インプラント治療とは?治療方法と手順、時間や費用、他治療法との違いまとめ
更新日:2025年6月14日
インプラント治療は高額な費用がかかる治療です。「インプラント 費用」で検索するだけでも多くの歯科医院がヒットし、書かれている金額もさまざま。また、費用だけではなく時間もかかる大変なものです。最初の問診から手術、術後のメンテナンスまで含めれば一生のお付き合いになります。
インプラント治療の手順まとめ
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- カウンセリング・各種検査
- 手術(麻酔手術・外科手術)
- 術後のメンテナンス
- 1~2完了までに「約3~6か月」が一般的(当院では1か月半~2か月)
- 顎の骨の状態等によっては半年以上かかる場合もあり
- 3は、最低でも年2回の定期メンテナンスを継続要
- インプラントの費用は、1本あたり30~45万円が一般的
インプラント治療を受ける際には、治療にかかる費用と時間をしっかりと把握しておかなければならないでしょう。上記のように、インプラントは、埋め込んで終わりというわけにはいかないのです。
1.インプラント治療とは?
1-1.インプラント治療の基本
世の中にはさまざまな事情で歯を失った方、あるいは生まれつき歯が少なかった方がいます。失ったり少なかったりする歯を補うための手段として、ブリッジ、入れ歯以外の選択肢として注目を浴びているのがインプラントです。
特徴は周囲の歯を削って埋め込む必要がないこと、顎の骨に埋め込むので自分の歯のようにものを噛めることなどさまざまです。ブリッジや入れ歯ではできなかったことができるようになるため、高額な治療費を払ってまでインプラント治療を受けたいという人は大勢います。
1-2.インプラントの構造
インプラントは上から上部構造、アバットメント、インプラントの3つの部品に分かれていることが一般的です。中にはアバットメントがないものもありますが、多くの歯科医院で採用しているものは、ほぼすべて3つの部品からできています。当院で取り扱っているストローマンインプラントも同様で、高い安全性と耐久性を誇っています。きちんとメンテナンスをしていれば数十年使い続けることも可能です。
1-3.インプラント治療を受けられる方の条件
インプラント治療は外科手術を伴うため、全ての方が受けられるわけではありません。インプラント治療を受けられる方の条件として、下記の3つが挙げられます。
- 顎の成長が止まっている成人の方である
- 骨量が十分にある
- 全身状態が良好である
ただし、骨量が少ない方や全身疾患をお持ちの方でも、治療内容や全身状態の状況などによってインプラント治療が可能な場合もあります。まずは、インプラント治療が受けられるかどうか、歯科医院に相談しましょう。
関連記事:インプラントが「向いているケース」や「できない・向いていないケース」を解説
2.インプラント治療の方法と手順
インプラント治療を受け付けている歯科医院に問い合わせるところからすべてはスタートです。歯科医院によって大きく流れが変わることはほぼありませんが、今回は当院の治療の流れを例に、具体的な治療方法と手順について解説します。なお、他院では一部治療の際の名称が違うことがありますので、あくまで流れの確認としてご覧ください。
2-1.カウンセリング・各種検査
お問い合わせいただいてから最初に行うのはカウンセリングです。顎の骨に穴を空けて金属製の柱を埋め込むことは分かっていても、実際どんな道具を使い、どのように使うのか不安な方も多いでしょう。当院では、カウンセリングのときに実際に使用する道具の模型と顎の模型を使って、何をどのようにしていくのかを説明していきます。カウンセリングは、患者様の不安を少しでも取り除くために大切な時間です。この時間なしで治療に入ることはありません。
カウンセリングの次は、顎の骨に異常はないか、血圧は高くないかなどを測定する検査を受けていただきます。インプラント治療は外科手術なので、顎の骨の部分だけ分かれば良いというわけではありません。実際に切開したときに問題はないか、止血できるのかを確認しなければ、インプラント治療はできないのです。これらの検査ののち、異常がなければ手術へ、対処すべきことがあれば先にそちらの処置を優先します。
2-2.手術
インプラント治療は外科手術なので、痛みを緩和するために麻酔が使われます。その後外科手術に入りますが、麻酔は歯科医院や患者様の状態・ご希望によって採用する方式が違います。また、外科手術の流れも使っているインプラントの種類によって少しずつ異なるのです。手術は患者様に緊急性の高い理由がない限り数日に分けて行います。大まかな流れは以下の図のとおりです。
2-2-1.麻酔手術
