インプラントの治療費でローンは組める?デンタルローンの審査や基準を解説
治療費が高額という理由でインプラント治療を避けてしまう人もいます。自費診療になるので全額患者様負担となり、1本あたり40~50万円の費用を払わなければなりません。気にはなっているものの、費用のハードルからあきらめてしまいがちですが、デンタルローンを利用すれば、治療のハードルも格段に下がるのです。
本記事では、インプラント治療で利用できるデンタルローンの内容と、審査基準について解説します。
1.インプラント治療で使えるデンタルローンとは?
デンタルローンとは、インプラント治療の治療費を金融機関などに立替てもらって支払う方法です。お金を借りていることに変わりはないのですが、デンタルローンを利用することで、インプラント治療への費用面での問題がクリアできた患者様も大勢います。では、インプラント治療で使うことができるデンタルローンで、どんな問題が解決するのか解説します。
1-1.インプラント治療の費用を実質分割にできる
デンタルローンは、金融機関などが治療費を立て替えてくれるシステムです。マイカーローンや住宅ローンと同じように、審査に通過した場合に利用することができます。支払回数については後述しますが、自費診療で一括支払いする必要がありません。事前に設定した月々での支払いになるので、経済的な負担は楽になるでしょう。
返済時には金利が上乗せされるため、完済時にはやや余分な費用を支払ってしまうデメリットはあります。しかし、デンタルローンによって違いますが、まとまったお金ができた時に返済期間を短縮して支払うこともできるのです。自分の都合に合わせて返済額を決められます。実質分割払いであとから少しずつ返済できるのが、デンタルローンの良いところなのです。
1-2.手元にまとまったお金がなくても利用できる
実質分割払いできることとやや同じことになりますが、手元にまとまったお金がなくてもインプラント治療を受けることができるようになることも特徴です。どうしても一括で40~50万円の費用を払うとなると、そう簡単に出せない患者様もいるでしょう。初期費用なども含めて、最初の数十万円も経済的に厳しい方も少なくありません。
その点、手元に頭金のようなまとまったお金がなくても、インプラント治療の費用が支払えることで、インプラントが選択肢に戻ってくる人もいるでしょう。最終的には支払う必要があったとしても、今すぐに完済する必要がないので、手元資金がない人でもインプラントの選択ができます。治療の費用がすぐには出せない人も、家計の支出を考えてローンで治療が受けられるのです。
1-3.インプラント以外の自費治療でも利用できる
名称が「デンタル」ローンであるため、インプラント治療以外の歯科医院の自費診療でも利用できるのも特徴です。具体的には歯列矯正やセラミック治療が該当します。インプラント治療を含む自費診療は、一般的にケガや病気の治療目的ではないものが該当します。歯列矯正やセラミック治療には、身体機能の回復の目的がないとされており、原則保険適用での治療はできません。つまり、実質自負負担となるので、まとまった費用が必要なのです。
これらの治療にもデンタルローンは適用できます。高額の治療費を実質分割にできるうえ、頭金などが必要ないため、治療のハードルはグッと下がります。インプラント治療だけではなく、歯科医院で自費診療による治療を検討する場合は、デンタルローンが適用されるかどうかを確認してみましょう。
2.デンタルローンのメリット・デメリット
デンタルローンはお金の貸し借り。メリットもあればデメリットも存在します。一般的なマイカーローンや教育ローンなどと同じようなメリット・デメリットがほとんどですが、デンタルローンならではのメリット・デメリットもあるのです。
2-1.デンタルローンのメリット
デンタルローンのメリットは以下のとおりです。
- 支払回数を最大84回から選べる
- 歯科医院が窓口なので手続きが簡単
- 利用額は任意で設定できる
2-1-1.支払回数を最大84回から選べる
最大のメリットは実質分割払いが可能という点でもお話しした、数回に分けて治療費を払える点です。デンタルローンでは6回を最小回数に、最大で84回の分割払いが可能になります。例えば50万円の治療費をローンで支払った場合、月々の返済額は60回で9,500円となります。支払期間が長くなる分、金利は大目に払わなければなりませんが、ひと月当たりでみれば支払えない金額ではなくなる可能性が高くなるでしょう。最大7年間支払い続けなければなりませんが、予算に余裕がない場合はぜひ利用しましょう。
なお、デンタルローンにはシミュレーションできるページも存在しています。いくら分割で支払えるとは言え、家計の収支との相談は避けられません。借り入れを検討している金融機関によって金利が異なるので、一度シミュレーションをしてみることをおすすめします。
