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安いインプラントは大丈夫?危ない目に遭う前に知っておきたいこと

更新日:2025年6月14日

インプラント

治療にかかる費用が高いインプラント。1本あたりの相場が30~45万円であり、保険適用外でもあることからなかなか治療に踏み切れない方もいるでしょう。もしくは安いインプラントにしようと考える人もいますが、下手をするとけがや事故に巻き込まれる可能性もあるのです。

「安い」インプラントの知っておきたい落とし穴3つ

  • 日本未承認のインプラントで安全性が不明
  • 時間や処置が不十分
  • 治療後のメンテナンスが不十分

この記事では、格安インプラントの実態と危険性について紹介します。

1.値段が安い「格安インプラント」とは?

通常、インプラント治療の費用には歯科医院ごとに違いがあるものの、おおよそ30~45万円の中に収まるようになっています。チタンよりもアレルギー反応が出にくいジルコニアを使用したものでも平均して3~4万円少し高い程度で、高すぎるわけではないものの気軽には手が出しにくい設定になっていることがほとんどです。

しかし、インターネット広告の中には「1本10万円から可能です!」などといった極端に安いインプラントを売りにしている歯科医院も見受けられます。これらは「格安インプラント」と呼ばれるもので、歯科医院で採用されているものよりも原材料費が安かったり、施術までの期間が短かったりするという特徴があります。格安インプラントすべてがこれらの理由で安いわけではありませんが、相場よりもはるかに安いため、魅力を感じる方も少なくありません。

実は格安インプラントにはいろいろなうわさがあるのですが、異常なほど安い理由のひとつに「美容整形向け」のインプラントが入っているケースがあります。気になる広告があれば一度掲載元の名前を確認してみるといいでしょう。もし、歯科医院以外が出している広告なのであれば、一般的に言われている歯科医療用のものではありません。よく確認してみることをお勧めします。

2.安い・格安インプラントをめぐるトラブルや危険性

もし「格安インプラント」を標榜しているのが歯科医院であった場合、すべてとは言いませんが何かしら疑ってかかったほうがいいでしょう。インプラント治療は高額医療になることが多いので、値段だけで選ぶと、想定外のトラブルに巻き込まれることもあるのです。なぜ相場よりも安い価格で治療できるのかは、大きく次の3点が関係しています。

  • 日本未承認のインプラントで安全性が不明
  • 時間や処置が不十分
  • 治療後のメンテナンスが不十分

2-1.日本未承認のインプラントで安全性が不明

インプラントを製造するメーカーは世界で100社以上、日本国内で30社以上あるといわれています。おおよそ使われるインプラントメーカーは決まっているのですが、格安インプラントの場合はもともと価格が安いインプラントを採用している場合があります。さらに悪質になると、日本国内での使用が認められていない未承認のインプラントを使っている可能性も否めません。

未承認のインプラントとは、言い換えれば安全性が保障されていないもののこと。人体に埋め込むものですから、高い品質と人体への影響が少ないことが求められます。しかし、それらの審査をクリアしていない、あるいは受けていないものに対して信頼性はないでしょう。

もちろん、すべての格安インプラントが未承認のものを使用しているわけではありませんが、もし骨と接合しなくても保証はありません。有名メーカーであれば接合しない場合は無料交換の対象になります。格安インプラントでは最悪の場合泣き寝入りになる可能性があることも覚えておきましょう。

2-2.時間・処置が不十分

インプラント治療はとにかく長いことでも有名です。採用しているインプラントの種類や患者様の健康状態に左右される部分もありますが、多くの歯科医院では骨とインプラントの接合までの期間を3~4か月以内としている場合が一般的です。当院では骨と接合しやすいストローマンインプラントを採用していますが、それでも短い方で1か月半~2か月はかかります。この期間が異常に短かい場合は、経過をしっかり見ていない可能性が高いです。

また、事前の問診や検査が一部省略されてしまっている可能性もあります。どちらも外科手術を伴うインプラント治療ではとても重要なもの。問診や検査をないがしろにしたまま実際の処置をすると、埋め込みができなかったり、埋め込んでも骨と接合しなかったりするトラブルが発生する可能性もあります。安全を金額で測ることに違和感を感じる方もいるでしょうが、安全性を保障するための必要なお金だと思えばそれほど高くは感じなでしょう。