インプラント治療で使われる麻酔は、虫歯の治療で使われるものと同じです。多少触られている感覚はあっても、痛みを感じることはないでしょう。しかし、この方法では顎の骨を削られている感触や音、手術室のにおいがすべて分かってしまうため怖がる患者様もいます。そこで、インプラント治療の際は、次のいずれかの方法で麻酔をするのが一般的です。
- 吸入鎮静法
- 静脈内鎮静法
- 全身麻酔法
上記3つ以外にも、いくつかの麻酔方法がありますが、当院では静脈内鎮静法を採用しています。患者様に麻酔が効いてくるとウトウトとした状態になり、気が付いたら手術が終わっているような麻酔です。削られている感覚やにおいなどは気にならないので、歯科医院が怖いという患者様によく選ばれています。
なお、当院では患者様の状態に合わせて、麻酔の専門医を呼ぶこともあります。麻酔科は数ある医師免許の中でも専門性が高いもののひとつ。きちんとした専門家の声を聴きながら治療にあたるので、安心して治療を受けられるでしょう。
2-2-2.外科手術
メインとなる外科手術は、患者様に緊急性の高い理由がない限り数日に分けて行います。インプラントやアバットメントの状態を見るためであり、基本は1日で終わらせることはありません。当院の手術の大まかな流れは以下の図のとおりです。
顎の骨に穴を空けたあとの処置になりますが、インプラントを入れてから、早い人では1ヶ月程度で完成までたどり着きます。当院で採用しているストローマンインプラントは、骨との接合が早いため、他院よりも早く治療を終わらせることが可能なこともあるのです。もちろん、骨とインプラントの接合具合は個人差があるので、上記の期間はあくまでも目安になります。
もし顎の骨が少ない、痩せているなどの理由ですぐに埋め込み手術ができない場合は、インプラントを埋め込む前に顎の骨を作る手術が必要です。骨の造成が必要な場合はもう少し期間が長くなると思っておきましょう。当院では「サイナスリフト」と呼ばれる方法で、高度な医療技術が必要です。
2-3.術後のメンテナンス
インプラント治療でもっとも大事なのは、カウンセリングや手術ではなく、術後の定期メンテナンスです。カウンセリングや手術も大事なのは大事なのですが、入れた後のメンテナンスは、埋め込んだインプラントの寿命を左右するほど重要なこと。
インプラントは虫歯にこそならないものの、周辺に歯周病菌が感染して起こる「インプラント周囲炎」になりやすい性質があります。早い段階で処置できればいいのですが、もしそのまま放置してしまうと、最悪の場合インプラントが脱落してしまう恐れもあるのです。あくまで極端な例ですが、せっかく埋め込んだものが取れてしまっては切ないことでしょう。
インプラントのメンテナンスは、最低でも年2回は向かうようにしましょう。インプラントの平均寿命は10~15年と言われていますが、メンテナンス次第ではもっと長く使用することもできます。中には40年間同じインプラントを使っていた人物がいるなどしているので、きちんと手入れさえできていれば一生ものの歯になることでしょう。
関連記事:インプラント治療の流れが丸わかり!1回法や2回法、治療期間や費用もご紹介
3.インプラント治療にかかる時間(期間)
インプラント治療が完了するまでには、さまざまなプロセスを経る必要があります。歯科医院によってかかる時間が異なるため、一概にはまとめられませんが、当院ではほかの歯科医院よりも比較的スピーディーかつ確実にインプラント治療を進めています。他院との比較を交えて、当院のインプラント治療で必要な時間について説明しましょう。
3-1.カウンセリングから手術まで
治療開始の最初の段階であるカウンセリングから、実際に埋め込み手術が終わるまでにかかる時間は、歯科医院によって異なりますが3~6か月とするところが多いようです。理由は、インプラントを埋め込んだあと骨との接合期間をどれだけ取っているかの差です。インプラントは骨と接合しやすい形状や素材が採用されていますが、メーカーによって微妙に形状や素材が異なるため接合までにかかる時間が違います。
また、患者様の口腔状態によっても、治療完了までの治療時間が異なります。例えば顎の骨を手術で増やさなければならなかったり、持病の関係で別の科にかかる必要があったりする場合がそれです。適切な処置を施さなければインプラント治療はできないので、ほかの歯科診療とは違って時間がかかることは覚えておきましょう。
ちなみに当院では、ストローマンインプラントの採用と、検査に関わる医療機器をすべて当院で揃えているため、1ヶ月半~2ヶ月ほどで治療が終了します。もちろん口腔状態によって差はありますので、まずはお問い合わせください。
3-2.術後からメンテナンスまで