2-1-2.歯科医院が窓口なので手続きが簡単
一般的に各種ローンは銀行などの金融機関の窓口で手続きをします。しかし、そうなってしまうと仕事の都合などで銀行窓口が開いている時間に足を運ぶことが難しい人もいるでしょう。金融機関の窓口は一般的に平日の午後3時までしか受付していないため、日中に仕事をしている人にとっては別の意味でハードルが高くなってしまっている可能性もあるのです。
その点、デンタルローンの場合は窓口がかかっている歯科医院なので、治療の前後で申し込みができます。そもそもデンタルローン自体が歯科医院向けの制度なので当たり前といえばそうなのですが、意外と知らずに金融機関へ行く人も多いようです。もちろん、取り扱いのある金融機関なら窓口での申し込みもできるので、都合の良い方で申し込みをしましょう。歯科医院で申し込みを検討している場合は、診察待ちや診察後に訊いてみましょう。
2-1-3.利用額は任意で設定できる
デンタルローンのよくある勘違いでもありますが、仮に40万円の治療費のうち、15万円が出せるという場合は、残りの25万円だけをローンにすることができます。かかった治療費を満額をすべてローンで支払うこともできますが、治療費の何割かは自分で出せるという場合は、それを利用して借りる金額を抑えることができるのです。
実質分割で頭金なしで支払いができるとはいえ、ローンなので借りている金額に対しては返済時に金利が付きます。借りる金額が大きくなればなるほど金利も雪だるま式に大きくなり、最終支払金額が高額になってしまうこともあります。もし、予算面で都合がつくのであればいくらかを自費で負担し、そのうえで不足分でデンタルローンを申請する方法も取れます。返済額が小さくなるので、金利も少なくなり、結果的に総合的な支払額を少しでも抑えることができるのです。
2-2.デンタルローンのデメリット
一方でデンタルローンには次のようなデメリットもあります。
- 審査があり100%使えるとは限らない
- 金利がかかる
- 歯科医院すべてで扱っているわけではない
2-2-1.審査があり100%使えるとは限らない
デンタルローンは申請したら100%誰でも利用できるものではありません。ローンなので、利用するには当然審査があり、万が一落ちてしまえば利用することはできなくなってしまいます。審査に必要な書類や条件は後述しますが、一般的なローンと同じく借入額と収入額のバランスで判断されるため、金融機関に返済能力がないと判断されればデンタルローンは落とされてしまうのです。
インプラント治療にはデンタルローンの他にも、用途を指定しないフリーローンと呼ばれるものも利用できます。手続きなどはすべて自分でしなければなりませんが、文字通り用途は自由なので、インプラント治療の治療費支払いでも使えます。ただし、デンタルローンよりも金利が高いことも少なくなく、同様に借入前には審査があるのであてにしすぎるのも禁物です。
2-2-2.金利がかかる
歯科医院の治療費を立て替える制度ではありますが、ローンであることに変わりはありません。そのため返済時には手数料のほかに金利もかかり、最終的な支払額は自費で全額払ったときよりも高くなってしまいます。お金を借りている以上仕方のないものではありますが、可能であれば返済期間を短くして少しでも金利の支払額を減らすといいでしょう。
ただし、金利がかかるといってもほかのローンに比べると低めに設定されているのも特徴です。借入する金額と返済期間によって異なるものの、デンタルローンの場合は4~8%に設定されています。これに対してフリーローンの場合、5~15%と非常に高い数字に。借入先によって異なるものの、基本的にはデンタルローンのほうが金利は安いと考えておきましょう。それでも金利がかかることに間違いはないので、十分比較検討してから申し込みしてください。
2-2-3.歯科医院すべてで扱っているわけではない
デンタルローンはすべての歯科医院の窓口で申し込めるわけではありません。歯科医院の中には銀行とのやり取りがなく、ローンそのものを扱っていないこともあります。特にインプラント治療を積極的に行っていない歯科医院や、自費診療を得意としていない歯科医院は取り扱っていない場合も少なくありません。もしローンを申請する時間がなければ、クレジットカードの分割払いでの支払いになるでしょう。
ただし、これも前述のフリーローンの金利と同じく、クレジットカードの分割手数料のほうがデンタルローンよりも高くなる可能性があります。クレジットカード会社の規定にもよりますが、およそ15%前後の金利が必要です。歯科医院で取り扱っていない場合は、一度銀行やインターネットでデンタルローンについて探ってみたほうがいいでしょう。
3.デンタルローンの審査について