2-3.治療後のメンテナンスが不十分

インプラントは手術後のメンテナンスがとても重要です。特有の病気として「インプラント歯周炎」と呼ばれるものがあり、放置しておくとインプラントが土台からぐらついてしまうこともあります。原因は歯周病菌によるものですが、きちんとした歯科医院なら、手術後に最低でも年2回のメンテナンスに来るよう話があるはずです。しかし、格安インプラントを謳う歯科医院ではメンテナンスを勧めず、場合によっては行っていない場所もあるようです。

前述のとおり、インプラント治療をした周辺は歯周病菌によるインプラント歯周炎になる可能性が高いので、定期的なメンテナンスは基本的にセットとなっています。しかし、格安インプラントは埋め込んで終わりなので、別の歯科医院でのメンテナンスを受ける必要があるのです。事前の問診や検査を省くことで費用を最小限に押さえているからこそ低価格にできるのですが、その半面で非常に怖いリスクをはらんでいることを知っておく必要があるでしょう。

3.インプラント治療で起きた死亡事故

インプラント治療をめぐってはさまざまなトラブルがあるのも、残念ながら事実です。中には死亡事故につながってしまったケースもあります。2007年にとある歯科医院で施されたインプラントの外科手術中に誤って動脈を損傷。大量出血によって患者様がお亡くなりになられてしまう、痛ましい事件がありました。原因は歯科医院で実施したCT検査が不十分であったことに起因します。

この事件以降、インプラント治療を実施する歯科医院ではしっかりとした事前検査をするようになりました。歯科医院内にCTがなければ、提携するほかの病院で受けてくるようになっているのも、大きな事故に発展しないようにする取り組みのひとつです。

しかし、格安インプラントは死亡事故があったにもかかわらず、いまだに事前検査を飛ばして施術する場合もあります。インプラントには興味はあるが、費用の問題で治療するかどうかを決めかねている患者様は大勢います。しかしながら、ただ安いからと飛びついてしまうと、あとあと大変なことになるでしょう。多少の費用がかかったとしても、自らの命には変えられません。インプラント治療をお願いする歯科医院および歯科医師は費用だけで選んではいけません。

4.安いだけで選ばない!インプラント治療を決断する際の確認項目

インプラント治療は、決して安価な治療ではありません。そのため、価格だけで歯科医院を選んでしまいがちですが、後悔しない治療を受けるためには、価格以外にも複数の重要なポイントをしっかり確認することが必要です。

納得のいくインプラント治療を受けるために、自分の目でしっかりと判断しましょう。

4-1.インプラント治療費の合計や内訳

格安だと思っても、実際には材料費のみを提示していたり、CT検査や上部構造、手術費、メンテナンス費といった追加費用がかかる場合が多くあります。費用を提示された際には、治療の総額や詳細な内訳を必ず書面などで確認し、追加料金発生の可能性についても質問しましょう。

また、治療全体の費用を比較することで、納得できる選択がしやすくなります。安さだけに惹かれず、費用対効果や治療内容に納得できるかを総合的に判断することが大切です。

4-2.治療実績や知識が豊富な歯科医院であるか

インプラント治療には高度な知識と経験、そして専門性が必要不可欠です。歯科医院を選ぶ際には、インプラント治療の実績が豊富かどうか、歯科医師の専門性や症例数は十分かといった点をしっかりと確認しましょう。

多くの症例を持つ医院であれば、さまざまな状況に柔軟に対応でき、万が一のトラブル時にも迅速に対応してもらえる安心感が得られます。ホームページや口コミなども参考にし、インプラント専門の医院や、経験豊富な歯科医師が担当しているかをチェックすることが重要です。

4-3.インプラントのメーカー・材質に問題はないか

信頼のおけるメーカーのインプラントは、安全性・耐久性ともに実証されているため安心して利用することができます。しかし、聞き慣れないメーカーや歯科用以外の素材が用いられている場合は、身体への影響や長期的なトラブルが心配されます。

特にチタンやジルコニアといった定評のある歯科用材料が使われているかの確認は欠かせません。また、引越し時や万が一の破損時も対応しやすいというメリットがあるため、製品の知名度や流通性なども事前にリサーチしておきましょう。

