インプラント治療後にMRI検査はできない?噂の真相と注意点を解説
インプラント治療を受けると、MRI検査ができなくなる可能性があるとの噂を耳にしたことがあるでしょう。インプラントを構成する部品がその理由なのですが、インプラント治療を受けたからと言って、全員がMRI検査できないわけではありません。
本記事では、インプラント治療後にMRIが受けられない可能性がある場合の解説と発生する可能性のある不具合、もしMRI検査ができないと言われた時の対処法を解説します。
1.MRI検査とは?
主にがんの検査で使われるものがMRI検査です。正式名称を「Magnetic Resonance Imaging」といい、強力な磁石と電波によって発生する磁場を利用して、内臓の画像を撮影する方法です。放射線を利用しないので被爆の心配もなく、CT検査よりも鮮明に撮影できる方法でもあります。
反面、非常に大きな音がするのでヘッドホンを使わなければならい点、時間が15~45分と非常に時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。併せて、金属類を持っているとMRIの撮影に悪影響が出るため、すべて外してからの撮影が基本です。そのためペースメーカーや人工内耳などの金属製の医療機器を体内に埋め込んでいる場合、MRI検査が受けられません。
また、これとは別で検査できない方の特徴として、入れ墨やマスカラをしている場合に検査できないといわれることもあります。磁場が強力なため、やけどの可能性があるためです。加えて、MRI検査は狭い空間に横になったままで行うため、閉所恐怖症の人には難しい場合もあります。
検査部位によっては造影剤を事前にのむ必要があったりもしますが、基本的には内臓類の異常を発見するために行われる優れた検査なのです。
2.インプラント治療後はMRI検査できない?
結論から言えば、インプラント治療を受けてもMRI検査は受けられます。ペースメーカーや人工内耳の影響で、同じ金属という理由から起きた勘違いかと思われます。しかし、現在主流のインプラントであれば、何ら問題なくMRI検査はできるのです。
2-1.インプラントしているとMRI検査できないと言われる理由
インプラントとは、医療器材を人の体に埋め込む総称です。デンタル系のインプラント以外にもインプラントに含まれるものには次のようなものがあります。
- 心臓ペースメーカー
- 人工内耳
- 神経刺激装置などの電子機器
- 人口関節
- 美容目的で入れるシリコン
このうち心臓ペースメーカー、人工内耳、神経刺激装置などの電子機器が体内にある場合は、MRI検査ができません。(電子ペースメーカーなどの一部の機器は、MRIを使用できるものがございます。)MRIは強力な磁気を用いて撮影します。磁気に反応する金属が体内に入っていると、撮影が困難なだけでなく死亡事故につながる可能性すらあるからです。
しかし、人口関節や結合プレートなどで用いられる「その他のインプラント」や「歯科用インプラント」は、非磁気性金属なのでMRI検査も可能です。「インプラントしているとMRI検査ができない」に関しては半分が真実で、半分が真実ではない理由は、インプラントの素材が原因となっています。
2-2.ほとんどの場合はできる
一部例外のインプラントはありますが、ほとんどのインプラントはMRI検査が可能です。現在、多くの歯科医院で採用されているインプラントは、MRI検査を受けても問題がない金属を使用しており、ペースメーカーや人工内耳のように異常をきたすこともありません。また、金属は強力な磁場に入ると高熱を発することもありますが、有名メーカーのインプラントであればそんなことも起きないでしょう。
MRI検査で問題がある金属の特徴は、簡単に言えば磁石にくっつくかどうかの違いです。多く人プラントで使用している「チタン」は磁力がない、つまり磁石にくっつかないので、MRI検査は受けられると判断できます。ただし、インプラントすべてが「チタン」でできているわけではありません。
2-3.注意が必要なケースもある
一般的にはインプラントを入れていてもMRI検査はできます。しかし、すべてのインプラントが問題なくMRI検査できるわけではありません。特に、次の2つに関しては注意が必要です。
- オーバーデンチャー
- 医療用インプラント
2-3-1.オーバーデンチャーの場合
オーバーデンチャーとは「入れ歯」のことです。インプラント治療の方法のひとつに「インプラントオーバーデンチャー」と呼ばれるものを採用することがあり、このパターンで治療している場合はMRI検査前に歯科医師に確認をとりましょう。
なぜ、オーバーデンチャーの場合は注意しなければならないのでしょうか?理由は、一部のインプラントオーバーデンチャーでは、一部先に埋め込んだインプラントに磁石を取り付けてから入れ歯を入れるものを採用している可能性があるからです。磁石はMRI検査では故障の原因になったり、画像の乱れにつながったりします。自分に施されているインプラントオーバーデンチャーが、磁石を用いている方法か否かは、歯科医師に確認をとっておくことをおすすめします。
もちろん、インプラントオーバーデンチャーのなかには磁石を使用しないものも存在し、磁石がなければMRI検査は可能です。もしもの時に家族にも知らせておく必要もあるので、インプラント治療の前に確認しておくといいでしょう。
2-3-2.医療用インプラントの場合
