受けてください。
関連記事:インプラントのメンテナンスはしなくても大丈夫?方法や期間を解説
歯磨きなどの口腔ケアを徹底する
インプラント周囲炎の発症を防ぎ、インプラントを長持ちさせるためには、毎日の歯磨きも非常に重要です。
毎食後、丁寧に歯磨きをおこないましょう。なお、歯間ブラシやデンタルフロスもあわせて使用することで、より口の中を清潔に保つことができますよ。
生活習慣や歯ぎしり・食いしばりなどの癖を見直す
インプラントを長く使い続けるためには、食生活の乱れや喫煙習慣など、生活習慣全般を見直すことも重要です。
また、寝ている間など無意識におこなうことの多い歯ぎしりや食いしばりの癖は、インプラントに過度な負担をかけてしまい、インプラントの寿命を縮める原因の一つとなり得ます。
こうした癖も治せるように心がけることが大事ですが、どうしても継続的に意識して改善することが難しいため、ナイトガードというマウスピースを使用して治療を行うこともあります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、まず歯への負担を抑える対処方法を歯科医師に相談してみましょう。
全身の健康に気をつける
体の健康状態もインプラントの寿命に大きく関係しています。
例えば、糖尿病や骨粗しょう症を患ってしまうと、インプラントを支えている骨が弱り、結果的にインプラントが抜け落ちてしまうことがあるのです。生活習慣を整え、全身の健康維持にも気を配りましょう。
禁煙する
インプラントの残存率を左右するとされるインプラント周囲炎は、非喫煙者に比べて喫煙者は数倍高いと言われています。タバコに含まれるニコチンによって歯茎の血流が悪くなり、歯茎の健康を維持できないことから、インプラント周囲炎にかかるリスクが高まってしまうのです。
そのため、インプラントを長く使用し続けたいなら禁煙が必要です。タバコは必要な栄養や酸素が十分に届かなくなり、インプラントだけでなく他の健康な天然歯にも悪影響を及ぼすため、1日も早く禁煙を実現しましょう。
禁煙が難しいという場合には、喫煙回数を減らすことからはじめてみるとよいですよ。
関連記事:喫煙がインプラントに与える悪影響や術後のリスクとは?
インプラントの保証に関するよくある質問
最後に、インプラントの保証に関するよくある質問にお答えします。
インプラントの保証はなぜ必要ですか?
インプラントの寿命は平均10年~15年とされていますが、治療後も長期間安定して使用するためには定期的なメンテナンスが欠かせません。日常のケア不足や予期せぬトラブルによって不具合が生じた際には、再治療や部品交換が必要になることがあります。
インプラント保証は、こうした不測の事態に備え、保証期間内であれば再治療や処置にかかる費用を全額または一部免除できる制度です。特に初めて治療を受ける方にとっては、長期的なサポートがあることで経済的な負担を軽減し、治療後も安心して日常生活を送れる大きなメリットがあるといえるでしょう。
インプラント保証が適用されないことはありますか?
インプラント保証はすべてのトラブルに適用されるわけではなく、条件を満たさない場合は適用されないことがあります。
定期的なメンテナンスを怠ったり、セルフケアを怠ったりした結果、インプラント周囲炎などが発生した場合は保証が適用されません。また、硬い物を噛み続ける、故意や重大な過失による破損、事故や災害による損傷も対象外です。
さらに、糖尿病や骨粗しょう症など健康状態の大きな変化が治療後に起こった場合も保証の範囲外となることがあります。まずは治療前に保証内容を十分に確認し、定期的なメンテナンスを継続するようにしましょう。
インプラントの保証期間の平均は?3年?5年?10年?
インプラントの保証期間の平均は、5年~10年です。しかしながら、歯科医院によって年数が異なります。
また、「5年間は無償保証だけど、その後5〜10年間は有償保証」というように、年数によって患者様の負担額が変わる場合もあります。
インプラントの寿命は?何年持つ?
インプラントの寿命は約10〜15年です。過去に40年使えた例もあるほどで、他の治療法と比べても寿命が長いメリットがあります。
しかし、セルフケアやメンテナンスが不十分であれば、平均的な寿命より早くインプラントを失うこともあるので注意が必要です。
関連記事:インプラントの寿命は?寿命の伸ばし方や寿命がきたときの対処法を解説
インプラントの「保証書」をなくして手元にない…どうしたらいい?
インプラントの保証書をなくした場合、まずは治療を受けた歯科医院へ相談しましょう。
保証書の再発行ができる場合もあれば、いかなる理由においても再発行しない歯科医院もあります。
保証書を紛失すると保証の対象外になることもあるため、紛失しないよう保証期間中は大切に保管してください。
保証期間中に、通院できない場所へ引っ越したときはどうすればいいですか?
インプラントの保証期間中に遠方へ引っ越す場合は、まず治療を受けた歯科医院へ連絡し、転居後も保証を継続できるかを確認してください。多くの医院では定期メンテナンスを同院で受けることが保証条件となっているため、転院すると保証が適用されない場合があります。
なお、全国対応の第三者保証制度(ガイドデント)を利用している場合、認定医院であれば転居先でも保証が継続されるため安心です。なるべく保証制度を活用できるよう、転院する前に担当の歯科医師に相談しましょう。
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インプラント治療は自由診療のため、他の治療法に比べて治療費が高額になりがちです。そのため、いつかインプラントにトラブルが起きて再治療の際に保証が受けられないと、さらなる出費に頭を悩ませてしまう可能性もあります。
万が一インプラントが破損・脱落した際に保証が受けられるよう、また安心して過ごせるよう、保証内容や適用条件をしっかりと把握しておきましょう。
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カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年6月12日