4-4.保証内容が充実しているか

インプラントは長期的に使うものであるため、治療後の保証内容が充実しているかの確認は非常に重要です。術後のメンテナンスや、万が一トラブルが発生した場合の補償範囲、保証期間などを明確にしてもらいましょう。

また、治療中だけでなく、治療後のメンテナンス対応や緊急時の提携病院の有無も重要なポイントです。保証内容が曖昧だったり、期間が極端に短かったりする場合は慎重に検討しましょう。

5.インプラント治療を受ける専門医の選び方

せっかく歯の機能回復や審美性を求めて施術を希望しているのに、適当な処置や安全性が高くないものを埋め込まれてしまっては意味がありません。インプラント治療を受けるのなら、かかる費用には目をつむり、その歯科医師がどんな人なのかを知って判断をすることをお勧めします。具体的な基準として、以下の3点を詳しく解説します。

  • 治療前の問診から丁寧か
  • インプラントの治療経験の豊富さ・技術力
  • インプラント以外の知識も持っているか
  • インプラントの勉強を続けているか

5-1.治療前の問診から丁寧か

インプラント治療の前には必ず問診が行われます。歯科医院によっては「カウンセリング」やとも呼ばれます。インプラント治療を希望する患者様すべてに、最初の段階で行うものです。手術の方法や流れの説明はもちろん、模型を使った具体的な治療内容を実際に見てもらうためでもあり、同時に患者様が抱える不安や疑問を解決する場でもあります。

問診の時間は、もし患者様が治療に合意された場合には実際に行う治療の大まかなアウトラインになりうるもの。ここをおろそかにしてしまっては、患者様も歯科医師も満足いく治療ができません。

また、問診の時点で治療費などのお金の話や治療期間の説明があるかも判断材料にしましょう。何も説明がないままに治療が始まり、終わってみて初めて金額や費やした時間がわかっては意味がありません。事前にすべてを説明してくれるかどうか、見極めることが大事です。

しっかりした治療を受けたいのであれば、問診やカウンセリングに力を入れている歯科医師を探しましょう。当院では、治療にかかわる説明や費用・時間にかかわる説明はもちろんのこと、治療方針や患者様の不安に対する回答もしっかりと行っています。疑問や不安がある方は問診だけでも結構ですので一度お問い合わせください。

5-2.インプラントの治療経験の豊富さ・技術力

インプラント治療を安心して任せるためには、医師の治療経験や技術力の高さをしっかり確認することが不可欠です。特にインプラントは高度な手術であり、多くの症例を経験しているかどうかが成功のカギとなります。

難易度が高い症例にも対応できる医師であるかどうか、ホームページの症例紹介や治療実績数を参考にしましょう。

実績が多い専門医は様々なケースに柔軟に対応するノウハウがあり、その分だけリスクも適切にカバーできます。安心できるインプラント治療を受けるためにも、技術力と経験を兼ね備えた歯科医師を選ぶことは非常に大切です。

5-3.インプラント以外の知識も持っているか

インプラント治療は高度な外科手術です。当然高度な専門知識や技術が要求されますが、それに加えてインプラント以外の知識を持ち合わせているかも重要なポイントです。具体的には次のような項目が挙げられます。

  • 噛み合わせ
  • 口元の美観
  • 歯を長く持たせる方法
  • 各種病気とその対処法

インプラントは確かに自然歯の代替物になるものではありますが、ただ埋め込んで終わりではありません。高さが違ったり、メンテナンスに関する知識、関連する病気についての見解が不十分では、長くお付き合いするには心もとないでしょう。

インプラントは適切なメンテナンスをしていれば半永久的に使用することができます。そのインプラントを守るために大事な、総合的な口に関する知識を持っている歯科医師を選ぶこともインプラント治療をお願いする医師に求める条件にすべきです。

また、顎の骨に関する知見があるかも重要なポイントです。インプラントは顎の骨がしっかりしていないと治療することはできません。きちんとした判断・処置ができる歯科医師を探しましょう。

5-4.インプラントの勉強を続けているか

インプラントに関する研究は日進月歩の一言に尽きます。世界中で日々研究がされているインプラント治療の最新知識を得るために、勉強会や講習に参加していたり、研究者とかかわりがあったりするかは、歯科医師選びのひとつのポイントになるでしょう。つまり、最新のインプラント治療に関する知識を持っているかどうかが大事な判断基準なのです。