実はインプラントには大きく分けて2つの種類が存在します。歯科医院で採用されているインプラントは「デンタルインプラント(歯科インプラント)」です。埋め込めば半永久的に使えるものですが、一方の「医療用インプラント」とは異なるもの。この医療用インプラントは歯に限らず、心臓・整形外科・美容などさまざまなものの総称のことです。これら医療用インプラントを埋め込んでいる場合は、MRI検査の前に主治医と相談する必要があるでしょう。
採用される素材はさまざまです。鉄や銅などの人体に悪影響を与えるようなものはないものの、MRI検査では悪影響を及ぼす可能性のある金属の場合も否定できません。もし、知らないまま、確認しないままにMRI検査を受けてしまうと、MRI本体を壊してしまうことも考えられます。また、医療用インプラントの発熱などでやけどや重篤な故障につながる可能性も考えられます。十分に注意しましょう。
2-3-3.「チタン」ならまず問題はない
さまざまな注意点はあったものの、大前提として「チタン」ならMRI検査を受けるうえで問題はないと考えていいでしょう。もしくは「チタン合金」の場合も問題ないと考えられます。
インプラントにチタンが採用されている理由はいくつかありますが、代表的なものは次のとおりです。
- 顎の骨と接合しやすい(親和性が高い)
- 金属によるアレルギー反応が出にくい
- 耐久性が高い
人体との親和性が高いチタンですが、一部の金属アレルギーの方はこれでもアレルギーがでる場合もあります。そのような場合は別の、さらにアレルギー反応が出にくいものを採用することになります。いずれの場合も、MRI検査を受けるうえでネックになる磁力を持たない金属なので、問題なく検査は受けられるでしょう。もしも不安な場合は、歯科医師とMRI検査をする病院の主治医と相談してください。チタンは医療機器でも安全性が認められている金属なので、よほどのことがない限り「できない」とは云われないでしょう。
3.医療用インプラント以外で起こるMRIによる不具合
医療用インプラントの場合は、素材の違いからMRI検査を受けると不具合が発生する可能性があることがわかりました。一方で、一般的に歯科医院で使用されるインプラントも、ものによってはMRI検査で悪影響を及ぼす場合もあります。どんなことが起こりうるのかをしっかりと知っておきましょう。
3-1.金属部分が発熱する
インプラントメーカーは日本国内だけで30社、世界全体で見れば100社以上存在すると言われています。一般的に採用されているインプラントメーカーは数社に限られますが、ごくまれにあまり聞きなじみのないメーカーのものを採用している場合もあります。信頼性がないわけではありませんが、ものによってはチタンではないものを使用している場合も考えられるので注意が必要です。
もし、チタン以外の磁力に反応するインプラントを採用している場合、強力な磁場の影響で金属部分が発熱する可能性があります。その発熱によってやけどをしてしまう可能性があり、非常に危険です。医療用インプラントであるペースメーカーを使用している方がMRI検査を受けられない原因のひとつがこれです。インプラント治療を受ける前に、どんな金属を使用したインプラントなのかを確認するといいでしょう。有名どころではノーベルや、当院で採用しているストローマンであればまず問題ありません。
3-2.MRI画像に不備が生じる
少し難しい話をすると、MRIは強力な磁場で身体の水分を振動させ、それで影を作って撮影をするようにできています。しかし、金属が存在すると、それらが磁場に反応してしまい、うまく撮影できずに影が残ったりノイズが映りこんだりしてしまう可能性があります。最悪の場合、MRIの機械そのものが壊れてしまい、多額の損害を被らせてしまう場合もあります。
こちらも一般に普及しているチタン製インプラントであれば気にする必要はありませんが、あまりなじみがないメーカーのインプラントの場合は注意が必要です。まず大前提として、認可を受けていないインプラントを使用した「格安インプラント」を売りにしている歯科医院も存在します。費用面でかなりの負担になりがちなので、格安で済ませたい人もいるかもしれませんが、安全性が証明されていないものも残念ながらあるのが現実です。詳しくはこちらの記事で詳しく説明しています。安心できる歯科医院で、信頼性の高いインプラントを使ってもらうようにしましょう。
4.インプラントでもMRIもCTも原則受けられる
よく勘違いされるものに、CT検査があります。どちらも身体の内部を断面で撮影できるもので、医療分野に詳しくないとあまりよく知らない方もいるでしょう。CT検査は放射線を使用した撮影方法で、被爆リスクがある代わりに、立体的に撮影したい部分を映すことができます。インプラント治療の前は、顎の骨の状態を確認するために必ず撮影されるものです。CT検査はインプラントの有無や使用している素材にかかわらず撮影が可能です。
なお「被爆リスクがある」と説明したものの、CT検査で使われる放射線はごく微量です。人体に影響がないレベルでの放射線量なので過度に心配する必要はありませんし、万が一に備えて放射線を遮断する特殊エプロンを使用します。また、撮影には国家資格である「放射線技師」の資格も必要で、安全性には十分配慮がなされているのです。妊娠中でも受けることができますが、もし心配ならば事前に相談することをおすすめします。
5.インプラントが原因でMRIを断られたら?