デンタルローンを申し込めば、すぐに借り入れができるというわけではありません。お金の貸し借りなので、当然審査があり、その審査基準をクリアしていなければ仮入れることはできません。しかし、デンタルローンの審査基準とはどんなことなのでしょうか。デンタルローンの審査についての詳細を解説します。
3-1.必要な書類
デンタルローンを取り扱っている金融機関によって多少違いはあるものの、デンタルローン申請に必要な書類は、申込書と歯科医師が作成する見積書の2点です。デンタルローンの中には、歯科医師の見積もりなしで審査のシミュレーションができる金融機関があります。事前審査を受けるのは自由ですが、受けておくと再審査の時に歯科医師から見積書を提出してもらうだけになるので申し込みの手間が少なくなるのです。また、事前審査を受けないまま申し込みをしたときよりも審査の通過率はやや高かくなるので、一度事前審査をしておくことをおすすめします。それ以外に必要な書類はありませんが、申込書にほかの借入金について記入する欄があるので、返済計画書などを準備しておくといいでしょう。
3-2.審査基準とその期間
本申し込みに入ると、審査が始まります。早いところでは申し込みの翌日には審査結果がわかります。申し込みした形態にもよりますが、電話かメールで知らせられることがほとんどです。正式に審査に通過すれば、手続きは完了となり治療開始となります。
審査基準に関しては公開されていませんが、低金利であればあるほど審査基準は厳格です。特に重視されるのは他の金融機関からの借入の残債や延滞の記録です。ローンは申込者に約束通り返済してもらえることを条件にお金を貸しています。そのため返済能力のない人にはお金を貸してくれません。20歳以上の安定収入があれば申し込みは誰でもできますが、他からの借入額があったり、返済の延滞がある場合は審査に通らないこともあります。
3-3.デンタルローンでも「医療費控除」を忘れずに
デンタルローンを利用すると、分割で医療費を支払うことになるので高額医療費を支払っていることを忘れてしまいがちですが、インプラント治療は高額医療の対象です。年末調整や確定申告の際に控除を受けられる「医療費控除」の申請を忘れずにしましょう。
受けられる金額は治療費全額です。返済中で完済していなかったとしても、この控除は受けられるので、忘れずに明細書などを残しておきましょう。10万円を超える医療はすべて該当するので、ほかにかかっている医療費があれば、まとめて申請することをおすすめします。詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。
4:デジタルローンの審査に通りにくい人とは
デンタルローンには審査基準があり、返済能力があるとみなされると審査に通り、返済能力がないとみなされれば審査に落ちます。審査に通りにくいのは、次のようなカテゴリーに属している方です。
- 専業主婦
- 学生
- パート、アルバイト、フリーター
- 返済すべきローンがほかにもある人
- 過去にブラックリストに載った人
それぞれの理由を詳しく解説します。
4-1:専業主婦
専業主婦の場合、生活費など配偶者の収入から一定の割合で自由に使えるお金があります。しかし仕事を持たない専業主婦の場合、自分自身の安定した収入があるとみなされず、審査には不利です。もしパートやアルバイトなどで一定の収入があれば、審査には通りやすくなります。しかし収入がまったくない状態でデンタルローンを組みたい場合、配偶者に連帯保証人になってもらうか、配偶者名義でローン申請するケースが多いようです。
4-2:学生
未成年の場合、学生はローンを組めません。20歳以上の学生でアルバイトをしていれば安定的な収入があるとはみなされるものの、高額なローンを組むには不利です。また2022年4月からは成人年齢が18歳に引き下げられたことを受け、18歳以上であればローンを組める年齢とみなされます。しかし同じく高額なローンであれば、審査に通るのは難しいといえます。学生がデンタルローンを組む際には、親名義で申し込むか、親の承諾書が必要となる場合が無難でしょう。
4-3:パート・アルバイト・フリーター
安定的な収入があったとしても、パートやアルバイト、フリーターなどは審査に不利になる場合が多いようです。審査で問題となるのは、年収と借入金額のバランスです。ローン金額が年収の35%を超える場合は、審査に落ちる可能性が高まります。反対に、パートやアルバイトなどの非正規雇用者であっても、年収が高ければ審査での評価が高まるので、申請が通りやすくなるはずです。
4‐3.返済すべきローンがほかにもある人
何件も返済すべきローンを抱えている場合、審査には不利です。借入件数が多い場合、多重債務状態だと判断されてしまいます。特に借入総額が年収の1/3近くまである場合、ローン審査に落ちる可能性が高まるので注意しましょう。
4-4:過去5年以内にブラックリストに載った人