ほかの医療分野でもそうですが、人の命や健康を守るための研究は日々続けられています。日々変わる知識をアップデートし続け、それを患者様に還元できるようにしている医師は信頼に値するでしょう。

もちろん治療の内容によっては命にかかわる可能性もあるものだけに、すべての医師が勉強を怠っているとは言えませんが、日々変わっていく新しい知識を得ているのかそうでないのかで信頼度は大きく違います。当院の理事長・高田はポルトガルのドクターマローと学術交流を持ち、常にインプラント治療の最新知識を勉強し続けています。

6.インプラント治療が安くなる例外

原則、保険適用外であり治療費が全額実費のインプラント治療ですが、例外的に安くなることもあります。どれも条件が付いていることが多いので過度な期待はしてはいけませんが、負担を軽くするためのひとつの方法として覚えておくことをお勧めします。

6-1.知り合いの紹介

ひとつ目は知り合いの紹介、もしくは歯科医師が知り合いの場合です。あまり一般的ではありませんし、大幅な値引きとはなりませんがわずかでも費用を押さえることができるでしょう。基本的には医療行為なので割引があることは考えないほうがいいです。しかし、同じく保険適用外の整体に代表されるような「問診代0円」などになる可能性はあります。

身近な人にインプラント治療をしたことがある、もしくは歯科医師がいることが条件であるためあまり現実味がないでしょうが、可能性はゼロではありません。もし周囲の人にこれらの条件に該当する人がいれば一度相談してみるといいでしょう。もちろん、すべての歯科医院で安くなるわけではないので期待はあまりしないようにしてください。

6-2.リカバリー治療(保証制度の活用)

インプラントは治療完了から一定期間内であれば、万が一不調が発生した場合に無料でインプラントを交換してくれる「保証制度」を設けている場合もあります。当院で採用しているストローマンインプラントも保証期間があり、治療完了から5~10年以内であれば無料交換、もしくは一部価格の割引で安く治療を受けることができるようになります。

しかし、保証制度はあくまでも治療後のメンテナンスを受けていたにもかかわらず不調が起きた場合であることが対象になることがほとんどです。面倒だからという理由でメンテナンスを受けていない場合は、たとえ期間内であっても保証制度の対象から除外される可能性もあるので注意が必要です。

6-3.保険適用の治療

原則、保険適用外での自由診療になるインプラント治療ですが、例外として条件がそろえば保険適用でインプラント治療を受けるようになることもできます。平成24年に法律が改正されたことで適用範囲が設定されたことで、先天的・後天的に顎も骨に不調がある場合に限り保険適用によりインプラント治療が認められるようになったのです。

そもそも保険適用されるための必要な条件は機能回復を目的としていることです。残念ながら虫歯や歯周病によって歯がなくなってしまった場合はいまだ保険適用外のままですが、以前に比べればインプラント治療を受けやすくなったことに変わりはないでしょう。

インプラント治療に保険が適用される条件や注意点についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、気になる方は一度確認してみてください。

関連記事:インプラント治療で保険は使えない?その理由や保険適用の条件を解説

6-4.医療費控除制度を活用する

医療費控除とは、年間の医療費が10万円以上かかった場合に税金の減免(所得控除)を受けられる制度のことをいいます。インプラントは1本あたり約30万円~50万円程度が費用相場となるため、医療費控除の対象となります。

また、インプラント治療に関わる治療や骨造成(骨を増やす手術)なども医療費控除の対象になることを知っておきましょう。この制度を活用することで、インプラント治療の費用への負担を減らすことができます。

詳しくは以下の記事にて解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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6.「安い」は注意!インプラントは費用だけで決めてはいけない

何とかして費用を抑えてインプラント治療を受けたい方は少なくありません。しかし、一方で安いインプラントに安易に飛びついてしまうのも決していいことではないのです。大切なのはかかる費用ではなく、長く付き合えるインプラントであり、歯科医師であることです。費用だけで判断するのではなく、しっかりと他と比較したうえでお願いする歯科医院を選びましょう。

 

※本コラムはあくまで一般的な情報として説明しております。高田歯科ではコラム内容で触れてはおりますがあえて対応していない内容もございますが、ご来院いただく患者様に合わせて最適なインプラント提案をさせていただいておりますので、まずは相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2021年10月1日