インプラント治療を受けていても、チタン製であればMRI検査は問題なく受けることができます。しかし、病院や主治医によってはインプラントを勘違いしているために「MRI検査ができない」ということもあります。そんな場合には、次の3つの方法で対処および確認をしましょう。
- 上部構造だけ外してもらう
- チタンであることを説明する
- わからない場合は必ず歯科医師に相談を
5-1.上部構造だけ外してもらう
インプラントが入っていてダメだといわれた場合は、インプラント治療を受けた歯科医院で上部構造を外してもらえば難なくMRI検査を受けることができます。仮に主治医から「インプラントを外してきてほしい」と言われても、すべて外す必要はないので安心してください。もちろんこれは、顎に埋め込まれているインプラント本体がチタンなどの磁力を持たない金属の場合のみです。MRI検査後には、もう一度上部構造を設置してもらえれば問題ありません。
また、関連して医療用インプラントも、現在ではMRIが受けられる素材でできていることもあります。古いタイプのペースメーカーや人工内耳は磁力を持っているため、MRI検査がNGになっています。
5-2.チタンであることを説明す
年配の医師に特に多い傾向にありますが、医療用インプラントがMRI検査はできないと考えていることから、歯科インプラントもMRI検査ができないと思い込んでいる医師もいます。広い意味でのインプラントの中には、MRI検査で悪影響が出るものも含まれているため、ある意味仕方のない勘違いかもしれません。
もし、インプラントがチタン製で問題なくMRI検査が受けられると言い切れる場合は、医師に「チタン製です」と伝えてください。医療現場ではチタンの信頼性が高く、安全性も保障されています。年配の医師でもチタンが安全であり、磁力を持たないことは知っているため、特に問題なくMRI検査を受けることができるようになります。チタン製インプラントを入れている場合は、きちんと医師に伝えるようにしましょう。
5-3.わからない場合は必ず歯科医師に相談を
もし自分の顎に埋め込まれているインプラントがチタン製かわからない、あるいはMRI検査を受けて問題がないか判断できない場合は、必ず治療を受けた歯科医院でMRI検査を受けていいかを相談しましょう。
大多数のインプラントであればまず問題はないのですが、一部のインプラントはMRI検査が受けられないものもあります。自分だけで判断せず、またあいまいな記憶のままで主治医に伝えると、思わぬ事故につながる可能性もあります。自信がなかったりあやふやであったりする場合は、必ず歯科医師に相談をしてからMRI検査を受けるようにしてください。大きな事故につながる前に、自分で自分の身を守るためにも大切なことです。
7.インプラントでもMRI検査は可能
インプラント治療を受けていても、基本的にはMRI検査は受けることができます。しかし、ごくまれに例外で受けられない方もいます。当院で採用しているストローマンインプラントは、チタン製なのでMRI検査は問題なく受けることができます。安心して検査ができるように、新r内度の高いインプラントを希望される方は、まずは当院までお問い合わせください。
※本コラムはあくまで一般的な情報として説明しております。高田歯科ではコラム内容で触れてはおりますがあえて対応していない内容もございますが、ご来院いただく患者様に合わせて最適なインプラント提案をさせていただいておりますので、まずは相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2021年10月1日