インプラントの埋め込みが終了した後も、歯科医院にはお世話になることでしょう。インプラントは、埋め込んだ後からきちんと役割を果たせているか、不調はないかをしっかりと点検してもらわなければなりません。いかに骨に埋め込んでいるとはいえ、自然に生えてきたものではありません。定期的なメンテナンスをすることで、インプラントを長く使うことができ、かつ安全に過ごすことができるのです。
手術後は年に2回を最低ラインとして、インプラントのメンテナンスを受けた方がいいです。インプラントは非常に頑丈ですが、反面「インプラント歯周炎」と呼ばれる病気にかかりやすくなるデメリットもあります。「インプラント歯周炎」に罹ると歯がグラグラになったり、最悪の場合、せっかく埋め込んだインプラントが外れてしまうこともあります。インプラントが外れないようにするためにも、術後のメンテナンスは最低でも年2回は受けましょう。同時に自然歯のチェックもしてもらうといいでしょう。
インプラント治療の時間・期間に関する情報は、以下の記事もぜひご覧ください。
4.インプラント治療にかかる費用
保険適用外で全額実費で治療費を払う必要があるインプラント治療は、1本あたり30~45万円の治療費が一般的です。内訳にはインプラント本体の値段はもちろんのこと、手術代やカウンセリング・検査の代金まですべて込みです。骨の増設に伴う外科手術の代金は入っていない可能性もありますが、各種検査を受けた後なら明確な見積表を出してもらいましょう。そしてわからない場所は、徹底的に解決することをおすすめします。
ただ、歯科医院によって採用しているインプラントが異なるため、場合によってはもっと高額になったり、逆に安くなったりします。インプラントは、高ければいいというものではありませんが、安すぎると逆に危険です。当院で採用しているストローマンインプラントは、決して安価なものではありませんのでそれなりに高価な買い物になるでしょう。世界シェア1位であり、安心して使えるインプラントを採用しています。
関連記事:インプラント治療の費用を全部公開!安く抑えるためのポイントもご紹介
5.インプラントのメリット
インプラントは顎の骨に埋め込むため、まるで自分の歯のように噛めるのが魅力の一つです。その他にもたくさんのメリットがあり、今では歯を失った際の治療法として、インプラントを選択する方が増えています。
- 天然歯のような自然な見た目で、美しい口元を保てる
- 自分の歯のように違和感なく噛める
- 健康な他の歯を傷つけることがない
- 骨の吸収を防ぐことができる
6.インプラントのデメリット
インプラント治療はメリットが多く存在しますが、難易度の高い治療だからこそ、デメリットやリスクがあることを理解しておかなければなりません。
具体的なデメリットについては、下記の通りです。
- 保険適用外のため、費用が高額
- 外科手術を伴う
- 治療期間が長い
- 定期的なメンテナンスが必要
7.インプラントと他治療法の違い
歯を失った場合の治療法には、インプラントの他に入れ歯とブリッジがあります。ここでは、それぞれの特徴とインプラントとの違いについて詳しく解説します。
7-1.入れ歯との違い
入れ歯は、人工歯とプラスチック素材の床(歯茎部分)で作られた取り外し式の装置です。保険適用内で作製することができるため、比較的安価に済ませることができます。また、治療期間が短く、お手入れも簡単なことから、他の治療と比べて手軽さを感じることができるでしょう。
ただし、見た目が目立つことや口腔内に装着したときの違和感、食事や会話のしづらさなど、インプラントと比べて不便に感じることが多いのがデメリットとして挙げられます。
7-2.ブリッジとの違い
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を土台として活用し、連結した歯を装着することで失った歯を補う治療法です。ブリッジは、天然歯とほとんど変わりなく噛むことができ、取り外しも不要なため、食事や会話を含めた日常生活を快適に過ごすことができるでしょう。
ただし、「たとえ健康な歯であっても隣接した歯を削らないといけないこと」また、「将来的にみて隣接した歯へのダメージが大きくなること」が、インプラントと比較したときに考慮しておかなければならない点です。
7-3.【早わかり表】インプラント・入れ歯・ブリッジの比較
インプラント | 入れ歯 | ブリッジ | |
特徴 | 顎骨に人工歯根を埋入し、その上から人工歯を装着する外科手術を伴う治療法 | 人工の歯とプラスチックの床(歯茎部分)でできた義歯装置 | 隣接した歯を土台とし、連結した歯を装着する方法 |
手術 | 外科手術を伴う | 手術不要 | 手術不要 |
見た目 | 天然歯とほぼ同じ透明感のある白さで、自然な見た目 | 周りの歯に金属のバネがかかるため、見た目が目立つ | 保険適用の場合、治療箇所によっては、金属の被せ物になるため、見た目が目立つ |
