インプラントは痛くない?痛みを感じやすい原因やタイミング別の痛みや症状の度合い
インプラントは外科手術が必要なため、治療に対する痛みへの不安を抱かれている方も多いのではないかと思います。確かに、治療を行う上で痛みを伴うことはあります。しかし、麻酔を活用することや術後に対策を取ることで、痛みを最小限に抑え、安心して治療を受けられるようになるでしょう。
本記事では、インプラント治療で感じやすい痛みの原因とインプラント治療でのタイミング別の痛みや症状の度合いなどについて詳しく解説します。インプラント治療を検討中の方やインプラント治療に対して少しでも不安なお気持ちがある方は、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- インプラント治療は麻酔をするため、基本的に手術中に痛みを感じることはない
- インプラント治療で痛みを感じやすい原因は、主に「麻酔」「術後の傷」「抜歯」「骨造成」「インプラント周囲炎」
- インプラント手術における痛みや症状の度合いは、タイミングによって異なる
- インプラント治療で痛みを抑えるためにできることは、「局部麻酔」と「静脈鎮静法」
インプラント手術後の痛みの対策
- 手術後しばらくは安静にする
- 食事や飲み物に気をつける
- 入浴(長時間)を控える
- 運動や体を使う仕事はできるだけ控える
- 歯ぎしりに気を付ける
- 飲酒や喫煙を控える
- しっかりと睡眠をとる
- 処方された痛み止めを適切に服用する
インプラント治療は痛い?痛くない?
インプラント治療は、歯茎を切開し、顎の骨に人工歯根を埋め込む外科手術を伴います。しかし、手術時は局部麻酔を使用するため、基本的に手術中に痛みを感じることはありません。
ただし、術後は患部が傷口となるため、麻酔が切れた後は痛みを感じることがあります。痛みの度合いには個人差がありますが、痛み止めを適切に服用することで、その痛みも最小限に抑えることができるでしょう。
インプラント治療で痛みを感じやすい原因
インプラント治療は、多くの患者様にとって安心して受けられる安全な治療法ですが、痛みを伴うこともあり、その痛みの原因について理解しておくことが重要です。
インプラント治療における痛みの主な原因について詳しく見ていきましょう。
麻酔の痛み
インプラント手術の最初に行う麻酔自体は痛みを和らげるためのものですが、麻酔の注射時にはチクッとした短い痛みを感じることがあります。
この痛みは麻酔針を刺す瞬間に一時的に感じるもので、通常はほとんどの患者様が耐えられる程度です。麻酔がしっかり効き始めると、手術中の痛みはほとんど感じなくなるでしょう。
傷の痛み
インプラントの手術では歯茎を切開し、顎の骨にインプラントを埋め込む必要があります。その影響で術後は患部が敏感になっているため、麻酔が切れた後には多少の痛みを伴うことがあるでしょう。
個人差はあるものの、一般的には鎮痛剤で抑えられる程度の痛みです。なお、複数のインプラントを同時に埋め込む場合には痛みが強くなる傾向があるのですが、ほとんどの場合、痛みのピークは術後2日〜3日程度で7日~10日後には落ち着きます。
もし痛みが強すぎる場合には、主治医に相談しましょう。
抜歯の痛み
インプラント治療の一環として抜歯が必要となることがあります。基本的には通常の抜歯と痛みの程度は変わりません。痛みのピークは術後数日から1週間程度で、通常は鎮痛剤を使って管理できるレベルです。
どの程度の痛みを感じるかは個人差があるため、不安な場合は医師に相談して適切な指導を仰ぎましょう。
骨造成の痛み
インプラントを埋入するためには、骨量が十分あることが必須なため、骨量が不足していると診断された場合には骨造成(骨を増やす処置)が必要となります。骨造成を行う場合は、通常のインプラント手術よりも施術箇所が広範囲に及ぶため、痛みが強く出ることがあります。
痛みのピークは術後3日程度で、その後7日~10日間程度継続することが予想されるでしょう。術後の痛みや腫れは、鎮痛剤である程度抑えることができますが、腫れが強く出ることもあるため、患者様の状態に応じたアフターケアを徹底することが重要です。
手術中の痛みはほとんどなし
インプラントを埋入する本数などによっても異なりますが、手術自体は通常30分程度で完了します。局所麻酔が効いているため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