滞納など金融事故を起こした人は、その事実が信用情報に記載されます。信用情報とは、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、ローンの審査の際に各クレジット会社が参考資料として利用します。信用情報への記載は、一般的に「ブラックリストに載る」とも言われ、ローン審査に落ちる大きな原因となるので注意が必要です。
金融事故に該当する案件は次のような例です。
- クレジット返済の滞納
- スマートフォン料金の滞納
- 家賃の滞納
- 複数社からの同時借り入れ
- 債務整理した
デンタルローンの審査にも信用情報が利用されるので、ブラックリストに載った人がデンタルローンの審査に通るのは難しいでしょう。ブラックリストに掲載された場合、抹消されるまでに完済後さらに5年~10年が必要です。
5:デンタルローンの審査が通りやすくする対策
デンタルローンの審査が通りにくい方でも、審査が通りやすくする対策はいくつかあります。申請前に、次の4つのポイントを参考に対策を講じましょう。
- 勤続年数を上げてから申し込む
- 抱えているローンを返済しておく
- 保証人や承諾書を用意する
- 親や配偶者の名義で申し込む
順番に見ていきましょう。
5-1:勤続年数を上げてから申し込む
勤続年数が長い方が安定的な収入が継続するとみなされます。勤続年数は金融機関から信用度が高く評価され、長いほどローン審査に有利です。実際のところ、ローン申し込み条件に「2年以上の勤続年数」が挙げられているケースもあります。事前に勤続年数の条件を確認し、必要であれば勤続年数が2年以上になってから、申し込みしましょう。
5-2:抱えているローンを返済しておく
前述でも解説しましたが、他社からすでに借り入れがある場合は、審査に影響します。ここで注意すべきは、借入金額の総額です。貸金業法には「総量規制」という決まりがあり、借入金額は年収の1/3までと決められています。
例えば、年収300万円の方は、借り入れできる金額は年収の1/3である100万円までです。もし、他社からすでに50万円借り入れしている場合、新規で借り入れできる金額は50万円までとなります。ほかにも抱えているローンがあり、審査を申請した結果、借入規制にひっかかるのであれば今あるローンを返済してから申し込むようにしましょう。
ただし、返済や完済の情報が信用情報に反映されるまでにタイムラグがあり、完済後約2ヶ月は見ておく必要があります。
5-3:保証人や承諾書を用意する
主婦や学生の場合でも、アルバイトやパートなど一定の収入があれば、ローン審査に通るケースもあります。しかし、まったく収入のない場合は、保証人や承諾書が必要となるケースもあると認識しておきましょう。また審査を申し込む前に、配偶者や親の承諾を得ておけば、スムーズに物事が進みます。
どうしても家族に知られたくない場合、フリーローンであれば、夫や家族に知られることなく借りられるケースも。ただし、金利が高くなるので注意が必要です。
5-4:親や配偶者の名義で申し込む
本人名義でのローン申請が基本ですが、どうしても自分名義でのローン申請が難しい場合、親や配偶者など家族名義でローン申請が可能です。これはクレジット会社に寄るので、事前に確認しておきましょう。また、申し込み時には、ローンを申請するご本人の立会いが必要です。
6.当院でもデンタルローンのご相談に乗ります
当院では院長高田がインプラント治療について担当させていただきます。その過程で費用が気になる方は、ぜひご相談ください。インプラント治療は高額なもので、受けるにはまとまったお金がないといけないと勘違いされてきた患者様も何人も診てきました。ですが、デンタルローンを利用すれば、インプラント治療を受けられるようになる可能性もあります。当院でも、インプラント治療で利用するデンタルローンのご相談に乗っておりますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。
7.デンタルローンを利用してインプラント治療を受けましょう
デンタルローンは、高額な歯科診療のハードルを下げてくれる存在です。金利がかかったり審査があったりと、全員が受けられるものではないものの、身体の大事な一部の機能を取り戻したい患者様にはうれしい制度です。予算的な問題でインプラント治療を敬遠していた方々は、デンタルローンの利用も視野に入れて、ぜひ一度ご相談ください。
※本コラムはあくまで一般的な情報として説明しております。高田歯科ではコラム内容で触れてはおりますがあえて対応していない内容もございますが、ご来院いただく患者様に合わせて最適なインプラント提案をさせていただいておりますので、まずは相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2021年11月24日