噛み心地 | 天然歯とほとんど変わらない噛み心地で、硬い食べ物でも噛める | 噛む力が弱く、食事の際にはズレたり、外れたりするなど、違和感を感じやすい | 天然歯とほとんど変わらない噛み心地。これまで通りの食事が楽しめる |
他の歯への影響 | なし | バネを引っかける場所に負担がかかりやすい | 両隣の歯を削る必要がある |
治療期間 | 3ヶ月~1年程度 | 約1ヶ月~2ヶ月 | 約1週間~2ヶ月 |
費用(保険) | 保険適用なし | 保険適用あり | 保険適用あり |
8.インプラント治療を受ける歯科医院の選び方・チェックポイント
インプラント治療は高度な技術や専門的な知識を必要とするため、治療を受ける際には、慎重に歯科医院を選ぶことが重要です。下記では、歯科医院の選び方やチェックポイントについてご紹介します。
インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
8-1.治療経験・実績が豊富
インプラント治療は外科的処置も含むため、歯科医師の経験や実績が成功率に大きく影響します。経験豊富な医師であれば、難しい症例や複雑な骨の状態にも対応できる可能性が高く、同時に神経や周囲組織を傷付けるリスクの低減も期待できます。
歯科医院の選定にあたっては、インプラントを扱う症例数や過去の治療実績をホームページやカウンセリング時に確認しましょう。また、実例写真や症例紹介を公開している医院は、その経験値の目安となります。
8-2.医療設備が整っている
インプラント治療の安全性と精度を高めるうえで、最先端の医療設備の有無は非常に大切です。歯科用CTや口腔内スキャナーなど、骨や神経、損傷リスク部位を正確に把握する機器が備わっている医院なら、より詳細な診断と綿密な治療計画が期待できます。
さらに、手術における感染予防のため、院内の衛生管理や清掃状況も必ず確認しましょう。快適で清潔な環境は、合併症やトラブルを防ぐ第一歩です。治療前には設備の内容を聞くだけでなく、実際に院内を見学したり、担当スタッフに感染対策の取り組みを尋ねるのもおすすめです。
8-3.安心できるメーカーのインプラントを採用しているか
使用するインプラント本体の品質は、治療後の安定性や耐用年数に直結します。高品質なインプラントは骨との結合が強固で長持ちしやすい傾向にあり、逆に安価で性能が劣るものは、早期の脱落や追加手術のリスクが高まります。
世界的に高いシェアと実績がある「ストローマン」「ノーベルバイオケア」「デンツプライシロナ」などのメーカー製品を取り扱っているかも、確認しておきましょう。費用が相場より極端に安い場合は、使用インプラントの品質に問題がないか、しっかりと説明を求めることが大切です。
8-4.治療の説明が十分か
インプラント治療は患者様の健康状態や生活スタイルも考慮したうえで行うものです。初診時やカウンセリング時に、医師が丁寧に話を聞いてくれるか、自分の要望や不安を受け止めてくれるかどうかがとても重要です。
また、専門用語ばかりでなく、患者様にとって分かりやすい言葉で治療の流れやリスク、注意点、費用などをきちんと説明してくれるかもチェックしましょう。不明点や疑問を残さないことが、安心して治療を受けるための土台となります。
8-5.保証制度が整っているか
インプラントは治療後のケアや継続的なメンテナンスも重要です。万が一何らかの問題が生じた際に備えて、インプラント体や施術に対する保証制度がどのように整備されているか必ず確認してください。
一般的には5年から10年の保証が設けられていることが多く、定期メンテナンスの受診が保証条件になっている場合もあります。保証の内容や範囲、条件、適用期間などを事前にしっかり説明してもらい、納得した上で治療を決断しましょう。誠実な保証制度を設けている医院は、患者様への思いやりや治療への自信の表れとも言えます。
9.インプラント治療の具体的な内容は歯科医へ相談
インプラント治療の流れを当院の事例を使用して解説しました。時間も手順もお金も、そして労力も必要なのがインプラント治療です。具体的な中身は、実際に患者様の様子を聴き、そして調べてみないとわかりません。今後、インプラント治療を検討している人は、まずは高田歯科クリニック(杉並区荻窪)までお問い合わせください。
※本コラムはあくまで一般的な情報として説明しております。高田歯科ではコラム内容で触れてはおりますがあえて対応していない内容もございますが、ご来院いただく患者様に合わせて最適なインプラント提案をさせていただいておりますので、まずは相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2021年9月7日