インプラントを埋入する際の振動や圧力を不快に感じることがありますが、歯科医が適切に対応してくれるので心配する必要はないでしょう。手術中に痛みを伴わないように、常に患者様の状態を確認しつつ手術が進められるため、安心してください。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、インプラントの周囲に炎症が生じる状態で、歯周病に似た症状を引き起こします。細菌感染によるもので歯茎に腫れや出血が起こり、痛みを感じることがあります。
さらに、炎症が骨にまで進行すると、インプラントがぐらつき痛みが増すことも考えられるでしょう。
【タイミング別】インプラント手術における痛みや症状の度合い
インプラントは、これまでと同じように食事や会話を楽しむことができるようになる魅力的な治療法の一つですが、インプラント治療を行う過程での痛みや不快感は避けられません。
術後の経過を理解することで不安を軽減し、適切な対処を行う手助けとなるでしょう。以下では、手術直後からその後の数ヶ月にかけての痛みや症状の変化について詳しく解説します。
インプラント手術の数時間後
インプラント手術直後には、麻酔が切れるタイミングで痛みを感じることがあります。しかし、これは通常の範囲内であり、医師から処方される鎮痛剤を適切に使用することで、軽減可能です。
特に、術後の数時間後は手術部位の切開や骨への刺激により痛みが強まることがあるでしょう。ただし、通常の抜歯と同程度の痛みであることが多く、過度に心配する必要はありません。安静に過ごし、処方どおりの薬を使用することが快適な術後の回復に繋がります。
インプラント手術後、数日から一週間程度
手術後数日間は、腫れや痛みがピークに達する時期です。この時期の痛みや不快感は、患部を冷やすことである程度和らげることができます。また、処方された痛み止めの服用で乗り切ることができるでしょう。
術後1〜3日は特に痛みが強まる傾向がありますが、これは炎症反応によるものです。しかし、ほとんどの場合、術後約1週間もすれば痛みは落ち着いてきます。もし、鎮痛剤で痛みが収まらない場合は、再度歯科医院に相談することで安心につながるでしょう。
インプラント手術後、一週間から1ヶ月程度
抜糸は通常、1週間から10日後に行われ、このタイミングで痛みが軽減されることが多いです。インプラント手術後1ヶ月間は、傷口がデリケートな状態が続くので、歯磨きの際の刺激や硬い食べ物が当たることに注意が必要です。
何もしていない状態での痛みがある場合は、合併症の可能性も考えられますので、早めに医師に相談しましょう。この期間に適切にケアを行うことで、インプラントの順調な定着が期待できます。
インプラント手術後、数ヶ月
インプラントの一次手術が終了後、インプラント体と骨の結合を待つ必要があり、その期間は約3ヶ月~6ヶ月が一般的です。その後結合が確認できたら、二次手術を行います。
二次手術の際も麻酔を使用し、歯茎を切開する処置が必要となりますが、手術箇所の範囲が少ないため、術後の痛みはほとんどありません。二次手術では、痛み止めを必要としない場合も多いので、術前の不安を軽減できるでしょう。
インプラント治療完了後、半年以降
インプラント治療が完了し、天然歯と同じように機能を取り戻した後でも注意しておかなければならないのが前述したインプラント周囲炎です。インプラント周囲炎は、歯周病に類似しており、インプラントの周囲組織に炎症が起きることでインプラントを支える骨にまで影響を及ぼし、最悪の場合、動揺や脱落を招くリスクが高まります。
痛みを感じた場合は、進行している可能性があるため、専門医の診察を受け、適切な治療を行いましょう。
インプラント治療が完了したからと言ってケアを怠ることがないよう、日常的にしっかりとしたセルフケアを続け、歯科医院での定期的なメンテナンスを受けることを心がけましょう。それが、インプラントの長期的な健康を支える鍵となります。
インプラント治療で痛みを抑えるためにできること
インプラント治療を受ける際に、多くの患者様が心配するのが手術中の痛みです。ただし、適切な麻酔方法を選ぶことでこの痛みを大幅に軽減し、安心して治療を受けることができます。
下記では、2種類の麻酔についてお伝えするため、理解を深めておきましょう。
局所麻酔を行う
インプラント治療では、通常、局所麻酔を行うことで手術時の痛みを抑えます。ただし、麻酔を注射する瞬間の針のチクッとした感覚や、麻酔液が注入される際の違和感があるのは避けられません。
ほとんどの歯科医院では、できるだけ麻酔の痛みや違和感を和らげるために、表面麻酔を施してくれるでしょう。また、中には麻酔液を体温と同じ程度に温めたりすることで不快感を最小限に抑える工夫も行われています。
さらに、麻酔が効きにくい場合や手術時間が長引いた場合には、途中で麻酔を追加しながら、痛みが出ないように治療を行うのが一般的です。
インプラント手術や痛みが不安な方は「静脈内鎮静法」がおすすめ
手術に対しての恐怖心や不安を軽減するために、「静脈内鎮静法」の併用を検討することもおすすめです。静脈内鎮静法は、鎮静薬を静脈内に投与して、意識を薄れさせる方法です。
治療中は半分寝ているような状態となり、手術の音や振動に伴う不安感を減少させるため、リラックスして手術を受けることができるでしょう。ただし、副作用のリスクがあるため、手術中は慎重に全身状態をモニタリングし、手術後はしばらく安静を求められることを理解しておく必要があります。
術後は自動車の運転などが制限されることもありますので、治療前に担当医と相談し、慎重に適用の可否を確認することが大切です。
インプラント手術後の痛みの対策
インプラント手術後の痛みを効果的に緩和し、快適な回復を促進するためには、いくつかの重要な対策があります。ここでは手術後の注意点と過ごし方を詳しく解説します。
ほんの少しの心がけで、術後の不快感を大幅に軽減することができるでしょう。
手術後しばらくは安静にする
手術直後は、硬いものを噛んで噛み合わせがずれたり、痛み止めの効果が体に合わなかったりするリスクがあります。術後の回復を促進するためには、十分な休息と睡眠を確保しましょう。
特に術後の最初の48時間はアイシングをして安静にすることで、腫れや痛みを抑えることができます。もし痛みが長引く場合は、早めに医師に相談してください。
食事や飲み物に気をつける
インプラント手術後は、食事や飲み物にも十分な注意が必要です。麻酔が完全に切れるまで飲食を控え、その後は柔らかいものを中心に摂るようにしましょう。
硬い食品は、インプラント部分に負担をかけ、痛みを悪化させる可能性があります。また、辛い食べ物などの刺激物も患部の炎症につながることを理解しておく必要があります。
また、飲み物も、熱いものや冷たすぎるものは避け、常温のものを選び、腫れや痛みを促進しないよう気を付けましょう。
入浴(長時間)を控える
術後の入浴には注意が必要です。長時間の入浴は全身の血流を促進し、患部の出血や炎症を促す可能性があります。
そのため、術後1~2日は熱い湯船に浸かることやサウナの使用は避け、シャワー程度にとどめましょう。
運動や体を使う仕事はできるだけ控える
インプラント手術後は、運動や体を動かす仕事を控えることが大切です。運動によって血流が良くなると、出血や腫れ、痛みが悪化する可能性があります。
術後は安静に過ごし、運動や重労働は、術後の経過を見ながら徐々に再開するのが理想です。休息を優先し、できるだけ安静に過ごしましょう。
歯ぎしりに気を付ける
歯ぎしりは想像以上の力が歯や顎に加わります。術後の患部に過度な力がかかると、出血や痛みを促したり、インプラント体と骨の結合を妨げたりしてしまいます。
歯ぎしりは無意識にしていることがほとんどで、自分でコントロールすることが難しいかもしれませんが、できるだけ力が入らないよう気を付けましょう。また、手術箇所にもよりますが、ナイトガードを活用することもおすすめです。
飲酒や喫煙を控える
飲酒や喫煙は術後の回復を遅らせ、痛みを悪化させる可能性があります。アルコールは血行を良くし、喫煙は血流を悪化させるため、どちらも出血や腫れ、痛みの原因になることがあります。
そのため、術後少なくとも1週間は控えましょう。なお、喫煙はインプラント周囲炎のリスクを高めるため、手術直後に限らず、できれば完全にやめることが回復促進とインプラントを長持ちさせる鍵となります。
しっかりと睡眠をとる
十分な睡眠は体の自然治癒力を高め、傷口や骨の回復を促進します。質の良い睡眠を心がけ、術後の体調改善に努めましょう。
特に術後は体が通常よりも多くのエネルギーを必要とするため、しっかりと休息を取ることが重要です。
処方された痛み止めを適切に服用する
インプラントの手術後には、必ず痛み止めが処方されます。痛みがある場合は我慢せず、歯科医師の指示に従って適切に服用しましょう。
痛みがなければ痛み止めを飲む必要はありませんが、傷口が落ち着いているからといった勝手な判断で抗生剤の服用を中断してしまうと、感染症を引き起こしたり、痛みにつながったりすることがあるため、処方されたお薬は最後まで飲みきるようにしてください。
「インプラント 痛み」に関するよくある質問
ここでは、インプラント治療中の痛みに関するよくある質問をまとめました。
インプラントの手術や術後は痛くない?麻酔が切れた後の痛みは?
インプラント手術は局所麻酔を用いて行われるため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。しかし、麻酔が切れた後は、痛みを感じることがあります。この痛みは、人によって異なるものの、通常は2~3日で落ち着きます。
痛みの程度は抜歯後に経験するジンジン、ズキズキといった痛みに似ており、痛み止めの服用により軽減できます。骨造成を行ったり、複数本のインプラント手術を行ったりした場合は、腫れや違和感を感じることもありますが、これらは徐々に和らいでいくため安心してください。
インプラントの仮歯期間は痛くない?
インプラントの仮歯期間は一般的に痛みはほとんどありませんが、適切なケアを怠ったり、過度な負担がかかったりしてしまうと、周辺の歯肉が腫れたり、痛みを感じたりすることがあります。そのため、仮歯の期間中は硬い食べ物を控え、できるだけ患部で噛まないようにしましょう。
また、仮歯の噛み合わせが悪いことで痛みが出ている場合には調整が必要です。痛みが続く場合は、歯科医に状況を伝えて適切な処置を受けましょう。仮歯期間中は、インプラントの定着を待つ重要な期間ですので、痛みや不快感がある場合は早めに歯科医に相談してください。
インプラント治療から数年後の痛みは何が原因?
インプラント治療後、数年経過してからの痛みとして多いのが、インプラント周囲炎です。これはインプラント周囲にプラークが蓄積し、炎症を引き起こす状態を指します。進行すると顎骨の減少を引き起こし、インプラントの安定性を損なうことになるでしょう。
その他の原因として考えられるのは、アバットメント(人工歯根と人工歯をつなぐ部分)のネジの緩みや噛み合わせの悪化、隣接する歯の状態変化などです。これらの問題を未然に防ぐためにも、日頃から定期的な歯科受診と適切な口腔ケアを心がけることが重要です。
インプラント手術後に痛み止めが効かない場合はどうすればいい?
インプラント手術後に痛み止めが効かない場合、まずは歯科医師に相談し、これまでの経過を詳しく伝えましょう。歯科医がその情報を基に、処方薬の変更や追加の検査を行うことができます。
自分の判断で薬を増量したり、他の薬を勝手に使用したりすることは避け、必ず歯科医師の指示に従うことが重要です。強い痛みや異常を感じた場合は、速やかに受診し、インプラントの健康を保つための適切な治療を受けるように心がけましょう。
痛くない安心のインプラント治療は高田歯科クリニックへご相談を
今回の記事では、インプラント治療に対する不安要素の一つである痛みについて詳しく解説しました。インプラント治療は外科手術を伴いますが、麻酔を使用するため、手術中に痛みを感じることは基本的にありません。
術後数日間~1週間程度は傷口に痛みを伴いますが、痛み止めの服用で対処できる程度の痛みのため、心配しすぎる必要はないでしょう。術後の適切なケアでも、痛みや違和感を最小限に抑えることができるため、今回ご紹介した痛みの対策もしっかりと理解しておくことが大切です。
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カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2025年5月7日